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隣のおそば


日曜日の午前11時。小学校から行きつけの
近所の床屋へ出かけた。

中は、1人先客がいた。
やっと俺の番がきて、座って髭をそってもらっていると
ぷーんといいにおいがしてきた。
昨日は、遅くまで飲んでいて朝はなにも食べてない。
鰹節と醤油のにおい。腹が急に減ってきた。
そういえば最近、隣に蕎麦屋ができていて
自転車で通るたびに入ろうかどうか気になってはいた。

「ねえ、隣の蕎麦屋どう?いいにおいがするから
俺は腹減っちゃったよ。」と床屋の親父に聞いてみた。

「それがよう。匂いはいいんだけどさ~」
「え、まずいの?」
「まずいのなんのって。俺は蕎麦が好きなんだけど
とにかく隣りのはひどい。食えたもんじゃない」
泡の付いた剃刀の手を止めたまま。
「ひでえんだよ。隣の蕎麦はまずいんだけど匂いはいいからしょっちゅう食べたくなって
1丁目の角の蕎麦屋に電話して注文しようとしたら
配達は勘弁してくれってって持ってきてくれないんだよ」
話しながら宙に浮いた剃刀が怖い。
「え、なんで持ってきてくれないの?」
「蕎麦屋には縄張りがあって、さすがに蕎麦屋が隣にあるんじゃ
こまるってさ~」

前を通るとぷーんと鰹節と醤油のいいにおい・・。
あれから、半年。客の入ったところは見たことがないが
この不景気にまったく潰れる気配がない蕎麦屋。
気の毒な床屋の親父と不思議な話。
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