「ここ」(2009/04/02 (木) 23:18:29) の最新版変更点
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<p>空高くに舞い上がる鳥達。</p>
<p>ついこの前まで私が住んでいた場所。<br />
愚かな人間どもに捕らえられ、翼を切り落とすまで、私が存在した故郷。<br />
今はもう、飛ぶことなんてできないけれど。<br />
代わりにこの足で大地を駆ける。<br />
無残に切り取られた翼はズタズタで、まだ傷も痛むけれど。<br />
それでも、この道を歩むと、誓った。<br />
貴方と共に。<br />
「……まだ、傷は痛むか？」<br />
不意に、そう聞かれて羽がズキリと痛んだ。<br />
慣れない、痛み。<br />
こればっかりは本当にどうにもならなくて、結構辛かったりする。<br />
けど、そんなことを言ったら貴方に心配をかけてしまうから。<br />
私は気丈に笑う。<br />
大丈夫だと言いながら。<br />
「……慣れない嘘はつくな。すぐにわかる」<br />
けれど、私が笑うと余計に辛そうな顔をされる。<br />
そんな顔をさせるために笑うのではないのに。<br />
貴方は、自分自身を責めてしまう。貴方のせいではないのに。<br />
寧ろ、貴方がいたから私は生きられるというのに。<br />
「……だい じ ょう ぶ だ から 」<br />
貴方のために覚えた言葉を精一杯言霊に変える。<br />
大丈夫、大丈夫だから。<br />
だからそんな顔をしないで……――。<br />
けれどそんな私の願いを、多分叶わない。<br />
あぁ、なんて、酷いのだろう。<br />
助けてもらったのに、これではまるで私が責めているようではないか……――。<br />
「だいじょうぶだから。ほんとうにだいじょうぶだから……」<br />
もどかしさが涙となって頬を伝った。</p>
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