「ユメビト01話」(2009/03/01 (日) 13:37:40) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<p>そう、それもまた夢のお話。<br /><br /><br /><br />
成人性夢喪失症候群。<br /><br />
13歳以上の人間は例外なく、夢を見れなくなってしまう病。<br />
現実的な考えばかり優先し、待遇された国家が多くなり、<br />
人はそれに適応するように夢が見れなくなっていった。<br />
生きる上では何ら支障のない病―のはずだった。<br /><br />
夢を見れなくなった人々が行く先は<br />
戦争、内戦など争いは絶えず腐敗した世界。<br />
誰も幸せを願わない、誰も幸福な世界を夢見ない、<br />
そんな人々が腐敗するのは当然だった。<br />
多くの血が流れ放置され、謎の病原菌が繁殖。<br />
いつしか世界は"魔物"と呼ばれる存在を生み出した。<br /><br />
夢を見れない大人達はその現状から抜け出す事が出来なくなり、<br />
大人達は決断を強いられた。<br /><br />
国家の政治をまだ幼い少年、少女に任せる事。<br />
特に、夢の中で自由自在に動き回れる子供達、<br />
脳内でのシミュレーションに長けている子供達に。<br /><br />
その子供達を大人は、『 ユメビト 』と呼んだ。<br /><br /><br /><br />
「しかし、大人たちの罪を償うにはまだまだかかりそうですね。」<br /><br />
その少年は細い指で難しそうな本をめくりながら皮肉をこぼした。<br />
淹れられていく紅茶は、ゆらりゆらりと湯気をおどらせ消えていく。<br /><br />
「申し訳御座いません。」<br /><br />
細身の体の男の人はそう言い、淹れ終わった紅茶に砂糖を溶かす。<br /><br />
「いいえ、何もシオンの事を言っているのではありませんよ。<br />
先代の狂った政治家達に言っているのです。」<br /><br />
そう言って紅茶をすすり、また難しそうな本をめくる。<br /><br />
「ルカ様、お国想いなのは大変分かりますが休まれてはいかがでしょう?」<br /><br />
「私にとって睡眠は政治です。一度の睡眠でさえ無駄には出来ない。<br />
半端な知識のまま眠ってしまったら、ユメビト失格ですよ。」<br /><br />
積み上げられた多くの本が、少年の一日を物語った。<br /><br />
「シオン、騎士団の件はどうなりました?」<br /><br />
読み終えたページの間にしおりを挟み閉じる。<br /><br />
「ええ、魔物の駆除は順調のようです。幸い被害も出ていません。」<br /><br />
「そうですか。しかし、あの小さな村まで襲うとは予想外でしたね。」<br /><br />
中身が無くなったティーカップをあるべき場所まで戻し、溜め息を吐く。<br /><br />
ここ最近、不可解な事ばかり起こり始めた。<br />
そう、あの日以来―。</p>
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: