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*** 704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/14(木) 01:08:12.45 Pv6WRmPW0 「ふう…」  今年に入ってから、何度目のため息だろう…、俺は指折り数えて、次の誕生日までの日数を確認した。 「あと、2週間、か…」 「おーいゆきちゃん?なに深刻な顔してるんだよ?」 「ゆきって言うな!俺はよしのり、だと何度言えば…!」  これまた何度も繰り替えしてきた言葉をはき出しながら振り返ると──聞き覚えのある声の予想に違わず、そこには小学校時代から腐れ縁の泰雄がいた。 「まーまー、いつものジョークじゃないか、何を今更…」  泰雄は悪びれるそぶりも見せず、肩をすくめて見せた。 「そういやゆきちゃん、もうすぐ誕生日だろ?そうすりゃ晴れて17才だ──どうやら、大丈夫みたいだな」 「ああ、なんとかな」  俺はかろうじて笑顔を作って、泰雄に気取られないよう答えた。 「じゃ、俺は部活があるから。じゃな!」  爽やかな笑顔で軽く敬礼のような真似を残して、泰雄は教室を出て行った。  サッカー部で花形のFWのポジションにいる泰雄は、クラスだけでなく、ほぼ全校女生徒のあこがれの的といっていい。2ヶ月とおかず、横に連れている相手が変わっていることも珍しくない。 …つまり、泰雄はこの先ずっと男のままでいられるのが確定しているはずだ。いや、ヤツの誕生日はもう1ヶ月ほどまえに過ぎたはずだから、決定的だ。  対して俺は…17才の誕生日まであと2週間。泰雄のように運動部で目立ってもいないし、所属している部活も無線部とかなりオタク要素の高い、女子にはまるで見向きもされない存在だ。 「ふう…」  俺はまた、ため息をついていた。 「ちょっと由紀(よしのり)!あたしたちの泰雄さんと馴れ馴れしくしないでよ!」 「え、あ…ごめん」  つい反射的に謝ってしまった。その声の方を見ると、泰雄の追っかけグループの一つでリーダー的存在になっている明日香がいた。 *** 709 名前:703 投稿日:2006/09/14(木) 01:30:27.08 Pv6WRmPW0 「あんたがまだ女性化してないなんて信じられないけど…、まさか…」  明日香は大げさに身震いして見せながら、俺に対する嫌悪感をあらわにしていた。  そう、このところ、15,6才が終わる頃、それまで男子だった生徒がいきなり女子になるという現象がおきていて、そのどれもが例外なく童貞だった──という事実がある。  つまり、明日香は俺がすでに童貞じゃない可能性に驚いているらしい。  俺は精一杯の虚勢を張りつつ、 「ま、そういうことだ」  内心冷や汗をかきながらそう答え、教室を後にした。 「ふう…」  無線部の部室に入った途端、足から力が抜けるのをなんとかこらえ、今日一日で何度目かのため息をついた。 「やばかった…まだ童貞だってこと、気づかれてないよな…?」  独りごちながら無線機の前に座り、いつものように電源を入れていく。 ──ピーーーギャギャギャ………Q…CQ…this is J…1Z○R  無線機から聞き慣れたコールサインが聞こえてきた。隣の市にある高校のクラブのものだった。 ──J…1Z○R、this is J…1Y○K  いつもの放課後のように、無駄話をするべく相手のCQ(呼び出し)に応えた、…が… 今日はいつものオペレータとは違うのだろうか?あの高校も男子の部員しかいないはずなのに、今日はCQを出していたのは女子の声に聞こえる。 *** 718 名前:703 投稿日:2006/09/14(木) 02:11:32.92 Pv6WRmPW0 ──J…1Y○K this is J…1Z○R こちらの呼びかけに応じてくれたらしい。 ──J…1Z○R まいどこんにちは、西陵高校無線部の由紀です。今日は新入部員さんなのですか? どうぞ ──J…1Y○K こ、こんにちは…東星高校無線部の斉藤です。えっと、…新入部員じゃないんですが…わけあって… あの、どうぞ… ──J…1Z○R あ、そうなんですか。じゃあ、やっと免許が取れたってとこなのかな? おめでとうございます。 それにしても、東星さんに女子の部員がいたとは知りませんでした。 どうぞ ──J…1Y○K え、ええ、まあそんなところです…。あの、今日は練習なので…これで失礼します。ごめんなさい。  そういうと、東星高校の斉藤さんはそれきり無線に出てこなくなった。 (ちぇっ、でもびっくりした…いつの間に女子部員が増えたんだろ?いいなぁ… ウチにも、女子の部員、来ないかな…。)  そんなことを考えながら、いくつかのCQに応えていると、学校のチャイムが鳴った。「おっと、もうこんな時間か…帰ろ」  独りごちて、無線機を片付け、下校の準備をしていると、 「ゆきちゃ~ん、もう終わりだろ?一緒に帰ろうぜ?」  誰もいないと思っていた部室の入り口から不意に声をかけられ、びっくりして振り向くと、やはり部活を終えたらしい泰雄の姿があった。 *** 720 名前:703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/14(木) 02:26:31.02 Pv6WRmPW0 なんかそろそろ眠気限界なので、トリ付けておきます。 「! なんだ泰雄か…びっくりさせるなよ…もうすぐ片付け終わるから、ちょっと待っててくれ」  俺はそういうと、片付けを急いですませ、帰り支度をした。 「おまたせ…って、なんか後ろに女子がいるようだけど…?」 「ん?ああ、気にすんな。途中まで同じ方向だって言うから、一緒に着いてくるんだとさ」 「ふうん…」  自分が目的ではなく、泰雄が目的だとしても、近くに女子がいるとドギマギしてしまう自分に少しの自己嫌悪を抱きつつ、気にしない振りをしながら女子の方をみてみると、なんと先ほど俺に文句を言ってきた明日香だった。  明日香は俺にあからさまな侮蔑の視線を向けた後、何事もなかったように笑顔で泰雄に話しかけていた。 「ねぇねぇ泰雄さん、なんで由紀なんかと一緒に帰るの?」  その言葉は、表情とは裏腹に、俺の心に突き刺さってきた。 「なんかってゆーな!ゆきちゃんは俺のダチだから、な」 「ふぅ~ん…ま、あたしは別に眼中にないからいいけどさ…」  いちいち癇に障る言葉をはき続ける明日香に、俺の心はますます落ち込んでいった。 *** 39 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/16(土) 23:53:21.51 chrZz7f40 ちょっとだけ進んだので、投下  あのあと、泰雄とは何度か言葉をやりとりしたような覚えはあるけど、いつ彼らと別れて、自分の部屋まで戻ってきたのかは覚えてない──気がつくと、見慣れた自室にいた。 「ふう…なんで、泰雄ばかり…」  泰雄に八つ当たりしても仕方ないのはわかっている。泰雄は同じ男の俺から見ても、カッコイイのだ。 (対して俺は…ふう…)  あらためて鏡を見てみると、そこにはさえない顔をした男がいるだけだった。 (いっそ、モテないままの人生なのなら──)  ふと、自分が女性化してしまったときの事を考えてしまう。 (不細工な方が、女性化したときには可愛くなるっていうウワサだし…、いっそ、女性になってしまった方が、楽しい人生になるのかな?) (もし、俺が女の子になったら──それも可愛くなれたら──どうなるんだろ?) (でも、父さんも母さんも、16才の誕生日に、男のままでいたことに、すごく喜んでたし、うちは一人っ子だし、悲しむかな…?) *** 45 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 00:10:00.85 lrfm/Xaa0  そして、2週間という短い間では、生活に大きな変化があるわけでもなく、由紀は17才の誕生日を翌日に控えていた。 「いよいよ明日は由紀も17才ね。お母さん嬉しいわ」  女性化することなく、17年を過ぎ、18年目も男のままでいられるであろうことに喜んでいるようだった。 「うん…」  母さんの言葉とは裏腹に、俺の気持ちは沈んでいくのを抑えることは出来なかった。 「母さん、もし…あの、さ…」 「ん?なあに?」 「ううん、なんでもない。ごめん」  童貞のまま17歳になっても、まれに女性化しない例もあるらしいし、明日になっても俺が俺のままでいられれば、またいつもの生活が続くはずなのだ。  沈んだ気持ちを無理矢理振り払い、16才最後の夕食をとり、ベッドに潜り込んだ。 *** 60 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 00:32:58.33 lrfm/Xaa0  その夜は、いつにもまして寝苦しかった。普段は滅多にない、夢精の感覚もあった気がする。  それでもいつしか夜は明け、朝日が窓から差し込み、目覚まし時計はいつもの時間にけたたましく鳴って、俺を眠りから起こした。  夜の間はともかく、いつもと同じ目覚めに、俺は少しほっとしつつ、普段通り洗面台に向かった。 (ふぅ、なにもおこらなかった…よな? でも、なんか今日は目がよく見える気がするけど…よく眠れたからかな)  洗面台で顔を洗って、タオルで拭いているときに、微妙な違和感を感じ、普段は気にすることもない鏡を覗き込んでみた。 「───!!!」  俺は声にならない悲鳴をあげていた。鏡の中には、俺じゃない誰かがいた。 (ま、まさか──!?俺、女になっちゃった?) だんだん短くなってる気がするのは、気のせいなんだぜ?wwwww ***77 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 01:20:09.71 lrfm/Xaa0  なんとか平静をつくろいながら部屋に戻り、朝食をとる気力もなく、部屋で呆然としていた。 (なんで? って言っても、まあ、経験ないからなんだろうけど…でも…) 「由紀ー?起きてるならご飯食べなさい」  階下から母さんの声が聞こえてくるけど、返事をする気にもなれなかった。  頭の中では、どうやって今日、いや今後をごまかすか…だけ考えていた。  とりあえず、いつもの通り詰め襟の制服を着てみると、もとから細めの体型だったのが幸いし、さほどの違和感もないに見える。 が、どうしても男にはない胸がきつめになってしまうのは我慢するしかないみたいだ。 「あ、あー」  小声で声を出してみると、やはり少し高くなっている気がする。洋服ダンスの姿見で見てみても、明らかにのど仏がなくなっているように見える。 「あ゛、あ゛ー」  意識して低い声を出してみると、今までの自分の声に近づけることができた。 (よし、なんとかこれで…) 「今日はなんか気分がすぐれないからご飯いらない~」 「そう?熱はないの?」  階下から母さんが聞いてきた。声では気づかれなかったようだ。 「うん。ぎりぎりまで休んで学校行くから平気~」 「そう?そろそろ受験に向かって大変なんだから、気をつけてね」 「わかってるよ!大丈夫だって」 なんとかごまかし、あらためて鏡の前に立ってみた。 *** 7 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 22:42:37.80 o+V9jFdA0 じゃあ、燃料代わりに少しだけ投下。 まだまだ完結は遠い彼方にある気がする…orz (とうとう、女になっちゃったのか…)  顔つきは顎のラインが少しすっきりし、一重だったはずのまぶたが二重になっているせいで目も少し大きくなったような感じがする。ぱっと見てわかる変化だったが、全体的には変わる前の面影を残していたのが幸いだった。 (う~ん…やっぱ、わかるよなぁ…どうしよ…) 髪の毛の長さまでは変わっていなかったが、スポーツ刈りとは無縁の生活だったので、変わってしまった顔立ちとの違和感も少ないようだ。 (まあ、声に注意してれば、なんとか、なる…か。となると…)  俺はおそるおそる一度着た詰め襟の前ボタンを外すと、意を決して上着を脱いでみた。(うわ…)  鏡に映る自分の体は、明らかに昨日までのものとは違っていた。  ワイシャツの上からでもわかるほどに、胸が大きくなっている。下着代わりにTシャツを着ているから、幸い乳首は目立っていない。  ウェストも細くなっていた。もともと太っているわけではなかったけど、ベルトの穴が今までより3つ分も細くなっていた。 (女の子って、こんなに細いものなんだ…) 「由紀~、そろそろ行かないと遅刻するわよ!」  母さんの声で我に返った。 「わ、わかってる!もう行くトコだから」  あわてて上着を着て、声を作って返事をすると、母さんに止められないように急いで家を出た。 *** 13 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 22:48:01.20 o+V9jFdA0 「よおゆきちゃん、おはよ~」  いつもの時間に駅で電車を待っていると、後ろから声をかけられた。  ふいのことに驚いて後ろを見ると、泰雄が立っていた。 「あ、ああ、泰雄か、おはよう」  俺は、気取られないよう努めていつものように挨拶した。が、泰雄は早くも微妙な表情をしている。 (まさか、もう気づかれた──? いや、まだ確信は持ってないみたいだし、なんとか誤魔化せるか──)  内心冷や汗をかきながらも、なるべく声をつくりつつ、いつものように無駄話をしていた。 「ところでゆきちゃんてば、今日、誕生日だったよな?大丈夫だったのか?」  唐突に泰雄が声をひそめて聞いてきたので、心臓が一瞬止まったような気がした。 「あ?あ、あぁ、まぁ、な…」  気が動転したせいか、曖昧な答えしか返すことが出来なかった俺を見た泰雄の表情がさらに変わった。 「まさか? そうなの?」 続きは鋭意執筆中なんだぜ? *** 18 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 23:05:00.01 o+V9jFdA0 (やばっ…気づかれた…かな?)  そんな俺の動揺を見抜いたのか無視したのか、泰雄がどれどれと軽い口調で言いながら俺の胸に手を当ててきた。 「あっ、ちょっ…」 「ふぅ~ん…」  泰雄はビックリしてなんの抵抗も出来なかった俺の胸をさらに揉んできたのだ。 「あ…」 (なんでこんな声が!?)  俺は自分の口から出た声に驚いてしまった。 「ゆきちゃん…、かわいい声だすじゃないか?」  泰雄が俺の耳に口を近づけて、小声でささやいてきた。その吐息が耳にかかった時、ゾクッとした快感があり、俺はもう、赤面してうつむくことしかできなかった。 「ま、こうなるんじゃないかと思ってたけど、な…」  泰雄は知っていたはずだ、俺が童貞だったと言うことを。つまり、半ばわかっていたということか…。 「うん…、でも、なるべく秘密にしてて…おねがい」  俺はあきらめて、泰雄に打ち明けた。泰雄はちょっと驚いた顔をしたが、すぐに 「わかった。少なくとも俺は口外しないよ」 と、約束してくれた。 *** 23 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 23:20:17.17 o+V9jFdA0  泰雄がすんなり約束してくれたのでほっとしていると、 「でも、一つ条件がある、かな?」 「え、どんなこと?」 「普段は今まで通りでもいいけど、二人になったときは女として接するぜ?」 「え?それって?」  俺が面食らっていると、泰雄の口から思いがけない言葉が発せられた。 「だって、いくら昨日まで男だったとは言え、女になったゆきちゃん、かわいいしさ。俺だって男なんだから、理性が押さえられなくなっても知らないぜ?」  俺はその提案に一抹の不安を覚えながらも、了承するしかなかった。 「わ、わかった…」 「じゃ、今日からゆきちゃんは幼なじみで、かわいい彼女、だな」 「え?いま、なんて?」  泰雄の言葉を聞き間違えたのかと、思わず聞き返した。 「だって、幼なじみは変わりようがない事実だけど、男同士じゃないから、そうなるだろ?」  泰雄がさも当然と言った顔でそう言いきった。 「そ、それもそう…か?」  俺は内心なんか納得がいかない物を感じながら、そういう物かと思ってしまった。 *** 31 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 23:44:20.28 o+V9jFdA0  その日の学校生活は、なるべく人と話すのを避けることで、なんとか気づかれずにすんだようだった。普段からあまり友達がいないせいか、怪しむ人はいなかった。  授業で先生に当てられたときはドキドキしたが、声を作れたせいでやり過ごすことができた。幸いだったのは、今日は体育の授業がなかったということだ。  今日は泰雄の部活がグラウンドの順番とかで休みらしい。一緒に帰ろうというので、俺も部活を休み──といっても、部員は俺だけなのだが──一緒に帰宅することにした。  登校口で待ち合わせ、駅の近くのファストフードに入り、小さな二人がけの席に向かい合って座っていた。 「そういや、もう親には言ったのか?」  泰雄の問いかけに、内心どきりとした。 「い、いや、まだなんだ…どうしよ?」 「隠すのはいいとしてさ…手続きとかしないとまずいだろ?それに、体育の授業だってあるんだぜ?」  そうなのだ、体育の授業は男女別に2クラスごとに行われる事になっている。最近は女子の人数がやや多くなってしまったせいで、女子の場合は3回に1回は家庭科の授業になっている。  今までにも、女性化してしまっても、男子と一緒に体育の授業を受けていた人もいるけど、数回で他の男子が授業に集中できないという理由で女子の授業に参加させられるようになっていた。 *** 38 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/17(日) 23:59:16.06 o+V9jFdA0 「それに…」  泰雄が声をひそめて続けた。 「ゆきちゃんが、書類上も女子になれば、堂々と付き合えるしな」 「ちょ、それって…」  思いもよらない泰雄の言葉に、俺は唖然とした。 (俺は…今まで通りの友達付き合いがいいんだけどな…)  そんな内心を知ってか知らずか、泰雄は現実を受け入れて正式に手続きすることを勧めてきた。 「でも…おれ、昨日まで男だったんだぜ? それなのに?」 「でも、今は女だろ?」 「そ、それはそうだけどさ…」  そんなやりとりをしているうちに、せめて両親には打ち明けるべきだという泰雄の提案を受け入れ、帰ったら話そうという気持ちになっていた。 「おっと、もうこんな時間か。そろそろ行こうぜ」  泰雄が時計を見て立ち上がる。 「そうだね、帰ろうか」  俺も立ち上がりながら、トレイを持とうとすると、泰雄が先に持ち上げた。 「こういうのは、男の役目だぜ」  キザなせりふをはく泰雄を、今までの友達と同じように見れなくなっている自分に驚いてた。 *** 50 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 00:47:13.93 5gUctN2c0  帰り道、途中にそれなりに大きな公園があり、そこを通るのが近道なので、泰雄と二人で歩いていた。 「なあ、ちょっと座らね?」  ベンチがいくつか置いてあるところに差し掛かったとき、泰雄はそう言って腰を下ろした。俺もその隣に座る。 「どしたの?」 「いや…、ちょっと、さ。ゆきちゃんと初めて会ったときからのこと、思い出しちゃって」 「ああ…家族ぐるみの付き合いだもんな。色々と一緒に遊びに行ったし」 「その、男同士で遊んでたゆきちゃんはもう、いないんだな、と思ってさ…」  泰雄の言葉にどきりとした。表面上は軽口をついていた泰雄も、悩んでいたのらしいことに、申し訳ない気分になる。 「泰雄…なんていうか…ごめん」 「ん?ああ、いや、べつにゆきちゃんが謝ることじゃねーって」  泰雄は笑顔でこっちを向いてそう言ってくれた。 「それに、これからは彼女だしな。一人で幼なじみと、ダチと、彼女の三役なんだぜ?こんな経験、滅多にないことだしな」 「ちょ、それって…マジで言ってる?」 「もちろん、本気だぜ?」  そういうと、泰雄の顔が近づいてきた。 (えっ…えぇ~っ。ちょ、いきなり?)  あまりの展開に反応できないでいると、唇に泰雄の唇が重ねられた。 (ちょ、ちょっとまって…)  そう思いながらも、体は硬直してしまって動けなかった。 *** 71 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 01:28:02.48 5gUctN2c0  次の日──俺は学校を休むことになった。  昨日、あの後家に帰ると、母さんに自分が女性化してしまったことを話したのだ。  母さんは驚いていたけど、なってしまったものはしょうがないということで、女になった俺を受け入れてくれた。父さんも、帰宅するなり母さんに聞いた時は驚いたらしいけど、現実を受け入れるしかないと納得したらしい。  それよりも、両親が驚きつつ混乱してる中で、ちょっとほっとした雰囲気があることに疑問を覚えたので聞いてみると、 「だって、不純な交際をしていなかったってことでしょう? そうすれば確実に男の子のままでいられるとは言え、そうしなかったことにほっとしてるのよ」  母さんはそう答えた。 「それよりも、明日は学校に連絡しておくから休みなさい。服とか揃えなくちゃいけないから」  そして──駅のデパートで、母さんが服を選んでいるのを半ば他人事のように見ていると、なぜか妙に喜んでいるように見えた。 「なんでそんなに嬉しそうなの?」  思わず口にでてしまった。 「だって、うちは一人っ子でしょ? ほんとは女の子も欲しかったんだけど、出来なかったから」  母さんはそう言うと、抱えきれないほどの服をレジに持って行った。 (そういうものなのか?それでいいのか?)  なんとなく釈然としない物を感じつつ待っていると、母さんが戻ってきた。 「さ、次は下着よ。こればっかりはサイズがわからないから、自分で選んできなさい」 「え~、自分でもわからないよそんなの」 「それもそうね。あ、店員さーん、ちょっとすみません。この子の下着のサイズ、測ってもらえません? 初めて下着を買う物ですから…」  母さんは下着売り場近くにいた店員を呼び寄せると、俺をその人の前に押し出した。 *** 85 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 01:51:51.07 5gUctN2c0 「はい、ではこちらにどうぞ」  女性店員は俺を試着室の中に案内すると、彼女も入ってきた。  今までだって、こんなに女性と狭いところで一緒にいたことがない。 「では、サイズをお測りいたしますので、上を脱いで頂けますか?」 「えっ服の上から測るんじゃないんですか?」  俺は驚いて聞いてしまった。なんか元男ってバレバレなんじゃないだろうか? 「初めてと言うことですので、正確にお測りした方がよろしいかと思いますよ」  女性店員はなれているのか、気づいていないのか、それとも知らない振りをしているだけなのかはともかく、気にしていない様子だった。 「はあ…それもそうですね」  俺は妙な恥ずかしさを覚えつつ、上半身裸になった。 「失礼しますね。ちょっと脇を開いてください」  言われるまま、店員にサイズを測ってもらう。 「トップが86で…、アンダーが67ですね。このサイズですと、C70か、E65と書かれたものが合うと思いますが、どちらにいたしますか?」  そう言われてもわかるはずがない。 「では、少々お待ちください。試着して頂いた方がよろしいでしょうから」  困っていると、店員はそう言ってブラジャーを2つほど持ってきた。 「まずはこちらがE65のサイズです。着け方はわかりますか?」 (うう…これは羞恥プレイなのか?) 「いえ、あの…わからないです」  恥ずかしくてそう答えるのがやっとだった。  その後、店員からブラジャーの着け方をレクチャーされて2つのサイズを試着してみたところ、どうやら俺のサイズはE65だということらしい。ブラジャーを着けると、今までよりもさらに胸が強調されるようになった。 なんか、全然本筋に進まないのは勘弁なんだぜ? ***94 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 02:29:44.79 5gUctN2c0  そして、役所での改姓手続きを終え、俺は『よしのり』から『ゆき』になった。  漢字ごと名前を変えることも出来るそうだが、今まで使ってきた由紀という字に多少なりとも愛着があったし、なにより読みを変えるだけだったので、違和感も少なくて済むことが大事だった。  それに、ずっと俺のことをゆきちゃんと呼んでくれていた人もいることだし。 「学校の制服は注文しておくから、それまでは私服でもいいみたいよ」  母さんのその言葉に、明日からの学校はどうしようかと悩んでしまったが、結局悩んでも仕方ないので、当たり障りのない服装で登校することにした。  家に帰ると、今度は生活上の注意点を母さんからあれこれと聞かされる羽目になった。  歩き方、言葉遣いから食事の作法、果てはトイレのことまで、男のときにはどうでもいいことが、女性となった今では大切なことなのらしい。  その夜、自室に戻ると、昼間買ってきた大量の洋服を整理しながら、泰雄にメールした。 『あのさ、親に言ったら、学校から役所から、みんな手続きさせられた、っつーかされたよ』  メールすることで、少し気分が楽になった。ケータイはすぐにメールの着信音を鳴らした。メールはもちろん泰雄からだった。 『やっぱな。今日休んだからそうだと思ったよ。帰りのHRで担任が言ってたぜ。おまえが女子になったってな』 『ちょ、まじか?』 『ああ、だから安心して女子の格好で登校していいぜ。てか詰め襟なんかで登校したら許さないからな』 『なんで泰雄にそんなこと言われなくちゃならないんだよ?』 『だって、ゆきは俺の彼女だろ?彼女が詰め襟なんか着てたらやだし』  泰雄の返信を読んで、知らず知らずため息がでてしまった。 (そっか…、俺はもう、泰雄の彼女なんだっけ…) *** 100 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 02:52:52.19 5gUctN2c0  夕方、公園でキスされた唇の感触を思い出し、顔が赤くなるのを感じていた。 『う、うん…でもさ』 『なに?俺が彼氏じゃ不満か?』 『いやそうじゃなくて…泰雄はさ、つい一昨日まで男だった俺で、ほんとにいいの?』 『もちろんだって、ゆきだからいいんだよ。それと、「俺」はもうやめろよな』 『わかった…ありがとう。でも、学校では普通に友達の振りしてたほうがいいと思うんだ』  このとき、泰雄がメールで俺のことを「ゆきちゃん」から「ゆき」に変わっていることに気が付いて、なぜか顔が火照るのを抑えられなかった。 『なんで?べつにいいじゃん』 『いいならいいけど…泰雄に変な噂とかたったらやだもん』 『あ、そういうことか。なるほどね…それもそうだな』  やっと思い立ったらしい。 『でしょ? だから、しばらくは幼なじみの立場を使った方がいいんじゃないかな』 『そうだな、そうするか。学校の外ではゆきが彼女ってのは、変えないからな』 『わかった。じゃあそろそろ寝るね。おやすみ』 『おやすみ~。また明日な』  俺はケータイを充電器に置くと、ベッドに横になった。  泰雄の事を考えていると、自然に体が熱くなってくる。 (これって…恋、してるってことなのか?女になって、まだ2日目なのに…) ***149 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 08:58:57.79 jUaXvyH20 もまいらもはよう ノシ 起き抜けでgdgdな文章になっちゃったけど投下  無意識に右手が胸を触っていた。独りの時は意識して気にしないようにしていたけど、柔らかくもしっかりと存在感を主張する胸に、改めて自分が女になってしまったことを思い知った。 「ん…」  今まで感じたことのない感覚に、自然と声がもれた。やめなければ…という思いと裏腹に、躰はどんどん高まってくる。 (や、泰雄…)  快感が高まってくると、乳首が硬くなり、さらに感度を上げていく。つまんでみると、さらに強い快感が走った。 「ひゃっ…ぅん…」  今までだって、オナニーくらいしたことはある。しかしそれとは全く違った快感に、もう、やめよう、などとは思わなくなっていた。  左手で今日初めてはいたスカートをたくし上げ、やはり今日初めてはいたパンティの上から股間を触ってみると、くちょ…という感触があった。 (濡れてる…)  自分の躰が、すでに女性としての感覚になっていることに少しのショックを覚えつつも、これからは、女として生きていくしかないと思い知った。 (あ…あぁ…気持ちいい…)  パンティの上から触るだけでもこれだけ気持ちいいのに、直接触ったら…。  すでにかなりの水分を含み、重たくなったパンティを下げ、おそるおそる触ってみた。「ひゃぅっ…」  ちょっと触れただけで、今までとは比べ物にならない快感が全身を駆けめぐる。 (な、なにこれ…気持ちよすぎるよ…)  どんどんと高まる快感に、股間はさらに湿り気を増していく。すでにアソコだけではなく、下の方まで流れている。 (んっ…くぅ…イク…)  この日、初めて女性として絶頂を迎えた。 *** 153 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 09:35:08.02 jUaXvyH20  翌日、登校する服装に少し悩んだけど、薄いブルーのブラウスに、膝丈のフレアスカートを合わせた無難な格好にすることにした。  朝食を摂っていると、ケータイのメール着信音が鳴った。見てみると泰雄からだ。 『おはよ~。7時40分に迎えにいくから、待ってろよ~』  今まで、駅で鉢合わせることはあったけど、直接家に迎えに来たことはほとんどなかったので、思わず笑みがこぼれた。 『わかった。待ってる』  そう返信すると、残っていたトーストを牛乳で流し込み、急いで身支度を終えた。  7時40分きっかりに玄関のチャイムが鳴った。俺は行ってきます、と母さんに声をかけて玄関のドアを開けると、泰雄が立っていた。 「おはようございます。よしのりが女の子になっちゃったって聞いたので、今日は一緒に登校しようと思って」  泰雄は俺の後ろに立ってる母さんに向かって挨拶した。泰雄は俺の親にはよしのりと呼んでいる。 「あら、泰雄君、わざわざありがとうね。この子もちょっと不安だろうからちょうどいいわ。それと、もうよしのりじゃなくて、ゆき、になったから、そう呼んであげてね」  母さんがわざわざ付け足した。泰雄は俺が男だったときから、ゆきちゃんと呼んでいたから意味がないことを知らないのだ。 「あ、はい、わかりました。じゃ、ゆきちゃん、行こうぜ」  泰雄も今度は俺のことをゆきちゃんと呼んだ。呼ばれなれてるはずなのに、なぜか顔が紅潮してしまう。 「じゃ、行ってきます」  もう一度母さんに声をかけ、泰雄とともに駅に向かって歩き出した。 *** 157 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 10:13:50.26 jUaXvyH20  駅へ向かう道すがら、泰雄に昨日のクラスの反応を聞いてみた。 「ん? ああ。マジで?ってのと、やっぱりなってのが半々くらいだったかな。それよりも、ゆきがどう変わったかでトトカルチョやってるぜ」 「ひどいなそりゃ、変わったっていっても、俺は俺なのに」 「こら、『俺』はだめだって言ったろ?」 「あ、つい…。てか、なんて言えばいいんだよ」 「そりゃ、女子なんだから、『わたし』とかじゃね?」  自分のことを、心の中で『わたし』と呼んでみると、予想以上に照れくさかった。 「えー、恥ずかしいよ、なんか」 「今更照れるな。俺だって彼女が自分のこと『俺』って言われたくないんだよ」 「うー…わかった…努力する…」 「じゃ、次から『俺』って言ったら罰ゲームな」  泰雄は意地悪な笑みを浮かべて、そう言った。 「罰ゲームって…なにそれ。俺に出来ることならいいけどさ…」  意識しないと、つい、『俺』と言ってしまう。一瞬ヤバっと身をすくめ、おそるおそる泰雄を見ると、やはり気が付いたようだ。 「はい早くも一回目。罰ゲームはどうしようかな?」  泰雄はニヤニヤと薄笑いを浮かべていた。 「ちょ…あまり無茶なことはやめてね?」 「ん?ああ、無茶なことはしないよ。でも、いつ何するかは内緒な」  そうこうしているうちに、駅に着き、いつものように通勤、通学客で満員の電車に乗り込んだ。 *** 164 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 10:41:56.72 jUaXvyH20  いつも乗ってるはずの満員電車が、こんなに窮屈に感じたのは初めてだった。 (もしかして、身長も少し小さくなってるから、か…?)  普段であれば気にもならなかった回りの男性達が、みんな俺の方を見ている気がして、軽く恐怖心を抱いた。無意識に、泰雄の服の裾を握っていた。 「ん? 大丈夫、意識しすぎだって」  俺の気持ちを察したのか、泰雄が笑顔を向けてきた。その顔を見た俺は、気分が不思議と落ち着いていくのがわかった。  と…、不意におしりのあたりに人の手が当たってきた。 「ひっ──」  俺は声にならない声をあげ、躰が硬直してしまった。なんとか顔だけを泰雄に向けると、泰雄は気づいてないのかだた俺の顔を見てニコニコしているだけだった。  俺が抵抗できないでいることをいいことに、おしりに当たっていた手が返り、手のひらで撫でるように触りだしてきた。思わず、躰がピクッとしてしまったが、泰雄はまだ気づかないらしい。 (これって…痴漢?まさか女になっていきなりなんて…)  何とも言えない嫌悪感と恐怖心で、躰は動くことを拒否したように動かすことが出来なかった。  痴漢の手はさらにエスカレートし、スカートをじわじわとまくり上げてきた。 (え、ちょっと…)  とうとう、スカートをまくり上げられ、パンティの上からおしりを揉まれてしまった。俺はもう、泰雄の顔を見上げることも出来ず、ただうつむく事しかできなかった。 (やだ…どうして泰雄は気づいてくれないの?)  とうとう痴漢の手がおしりから、股間にまで伸びてきた。パンティラインをなぞるように、パンティと素肌の境目を撫でてくる。 (んっ…) 「でさ、今日はたぶんゆきは身体測定とか、そういったことするんじゃなかったかな。前に女性かしたやつが、女子で初登校だったとき、そうだったような…」  泰雄はなんにも気づかないようで、相変わらず学校のことを話しているけど、俺の耳には届くわけがなかった。 ***243 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 16:57:08.31 Kr9Ck5r+0 みんなもまたせノシ とりあえず、通学痴漢編はここまででつ。  そのうちに、痴漢の手がついにパンティの股間の部分をずらし、直接アソコに触ってくるようになった。俺はもう、羞恥に耐えながら、うつむいていることしか出来なかった。  唯一の救いは泰雄が側にいてくれること。ますます泰雄の服を握る手に力がこもる。  が、泰雄は、混んでいるから倒れないように掴んでいるんだろう、くらいにしか思っていないようだ。  ますます痴漢の行為は過激さを増していった。パンティの脇からではもどかしいのか、ついにパンティそのものをずり下げてしまったのだ。 (!────)  直接おしりを触られ、その手が再び股間に伸びてきた。ぐちょ──という音が聞こえるのではないかと思うほどにアソコが濡れているのがわかっていた。 「や…やぁだぁ…」  とうとう、耐えきれずに声が出てしまった。これで泰雄も気がついてくれるだろう。そうして──痴漢を取り抑えてくれることを期待した。 (え?な、なんで?)  泰雄は相変わらず無駄話を続けている。なんとか相づちを入れている俺に起こっている事態には気づいていないようなのだ。痴漢の手は、ついにクリトリスに届いてきた。 「ヒッ!───」  その瞬間、俺の躰に電流が流れたような快感が突き抜け、満員電車の中、どこの誰ともわからない痴漢にイカされてしまった。 *** 246 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 17:24:06.64 Kr9Ck5r+0  電車が学校近くの駅に着き、俺は泰雄にしがみつくようにして外に出た。 「ひどいよぉ…」  やっとのことでその一言を発することが出来た。 「ん?なんのこと?」  泰雄はなにかとぼけた風に聞き返してくる。 「電車で…おr…わたしが痴漢されてたの、気づいてなかったの?」 「おしい、もうちょっとで罰ゲームその2だったのに」 「え?」  泰雄の口から出た言葉が、にわかには理解できなかった。 「だ・か・ら、罰ゲーム。スリルあったろ?」 「え…マジで?」 「うん。だっていつドコで何をするか教えちゃったら、つまらないだろ?」  泰雄の言葉に、体から力が抜けていくのがわかった。その場でへたり込みそうになる。 「おっと…」  俺の体を泰雄が慌てて支えてくれた。その手の温もりに、俺の目からは涙が溢れてとまらなくなってしまった。 「ひどいよ…あんなこと…怖かったんだから…」 「ごめんごめん。そんなに怖がるとは思わなかったからさ…。でも、感じてるゆき、可愛かったぜ」 「バカ…」 「怒った顔も可愛いよ。ところで、替えの下着は持っているのか?」  何のことかわからず、きょとんとしていると、泰雄は続けた。 「たぶん、今日はゆきの身体検査だぜ? 電車の中で言ったろう?」  その言葉に、俺は顔の血の気が引いていくのがわかった。 「どうしよう…持ってない…」 *** 301 名前:いつかの703 ◆wDzhckWXCA 投稿日:2006/09/18(月) 21:41:43.94 Kr9Ck5r+0 ずいぶん間があいてしまって申し訳ないんだぜ? ちょっと進んだのでさらに投下 「さっき、かなり濡らしてたからな」  泰雄が意地悪く言う。 「もうっ…いじわるなんだから」 「なに、今どき女性物のパンティなんて、コンビニでも売ってるって。ほら、そこにあるから買ってきなよ」  泰雄が指さす方を見ると、たしかにコンビニがある。でもほんとにパンティなんて売ってたっけ?ていうか、なんで泰雄はそんなこと知ってるんだろう?  いぶかしがりながらも、さっき電車の中で行われた行為によって、かなりびしょびしょになってしまったパンティのまま身体検査を受けるわけにはいかないので、コンビニに入った。  泰雄も一緒に入ってきたが、雑誌コーナーの前で立ち止まると、今日発売日のはずのマンガ雑誌を手に取ると、立ち読みをはじめてしまった。  俺は目的の物がどこにあるのかわからず、まして店員に聞くわけにも行かず、コンビニの中をウロウロと探し回っていた。 「なにウロチョロしてるんだよ…、俺の後ろあたりにあるだろ?」  泰雄の後ろを何度目かに通ったとき、なかなか見つけられない俺の気配を察したのか、そんな声が聞こえた。不意の声にドキリとしながらも、泰雄の声の通り、雑誌コーナーの後ろの棚を探してみた。 「ほんとにあった…」  そこには、高校生が着けるようなデザインの物はほとんどなかったが、確かにパンティが何種類か置いてあった。とりあえず無難そうなものを一つ手に取り、レジに向かう。  後ろからは立ち読みを終えたのか、泰雄が缶コーヒーを2つ持って並んでいた。 「あ、これも一緒にお願いします」  泰雄がそう店員に告げ、パンティと缶コーヒー2つ分の代金を支払ってしまった。 (え、えーっ?なんで泰雄がパンティのお金まで払うの?恥ずかしいじゃないか…)  店員がレジを打つ間、俺は赤面したまま店員の顔を見ることが出来なかった。

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