保管庫

322 QPBo19LH0

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322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/12(火) 18:21:36.22 QPBo19LH0

満員のスクールバスで、隣に立っていた友達が突然手を伸ばしてきて撫でるように触ってきた
「……(えっ?)」
俺は突然のことに頭が真っ白になり、何もできずにいた
おまけにバスは振動が激しく、手すりに捕まっていたから身動きも取れない
そうしているうちに白昼下の侵入者は全く意に介することなく俺の体を弄る
「……(ちょ、ちょっ)……んっ」
だが俺はこの時何故か、拒絶する意志を全く持ち合わせていなかった
普段なら何のことはない、いたずらだろうと一言二言交わしてただ手を振り払うだけだっただろうけれど
この状況がそうさせているのだろうか……俺の脳は蕩けるように燃え上がり
ただひたすらに触られる感触だけを求めている……まるで血に餓えた獣のように
「…………ぁ」
そうしているうちに背後の陵辱者は俺の首筋近くに顔を近づけ、ふっと息を吹きかけた
刹那、全身に雷が落ちたかのような感覚が走り、あまりの衝撃に失神しそうになる
その時、俺は信じられない程昂奮していた。後から思えば笑ってしまうくらい
おそらくその時、俺は馬鹿みたいに呆けた顔で口をぱくぱくさせながら
打ち寄せる官能にただただ身を震わせていただけだっただろう
だがその時の俺はそれが世界の全てであり、そこに身を突然放り投げられた哀れな子羊
抵抗すらできずに……いや、そもそも「抵抗すら思いつかない」でいた
「……んっ……ぉ……」
俺の思考が停止しているのもお構いなしに欲望は俺を貪りつくしていた
乳首を掴み、こねくり回す
いつの間にかもう片方の手は尻を執拗に撫で回していた
俺は同時に襲ってくる快感の波に最早立っていることすらままならない状況になっていた
声すら出ずに欲望に身を任せて、快楽を貪った

「…………あれ?」
気がつくと、俺はバス停の前で突っ立っていた
バスはとっくに通り過ぎ、目の前には既に次のバスを待つ待機列が形成され
怪訝な目で俺を睨む人の視線をひしひしと感じたので俺は慌てて歩き出した
「なんで俺は……」思い出そうとしてもなかなか思い出せなかった。あれ?俺は何を思い出そうとしていたのだろう……


354 名前:>>322 投稿日:2006/09/12(火) 19:35:30.09 QPBo19LH0

なんとなしに歩き出した俺だが特に目的があるわけでもなかった
講義まではあと1時間あるし、なんとなく早く起きてしまったので大学に来ただけだった
橋の下を通り抜け、中央広場に出る
うちの大学は市内でも屈指の敷地面積を誇り、中央広場には大きな木がいくつか植えられている
そこを下にいくと緩やかなスロープが200mほど続き、
その先には大学名物、10km先からも見えるという巨大な研究棟が見える
俺はこの美しい研究棟がとても好きだった
この研究棟を眺めるのが毎日の俺の日課だ
最初の頃こそもの珍しさにいつも眺めていた俺の同期生たちも
もうこの頃になると目もくれないようになっていた

やることもないのでとりあえずガーデン横にあるネットカフェに向かう
こんな朝っぱらからネットに繋いでる輩なんて俺一人……といつも思うものだが
予想に反し、どんなに早く行っても2、3人はいるものである
朝の静かなネットカフェ、俺はこの空気が嫌いじゃなかった
手慣れた動作でノートを開き、LANに繋ぐが特に繋いでもやることが無いことに気づく
「とりあえず2chでも回るか……」
専用ブラウザを開きながら、ふと思った
「そういえば、5年ほど前から言われている都市伝説のようなものがあったなぁ」
それは女性経験の無い男性が18歳までに童貞を捨てなければ女体化するというもの
聞くに馬鹿らしいこの都市伝説は真っ向から否定……いや、否定するまでもないようなものだった
だが2chの俺が居ることの多いニュー速VIP板では時折、思い出したかのようにこの伝説の関連スレッドが立つ
「俺、女体化しちまったんだが……」「女体化した俺がおっぱいうp」
だがこのようなスレッドは大半が釣りで、だいたい200もレスがつけば>>1が釣り宣言をする
本当におっぱいがうpされたりすることもあるが、本当に女体化した者のものなのかは怪しいものである
一時期はVIP全体が祭りのようにもなって、俺も盛んに参加していたが
ブームが過ぎたよろしく、この頃では2週間に一回ほど、回っていれば目に付く程度である
それもほとんどが前述したようなクソスレ、スレッドごとあぼんしても何ら問題がないようなものばかりである
「レポートも近いしな……このネタでも使うか」
俺はそんな軽い気持ちでとりあえずwikiの関連項目を見ることにした


382 名前:>>354 投稿日:2006/09/12(火) 20:45:58.46 QPBo19LH0

だが、関連項目を見て俺は愕然とした
「……ん?」
項目が削除されている……
だがこの時、俺はどうせ古参の誰かが記事に文句つけ出して乗じて荒らしにでも食われたんだろう
ぐらいの認識しか持ち合わせていなかった
「めんどくせ……やっぱ他の議題で作るか」
仕方無く俺は適当なサブカル系の話題にこじつけ
自分の好きなアニメや漫画を全面に押し出したレポートをでっち上げ、とりあえず1000字ほど書いた
「ん……もうこんな時間か、そろそろ講義に行かねば」
慌ててノートを片付けて講堂へ向かう
今日は英語に数学……大学へ来たといっても1年の間は基礎、基礎で高校と対してかわりばえもしない
だが、俺はこの生活が好きだった。高校のような妙な束縛感の無い、自由奔放とまではいかないが
それなりに自由なこの生活が……誰の目にも留められず、誰も目も気にすることのない
少々、退屈も感じていたが、その時はその瞬間を楽しんでいたような……
今となってはそんな思いさえこみ上げてくる。その日が運命の日とも知らずに……


400 名前:>>382 投稿日:2006/09/12(火) 21:07:13.13 QPBo19LH0

2時間目の講義中、急に頭痛を感じた
それほどまで強烈な痛みではなかったが忘れるには少々強い痛みであった
とりあえず2時間目は我慢し、3時間目はサボって帰るか……と考えながらぼんやり講義を受けていた
「……ぐっ!」
刹那、頭を鈍器で殴られたかのような強い痛みが走った
これは流石にヤバイ……と思った時には俺は頭を支えて座っていることすらやっとの状態だった
それも長くは続かず、俺は横に倒れて床に転がることとなった
遠くで何か声が聞こえる……だが俺はその声を聞くことすら億劫になっていた
疲れた、どうしようもなく疲れた。もう休みたい……頭痛すら忘れるほどの疲労感が襲う

気が付くと俺は白いベッドに寝かされていた
周りを白いカーテンで仕切ってある……どこの学校でもありそうな仕切りカーテンに仕切られた一画
そこに俺は寝かされていた
「あ……そうか……」
今の状況を理解するのに30秒ほど時間を要した
俺は講義の最中に強烈な頭痛を感じて倒れたのだ
「ふ……まっさか頭痛で倒れるとは…………ん?」
そこでやっと自分の声が妙なことに気づく。自分の声より明らかに高いメッゾソプラノの声音……
一瞬、誰か隣に居るのかと思って咄嗟に辺りを見回すが誰も居ない
「え…………え!?」
それは明らかに自分の声だった
風邪にでもなったのかと思ったが、声が高くなる風邪など聞いたこともない
ふと前を見ると、可愛い女の子がいた
艶やかな黒髪、柔らかそうな唇、華奢な体躯に似合わない豊かな胸
何よりその大きな吸い込まれそうな瞳が印象的な美少女だった
「ああ……」
言葉も無かった。人間は本当に感動するときは美しいとか可愛いとかそういう単語すら出ずに
ただただ溜息をつくばかりだと聞いたことがあるが、まさか自分が体験することになろうとは思いもよらなかった
ふと、その女の子の周りに額縁のようなものがあることに気づく
ああ、絵だったのか……と、俺は早々に察した


405 名前:>>400 投稿日:2006/09/12(火) 21:14:42.08 QPBo19LH0

だが同時に絵の中の女の子も動いていることに気づく
あれ?絵って動いたっけ……ぼんやりした頭でそんなことを考えていた
「なわけねーよ!!!」
やっと通常の思考を取り戻した俺は叫んだ
すると、絵の中の女の子も同じように口を大きく開けて何かを叫んでいるように見える
「まさか……」
右手を挙げる、女の子が左手を挙げた
左手を挙げる、女の子が右手を挙げた
「…………なに?」
どう見ても鏡だった
どんなに複雑な動作をしてもぴったり同じ動きをする
そんなものはこの世に「鏡」という物体を除いて他に存在し得ない
俺は夢でも見てるんだろうか……そうか、俺はまだ夢を見ているんだ
ぼんやりしながらそう考えてまたベッドに仰向けに倒れる
自分でも分からないほど疲弊していたらしく、すぐに睡魔が襲った
あー、またツマラン日常に戻るのか……まあいっかー
そうぼんやりと考えながら


411 名前:>>405 投稿日:2006/09/12(火) 21:25:17.30 QPBo19LH0

目覚めると、目の前には保健室のお姉さんが立っていた
あまり面識は無いが、顔ぐらいは覚えている。飾り気は無いがそれなりに整った顔をした女の人である
「あ、おはよーございま……」
「…………」
お姉さんは何故か何も言わない、まるでわけがわからないものを見るかのように俺を見つめる
「どうしたんですか?」
「……あなた…………まさか優くんなの?」
わけのわからないことを言う。俺がそれ以外の何であるというのだろうか……
俺は少しイライラしたが、まあそれほど面識の無い人だから仕方の無いことかとすぐに考え直して
「はい、そうですが……」
「信じられない……まさか本当に……」
全く話が見えてこない、何が本当になのか、何が信じられないというのか……
「あなた、童貞だったの?」
「…………えっ!?」
唐突にそんなことを聞かれて戸惑っている俺にお姉さんはまくし立てる
「どうなの?童貞なのそうじゃないの!?」
「え……そ、そうですけど……」
いきなり女の人に童貞なのかと聞かれて慌てない若い男が居るのだろうか?
いるのだったらすぐにここに連れて来てもらいたい
「そう…………あれは……本当だったのね……」
話が勝手にお姉さんの中で進んでいるようである
「何が本当なんですか?それに童貞って……」
「あなたはいきなりでわかりづらいだろうけど……これから話すことをよく聞いて」
先生はいつになく厳しい表情でそう、俺に言い放つ
「え……な、なんなんですk」
「いいから黙って聞いて!質問は後で受けるわ。もっとも、答えられることは限られてるけれど……」


415 名前:>>411 投稿日:2006/09/12(火) 21:38:57.65 QPBo19LH0

それからお姉さんはいろいろなことを話した
女体化伝説のこと、実際になった人のこと……
だが俺はさっきまでそんな伝説のことなど真っ向から否定する立場でいた人間である
そんなこといきなり話されても信じられるはずもなかった
全ての話が終わった後、開口一番、俺は言った
「冗談もほどほどにしてくださいよ」
お姉さんは怒るでもなく、俺にちょっと待ってなさいとだけ言うと奥のほうに消えてしまった
戻ってきたお姉さんの手には少し大きめの鏡が握られていた
「これを見てもまだそう言える?」
目の前に鏡を押し出される
そこには夢で見た形容し難いほど美しい美少女が居た
あれ?夢はまだ終わっていなかったのかと咄嗟に思い、ほっぺたを引っ張ってみる
だが確かに痛い
「何やってるの?……それに、あなた自分の声もおかしくなってることに気づかない?」
「え……?あ、え?ほ……ほんとだ……」
自分が喋ると、夢で聞いたメッゾソプラノの美しい声音が聞こえる
「とにかく、あなたはまだ現状を受け入れられないと思う……けれど、これが現状」
と、言われても俺は頭が真っ白になるばかりである
「って言ってもすぐにはわからないだろうから……まずは寮に帰って落ち着きなさい
 ここだと誰かが来た時に怪しまれるわ……まっすぐ帰るのよ、寄り道して疑念を抱かれるようなことをしないこと」
人間、あまり頭が働かない時は命令されると盲目に従ってしまう
俺もその時は正にその状況下、頭は働かないが、とりあえずそうしようという気持ちになった
「はい……」
「それと、その格好のままじゃ帰るまでに何か危険に巻き込まれそうだからこれに着替えて」
そう言われて俺は自分の体を見た
いつもなら下を見れば足の下まで見えるはずが、何かに阻まれて見えなくなっていた
それは元から着ていたTシャツが大きく張るほどの豊かなバストだった
「全く、嫉妬するわ……」
小声でお姉さんが何かつぶやいたような気がした
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