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「アレックス、ご飯扉の前に置いとくわよ?」 心配するような、怯えるような、いや、その両方を含んだ女性の震えた声が扉の隙間をぬうように、薄暗い室内にひかえめに入り込む。 そして、その室内の唯一の住人に【アレックス=ライダー】はその声が不快でたまらないとでもいうように、怒鳴るように大声をあげた。 「Shall up!! わかったからさっさとどっか行けよ。 今禁書目録いいとこなんだよ!!」 雑多に積まれ、崩れ落ちた無数の漫画、僅かな明かりに照らされ、怪しく映し出された数々のフィギア、そしてそのゴミの山のような空間にドンと居座るテレビとパソコン。 この部屋はアレックスの城だった。 「So cute!! 打ち止め超かわいい」 そんな彼の城の中で、アレックスは脂ぎった頬の肉を揺らし、奇声に似た声をあげた。 だが、部屋の中を照らしているのは蛍光燈の僅かな光だけで、テレビやパソコンのモニタから溢れ出る色とりどりの光は一筋としてない。 だが、アレックスの視線は無数の漫画や数々のフィギアに注がれているわけでもない。 だが、彼は見ていた。 遠く離れた島国日本で放送されているとある魔術の禁書目録第19話を。 【願うだけでどんなに遠く離れ、どんなに厳密に隠されたものでも見ることができる力】を使って。 「でもあれだな、やっぱ音声とかないといまいッ!! What!? 打ち止め大丈夫なの!?」 服をはちきるのではないかと思えるほどたっぷりと脂肪のついた腹を揺らし、アレックスは身を乗り出すようにして立ち上がった。

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