「ゆうとアヤ xGNwlhKT0」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「ゆうとアヤ xGNwlhKT0」(2006/10/20 (金) 12:57:31) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*** 52 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:47:21.84 xGNwlhKT0
「ごめんっ!待った??講義が長引いちゃって・・・」
息を切らしながら小走りで近寄ってくる少女が一人。
いや、少女と言っては失礼になるのだが・・・なぜなら彼女は20歳。
もう立派な成人女性だ。
「そんな急いで来なくても大丈夫だって。走ってコケたりしたらそれこそ大変だろ。」
そう言って少女にしか見えない彼女の頭をポンポンと撫でる。
「もぉ、また子供扱いするんだから!」と可愛く頬をプクッと膨らませる。
「そんなとこがまた子供っぽいんだよなぁ」そう言って俺は思わず微笑んでしまう。
「ゆう君はまだ高校生でしょ!私は大学生なんだからゆう君とは違って大人なんです~」
やけに得意げにそう言うとアヤは俺の前を歩き出す。
*** 53 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:48:02.34 xGNwlhKT0
そう、俺は高校1年生で彼女は大学生。
年上の彼女がいるとかいいなぁとよく言われるが、そうでもない。
まず体型が子供。身長低いし顔は童顔だし手もすげぇちっさいし話すことも子供っぽいと思う。
まぁ、胸は多少はあるみたいだけど。直接拝見したわけじゃないからわからないが・・・
「ゆう君どうしたの?大丈夫?」
俺がぼーっとしていたのに気づいたアヤがトコトコと駆け寄ってくる。
「あぁごめんごめんボーッとしてた。よしっ今日は何処いこうか?」
「えーっとねぇ・・・」
*** 54 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:48:46.54 xGNwlhKT0
俺とアヤが付き合い始めて約半年。正直焦っている。
何を隠そう俺は童貞。アヤと半年も付き合ってるが未だにキス以上の関係を持っていない。
アヤは子供っぽいし、キスするのも最初は恐がってたしそれ以上のことをすると嫌われてしまうんじゃないかとか
エッチしたいとか言ったらショックで死んでしまうんでは?とかそもそもエッチの存在を知らないんでは?とか
我ながら馬鹿と言うか過保護と言うか、色色な心配をして何も出来ないでいる。
でも、そんなことも言っていられないんだ。なぜなら俺の誕生日まで後2日。16歳の誕生日なんだ。
女体化なんて迷信に過ぎないと思ってる。女体化するのは特異なケースだと聞くし周囲で女体化した人はいない。
それでも、-女体化-それは非常に恐ろしい響きだ。
このまま女体化なんてしてしまったらアヤと付き合いなんてできなくなるし、何より男じゃなくなるなんてごめんだ。
大体にして自分がその特異なケースになったらきっと苦労すると思う。そんな思いしたくない。
だから今日こそ、今日こそ童貞を捨てたいんだ。
*** 55 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:49:29.89 xGNwlhKT0
「今日は公園でお散歩したいなぁ」
「わかった。じゃあ公園行くか・・・」
アヤは俺の決意などしらず無邪気に公園などと提案してくる。
いつも二人で行く公園。そこは広くて市民の憩いの場的な場所で二人でよく散歩したりする。
でも公園じゃあエッチとか出来ないよな・・・いや、いい雰囲気にしてホテルになだれ込むか?
俺の頭の中はそんなことでグルグルと回り続けていた。
「ねぇどうしたの?今日のゆう君変だよ?体調悪い?」
そう言いながらアヤは心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでいた。やっぱり可愛い。
「なんでもねーよ!あぁ今日は良い天気だなぁ」なんて誤魔化してみる。
「何か悩みでもあるの?良かったら話聞かせて欲しいなぁ。」と真剣な顔でコチラを伺うアヤ。
俺がもし女体化したらアヤは悲しむだろうか?それを止める為にアヤは俺に身をささげてくれるだろうか?
確かめない限りその答えは出ない。思い切って口火を切ってみる。
*** 56 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:50:12.54 xGNwlhKT0
「なぁ、アヤ。俺の誕生日もうすぐなんだ。」
「知ってるよ。ちゃんとプレゼントも準備してるんだよ!楽しみにしててね!」と嬉しそうに微笑むアヤ。
「うん・・・それは嬉しいな。」
「ふふふっゆう君が喜ぶ顔早くみたいなぁっきっとビ・・・」
「なぁっ、16歳までに童貞捨てなきゃ女体化する話って知ってるか?」
イキナリ言葉を遮られたアヤはビックリしたような顔でコチラを見てる。
普段の俺なら絶対そんな事はしない。でも今はそれどころじゃないんだ。
俺の真剣な表情を見てアヤも少し緊張した表情になる。コレは大事な話だとお互いに認識する。
「・・・知ってるよ。」アヤが少し俯きがちに答える。
「俺は女なんかになりたくないんだ。俺はこの先ずっとアヤと付き合っていきたい。
だから女なんかになりたくない!アヤだって俺が女になるなんていやだろ?」
思わず感情的になってしまった。でも、アヤ。お前ならわかってくれるはずだ。そう思いたくて恐る恐るアヤの方をみる。
アヤは・・・泣いていた。
*** 57 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:51:20.30 xGNwlhKT0
「アヤ?!どうした?何で泣いてるんだよ?」
「ゆう君・・・ごめん・・・私、16歳の誕生日に女体化したの。ほんとは男の子だったの。」
「・・・!」
衝撃的な事実だった。アヤはどこからどう見ても女の子だし、名前だって!性格だって女そのものじゃないか!
女体化した人間を目の当たりにして俺は戸惑いを隠せないでいた。まさかアヤが・・・?
「ビックリしたでしょ?私は16歳の誕生日に女体化したの。特異なケースだったの。」
アヤは涙をぬぐいながら、いつもとは違う大人っぽい表情で話し始めた。
「女体化してからの生活は本当に大変だった。周囲からは気味悪がられ、普通の生活なんて到底できない。
家族も私をどういう風に扱って良いかわからずただみているだけ。私は身体の変化についていけずに毎日泣いて暮らしてた。」
「・・・そんな過去があったのか。」アヤは自分の過去を話したがらない。特に気にしてなかったけどそんな事実があったなんて。
「でも、毎日泣いてても時は流れていくの。私は決心した。学校辞めて大検とって大学行こうって。
そのために独学で勉強して女の子に見えるように努力して、名前もアヤトからアヤにした。」
「アヤ・・・ごめん俺・・・」
「いいの、女体化した人間の苦労は生ハンパじゃないって一番わかってるのは私だから。
だから、だからゆう君にはこんな経験して欲しくないと思ってる。だから私を捧げたいと思ってる・・・だけど・・・」
「だけど・・・?」
*** 58 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:52:17.41 xGNwlhKT0
アヤは空を見上げて涙を我慢しているようだった。そして静かに目を閉じると振り絞るような声でこう言った。
「・・・身体は女の子だけど、心までは女の子になりきれないよ。」
「それは・・・それはつまり・・・」
「ごめんね、ゆう君の事は大好きだよ。だけど性の対象としてみれない。
一生懸命女として好きになろうとしても、キス以上の事は考えられないの・・・」
なんてことだ。俺はずっとアヤを女の子として意識してきたがアヤはそうじゃなかったなんて。
アヤは俺とするキスをいつもどんな風に思っていたんだろう。なら、ならどうして俺と付き合ったりしたんだ・・・!
やりきれない怒りと悲しみがフツフツと沸いてくる様だった。
「アヤ・・・アヤは何故俺と付き合ったりしたんだ・・・?俺は・・・俺は真剣にアヤが好きだった。今も好きだ。」
「私だってゆう君が好きだから付き合ったんだよ。でも好きになればなるほど自分の中の男を消すことが出来なかった。
自分の中では消しきれない本能が疼くぐらいにゆう君が好きだったんだよ・・・?」
「そんな・・・そんな事言われても俺・・・俺わかんねーよ!!」
これ以上ここにはいたくない、そう思ったおれは思わず走り出していた。
アヤの声が聞こえた気がするが、よくわからない。空耳だったのかもしれない。
*** 59 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:53:01.98 xGNwlhKT0
俺はベッドに臥せっていた。
最低の誕生日を向かえそうだ。俺はアヤが好きだ。アヤが女体化した人間だとしても愛していける。
アヤは自分の心は男だから俺を受け入れられないと言う。俺は、俺はたとえアヤが男でもきっとアヤを受け入れるだろう。
実際心は男だと聞いても俺の気持ちは変わらない。15歳やそこらのガキが言えることじゃないけど真剣に俺はアヤを愛してる。
俺が女になれば。俺が女になればアヤは俺を愛してくれるだろうか?
俺が身も心も女になればアヤは俺を受け入れてくれるんだろうか・・・?
わからない。
わからないけど・・・それが可能性なら俺はその可能性にかけてみたい。
誕生日は明後日。明後日になれば何かが変わるかもしれない。
バカバカしい。女体化する可能性自体が奇跡に近いんだから、そもそも俺は何も心配しなくて良かったんだ。
結局はエッチがしたかっただけなのかもしれない、もしかしてアヤはそれをわかっててあんな話をしたのかも。
そうだ、そうに決まってる、きっとアヤが俺を懲らしめるためにあんな作り話をしたんだ。
ごめんな、アヤ。俺もう馬鹿な事いわないから・・・そんなことを思いながら俺は眠りに落ちていった。
*** 60 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:53:48.13 xGNwlhKT0
次の朝、携帯にはアヤからのメールと留守電が入ってた。
どうしても恐くて内容を確認できなかった。そのまま携帯の電源を切って学校に向かった。
いつも通りの授業を受けいつも通りの毎日を過ごす。
違った事と言えば友人達から「ゆうは年上の彼女がいるから女体化しねーなw」などと言われた事だった。
人の苦労も知らないで好き勝手言いやがって・・・適当に受け流しておいた。
学校も終わりカラオケに誘われたが行く気分にもなれずパスして帰路につく。
気がつくと公園に向かって歩いていた。昨日あんなことがあった公園になんて行きたくないハズなのに。
いつも座ってるベンチに誰かが座ってる。・・・アヤだ。
逢いたくない、このまま立ち去れば俯いてるアヤは俺に気づかないだろう。
そう思いながらも避けることは出来ずおれはアヤに声をかける。
「隣座っていいか?」
はっと顔を上げたアヤは泣いてるような笑ってるような表情をして「よかった・・・」と言った。
「携帯・・・どうしたの?」とアヤがポツリと言った。
「あぁ、なんとなく放置してた。」俺はわざとそっけなく答える。
「そっか・・・」アヤは少し悲しそうに言った。
暫くの沈黙。デートの時の沈黙は苦しくなんて無くてベンチに座ってても寂しくなんてなかったのに
今はアヤと俺との間に空いたたった10センチの距離が遠い。
*** 61 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:54:51.93 xGNwlhKT0
「昨日は・・・ごめんね・・。」アヤが沈黙を破った。
「謝ることなんかないよ。あれがアヤの本音なんだから。」
「・・・ほんとにごめん。」
アヤが謝るたびに昨日の言葉が現実なんだと突きつけられるようで苦しい。
「だからもう謝るなよ!!・・・もう、もういいんだ。」
アヤが黙って俯く。悲しそうな顔。そんな顔しないでくれ・・・
「アヤ、アヤは俺が女体化したら、心も身体も女になれば俺を愛してくれるのか? 俺を受け入れてくれるのか?」
思わず昨日考えていた事を言ってしまう。アヤを離したくない。
「え・・・?」アヤが驚いた表情でこちらを見つめる。
「俺は、アヤと一生一緒にいたい。それなら女体化してもいいと思ってる。」
「馬鹿なこと言わないで!女体化したら本当に苦労するんだよ!!1 軽々しくそんな事言ったらダメ。」
「わかってる、それでもいい。アヤと一緒にいたいから。」
「ゆう君・・・」
*** 62 名前:ID:xGNwlhKT0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 10:55:34.02 xGNwlhKT0
俺たちは約束した。俺が女体化したらアヤとは別れない。俺が女体化しなかったらアキとは別れる。
自分でも馬鹿な約束をしたなと思う。女体化するほうが奇跡なのに。
でも俺は自分の運命を信じたい。
今俺は自室のベッドで静かに時を待っている。
俺の運命を変える時間まで1時間。それまで何を思い何をすればいいかな。
不安だけど、こんな不安なら大歓迎だ。
まだまだこどもの俺だけどアヤを真剣に愛してる・・・・だからきっと。
【終了】
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: