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「な・・・・・・に・・・・・・?」今まで光を失っていた男の目に、力が戻った。 星光(シングァン)は言った。「カ.マをかけてみたが、図星か」男は目を大きく見開いたまま何も言わない。 星光は挑発するように片眉を上げた。「刺客が拷.問を受けてまで守ろうとするもの。忠誠か、そうでなけ れば家族くらいのものだ。貴様は誰かの盾では無さそうだ。ならば忠誠ではないだろうな」  男は震える唇から言葉を搾り出した。「貴様・・・・・・何をするつもりだ・・・・・・!」「言っただろう?お前が協 力的なら、助けてやると言っているんだ。」「助けるだと・・・・・・どういう意味だ」星光はフンと鼻を鳴らして 言った。「しらばっくれるな。貴様の主人に、家族を人質に取られているんだろう。例え死.んでも口を割ら ぬようにな。貴様の態度によっては俺が保護してやってもいい。一生貴様の主人が手を触れられぬよう 俺の庇護下に置いてやる」  男は眉間にギュっと皺を寄せていた。しかし、それは拷問の痛みのためではなかった。 「信じられるものか・・・・・・そんなことが」「信じる信じないは貴様の勝手だ。だが、どちらにしろお前は 協力しざるを得ないぞ」「・・・・・・何?」  そのときだった。隣の部屋から声が聞こえた。まぎれもない、聞きなれた女と赤ん坊の声・・・・・・。 星光は肩をすくめて言った。「さっきお前が口を滑らしてから、外の部下に合図を出した。優秀な情報網 を持って俺は幸せ者だ」  また女の声が言った。「あの……そろそろ教えてはいただけませんか?突然つれてこられて混乱して おります」それに答える星光の兵士の声「すぐに分かる。もう少し待て」星光引き取って言った。「貴様の 態度次第だがな」  男は歯をギリギリと音がするほどかみ締めた。「なんという汚い男だ・・・・・・これが一国の皇子とはな」 星光派バ.カにするように笑った。「お前の言う汚い皇子を汚いやり口で消そうとしたのは誰だったか」 男は星光を睨みつけた。従わなければ妻と子は間違いなく殺.されるだろう。それは間違いなかった。 もう男に選択の余地は無かった。  空が薄明るくなったころ、星光と紅兎は星光の宮へ戻る道をゆっくりと歩いていた。紅兎には星光が数 時間前に比べ相当やつれたように見えた。眼は落ち窪み隈が出来ている。足取りもなんとなくフラフラと 頼りない。それに、明け方の光にぼんやりと照らされているにしても、顔があまりにも青白かった。 刺客の男から聞きだした情報か、はたまたその直後の男の処刑に立ち会ったせいか、何がこの若い皇 子をここまでやつれさせたのか、紅兎にはわからなかった。  「紅兎」星光が急に立ち止って言った。「俺は正しいことをしたと思うか?」紅兎は答えなかったが、星光 は構わず続けた。「分からないんだ。あの男を殺.す必要があったのか、あそこまで苦しめてまで聞き出 す必要があったのか。俺の手には、お前の太刀でやつの指を切り落としたときの感触がまだ残ってる。 戦場で人を斬るのとは違う、斬らなくともよかったもしれない指だ」星光の手は震えていた。紅兎は思っ た。この皇子はあまりにも優しすぎる。 「・・・・・・恐れながら、殿下」紅兎は言った。「あくまで個人的見解としては、殿下は必要なことをなさった と思っております。全てが、御身を傷付けた賊を引きずり出すために、必要なことでした」紅兎が言うと 星光は自嘲気味に笑って言った。 「俺の身か・・・・・・何の役にも立たない第二皇子を傷付けたために、奴は殺.され、これから何人も 死.ぬのか」星光はまた歩き出した。紅兎はゆっくりと思考を巡らしながら、その小さな背を追った。
「な・・・・・・に・・・・・・?」今まで光を失っていた男の目に、力が戻った。 星光(シングァン)は言った。「カ.マをかけてみたが、図星か」男は目を大きく見開いたまま何も言わない。 星光は挑発するように片眉を上げた。「刺客が拷.問を受けてまで守ろうとするもの。忠誠か、そうでなけ れば家族くらいのものだ。貴様は誰かの盾では無さそうだ。ならば忠誠ではないだろうな」  男は震える唇から言葉を搾り出した。「貴様・・・・・・何をするつもりだ・・・・・・!」「言っただろう?お前が協 力的なら、助けてやると言っているんだ。」「助けるだと・・・・・・どういう意味だ」星光はフンと鼻を鳴らして 言った。「しらばっくれるな。貴様の主人に、家族を人質に取られているんだろう。例え死.んでも口を割ら ぬようにな。貴様の態度によっては俺が保護してやってもいい。一生貴様の主人が手を触れられぬよう 俺の庇護下に置いてやる」  男は眉間にギュっと皺を寄せていた。しかし、それは拷問の痛みのためではなかった。 「信じられるものか・・・・・・そんなことが」「信じる信じないは貴様の勝手だ。だが、どちらにしろお前は 協力しざるを得ないぞ」「・・・・・・何?」  そのときだった。隣の部屋から声が聞こえた。まぎれもない、聞きなれた女と赤ん坊の声・・・・・・。 星光は肩をすくめて言った。「さっきお前が口を滑らしてから、外の部下に合図を出した。優秀な情報網 を持って俺は幸せ者だ」  また女の声が言った。「あの……そろそろ教えてはいただけませんか?突然つれてこられて混乱して おります」それに答える星光の兵士の声「すぐに分かる。もう少し待て」星光引き取って言った。「貴様の 態度次第だがな」  男は歯をギリギリと音がするほどかみ締めた。「なんという汚い男だ・・・・・・これが一国の皇子とはな」 星光派バ.カにするように笑った。「お前の言う汚い皇子を汚いやり口で消そうとしたのは誰だったか」 男は星光を睨みつけた。従わなければ妻と子は間違いなく殺.されるだろう。それは間違いなかった。 もう男に選択の余地は無かった。  空が薄明るくなったころ、星光と紅兎は星光の宮へ戻る道をゆっくりと歩いていた。紅兎には星光が数 時間前に比べ相当やつれたように見えた。眼は落ち窪み隈が出来ている。足取りもなんとなくフラフラと 頼りない。それに、明け方の光にぼんやりと照らされているにしても、顔があまりにも青白かった。 刺客の男から聞きだした情報か、はたまたその直後の男の処刑に立ち会ったせいか、何がこの若い皇 子をここまでやつれさせたのか、紅兎にはわからなかった。  「紅兎」星光が急に立ち止って言った。「俺は正しいことをしたと思うか?」紅兎は答えなかったが、星光 は構わず続けた。「分からないんだ。あの男を殺.す必要があったのか、あそこまで苦しめてまで聞き出 す必要があったのか。俺の手には、お前の太刀でやつの指を切り落としたときの感触がまだ残ってる。 戦場で人を斬るのとは違う、斬らなくともよかったもしれない指だ」星光の手は震えていた。紅兎は思っ た。この皇子はあまりにも優しすぎる。 「・・・・・・恐れながら、殿下」紅兎は言った。「あくまで個人的見解としては、殿下は必要なことをなさった と思っております。全てが、御身を傷付けた賊を引きずり出すために、必要なことでした」紅兎が言うと 星光は自嘲気味に笑って言った。 「俺の身か・・・・・・何の役にも立たない第二皇子を傷付けたために、奴は殺.され、これから何人も 死.ぬのか」星光はまた歩き出した。紅兎はゆっくりと思考を巡らしながら、その小さな背を追った。 NEXT>>[[12話]]

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