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唯と稜(2) AYA ◆zh2yobq4zs

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246 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:02:14.15 qIHFuReJ0

 唯とは、元々、寄生するほど一緒にいるわけじゃない。
 それに1月入ったら、短期のバイトを始める事になっていたので、始業式まで
会う事は無かった。
 年末を除いては。

 毎年のように、親父とお袋は、初日の出&近所の人と、年始の挨拶飲酒の
為に、年越しソバを食べ終わると出かけて行った。俺は寒いし面倒だから、
迷わず留守番を選ぶ。今年から一人暮らしを始めた兄貴は、2日以降に帰って
くるらしい。いつかは不明だ。
 こたつで、ぬくぬくと。しばらくテレビを観てたけど、手持ち無沙汰なので、
缶チューハイを取ってきた。
 正月は、無礼講…と親父と一緒に酒飲んでるから、今から飲んでも怒られない
だろう。
 久し振りに飲む、甘みと苦味の混ざった液体。胃に到着すると、奥底から焼ける
ような熱さを発してる。
 ちびちびとやってたけど、やっぱり暇だ。去年は兄貴がいたもんな…。
 そこで、唯を呼び出す事にした。
 電話したら、すぐ行く、と言って切れた。俺は、残りをぐっと飲み干すと、
もう一缶に手をかけ始めていた。

 唯の到着に、ちょっとふらつきながら玄関に向かう。奥底から冷える風と共に、
真っ白いコートを着た唯が入ってきた。
「あっちゃん、お酒の匂いするよ?」
 と、ちょっと眉をしかめて、言いながら。


248 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:03:36.97 qIHFuReJ0

 それから二人、まずはコタツに入って、身体を温める。
「おばさんとか、なんか言ってたか?」
「お母さんは仕事で、お父さんは会社の人と飲むって言ってた。このまま年越しも
一緒で大丈夫だと思うよ」
「そりゃ助かる。暇でしょうがない」
 俺は話しながら、ろれつが少しおかしくなってる事に気が付いた。まぁ眠く
なったら寝ればいい。構わずチューハイを飲む。
「お酒なんて、ダメだよ!」
「年始年末ぐらい、いいの。唯も飲むか?」
 折角進めたのに、飲まないよ。お茶でいい、と言われた。
 お茶を持って来たら、ちょうどテレビで恒例の格闘技番組が始まったので、
二人ともそっちに釘付けになった。
 さきいかを噛みつつ、缶チューハイ飲んで。ふと、そういや唯、スカートに
黒ストッキング穿いてたな。すっかり女なのに、趣味は男の時と一緒なんだな…。
 変わらないものに気づいて、ちょっとだけ、俺は嬉しかった。

 2缶とも飲み終わる。まだ年越すまで時間あるから、もう1缶だけ…そう思い、
俺は立ち上がった。唯は、相変わらずテレビを観ている。
 部屋の外は寒くて、思わずトイレに寄ってしまう。そりゃこれだけ水分取れば
行きたくなるか…。
 酔ってる脳で、そんな事考えながら部屋に戻ってきたものだから、何をどう
間違えたのか、ワンカップを手にしていた。
 こたつに入ってから、間違いに気づいて、呆然とする。
 ま、いっか。蓋を開けて、ちびっと飲む。さっきより強いアルコールが、
だんだんと俺を支配していった。
 そう。この辺りから、思考がおかしくなっていった。


249 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:06:08.73 qIHFuReJ0

「ねぇ、みかん貰ってもいい?」
「あぁ。でもそれすっぱいぞ」
 すっぱいみかんは、叩くと甘くなるんだよ、そう言いつつ、手にぱしぱし
当ててた唯は、勢い余って俺にぶつけてきた。座椅子に寄りかかっていた俺の
ちょうど股間の辺りに。とは言え、こたつの掛け布団があるから痛くは無い。
「気を付けろよ」
 そうのんびりと、転がったみかんを取ろうとしたら、唯が、
「ゴメン!大丈夫!?」
って、こたつから飛び出して、ぶつかった辺りをさすってきて…。
「うわっ!ごめん!!」
 慌てて、手を離した。かなりのエロゲ展開に、びっくりする俺。
「ちょっ、唯はもう女の子なんだからなー」
 でも、赤くなってる状態を見ていたら、ちょっかいを出したくなってきた。

 俺。多分、宴会とかで迷惑かける人間なんだと思う。

 きっと酒臭い、そんな息をかけながら、唯に話しかける。
「なぁ。久し振りに触って、どう思った?」
「えっ?」
 あの、その…と、言葉を捜してる唯の両手を取り、ひっぱる。重心を俺に
傾ける事になり、体勢を崩す。顔と顔が近くなる。
「そうだ。俺と唯のと、どっちが大きい?」
「あ、あっちゃんだよ」
 逃げるように、恥ずかしそうにそう言うと、顔を逸らした。
「なんで断定出来るんだよ。触ったのは、この間の股だけじゃん」
 揚げ足取るように言ってやると、更に赤くして、無防備だった足を閉じていた。
「じゃ、罰として、どっちが大きいか比べろ」
「へっ?」
「まだ、自分のだったサイズ、覚えてるだろ?」
 そう言うと俺は、唯の右手をぐっと引っ張った。


250 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:07:37.00 qIHFuReJ0

 掴んだ腕は離さないまま、そして唯の手は…。
「どう?」
「どうって、言われて、も…」
 唯の言葉が濁る。それもそうだろう。布越しのそれは、硬くなりつあるんだから。
「…。ねぇ。触って、欲しいの?」
 反対に質問されて、脳みそまでアルコールに酔っている思考は、すぐに答えを
出せないでいると、唯の左手が、ズボンの中に滑り込んできた。
 スウェットスーツのようなラフな格好だから、いとも簡単に、目的の所へちょっと
冷たい手が辿り着く。
 その行動に、何も言えずにただ唯を見つめていた。それに気づいたのか、手は
ズボンに入れたまま、顔を上げ、俺を見つめてきた。
 俺は真っ赤な顔をしている唯の右手を離すと、ぐーっと酒を飲み、ズボンと
トランクスを途中まで降ろした。

「あったかいね」
「そ、そりゃ、血が通り始めてるからな」
 両手で包むように触っている唯を、情け無い格好の俺は、収集付かない状況に
困っていた。
「…唯、バカ!…」
 AVで観たように、包んでいる物を上下に摩り始めたのに慌てて、思わず声が出る。
「嫌?」
と言いながら、手を止めない唯。だったら。
「だったら、その胸でやってくれ」
「…うん」
 これで止めるだろうと思ったのに、素直に返事をすると、上着を脱ぎ、ブラジャーを
外しだしてしまった。
 立ち膝になり、さらに情けない格好になった俺の前に、前かがみになって、
両胸を押しながら近づいてくる唯。


252 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:09:38.70 qIHFuReJ0

 あまりのエロさに、思わず視線を逸らすと、柔らかい物に包まれた感触を受けて、
心拍数は一気に上がる。
 反応の止まらないのが、今度は俺が恥ずかしくて、まともに唯の顔を見れない。
でも。
「…なっ」
「前に見たので、こうやってたよ、ね…」
 唯の大胆な行動に、思わず下を向いてしまった。胸全体で、上下に刺激を
与え始めたから…。
 まさか自分がこんな体験するとは思ってなかったから、一度直視してしまうと、
どうしても視線が外せなかった。一所懸命、白い肌がいやらしく動いている。
 時々、息が先に当たるようになった。これだけでは物足りなくなっている俺の
理性が、快感を求め、思わず腰が動いてしまう。
「うんっ!」
 そこに、ちょうど唯の唇が当たってしまい、びっくりした唯は手を離してしまった。
「悪い」
 とっさに、唯の顔の位置まで腰を落とす。
「だ、大丈夫…苦い」
 開いた唯の口に、俺のガマン汁が入ったようだ。
「唯…」
 つい、唇を合わせてしまった。確かにちょっと苦い味がする。
 ぐっと押し離される力を受けて、俺は口を離す。
「あっちゃん」
 唯の両手が俺の胸を押していた。視線は、そんな事はダメ、と言っている。
「でも、唯だけに、嫌な思いはさせたくないから」
「…。嫌じゃ、無いもん」
 その言葉を聞くと、俺は唯を押し倒していた。


254 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:12:03.80 qIHFuReJ0

 大きな胸に、かぶりつく様に口を這わせる。手は、迷うことなく、足と足の間に…。
「あれ?なんで…なんで、もう濡れてるの?」
 下着に染みていて、ストッキング越しでも、濡れてるのが分かる。
「触ってるだけだったのに。唯は、そんなにエロかったんだ」
 反論出来ずに、ぷいっとそっぽを向く。
「右の方に向いて」
 俺の言葉に反応して動くのを確認すると同時に、唯の腰を両手で掴むと力を
加え、俺は唯を半回転させた。
「何するの??」
「もちろん」
 俺は腰を持ち上げて、膝を付かせると、いっきにスカートを捲り上げて、
ストッキングと下着を引き下げた。
「やだっ」
「股から糸引かせてる奴が、何言ってるんだよ」
 でも、下着から離れる時に、一瞬だけ引いただけなんだけど。
 俺はそこに、指を突っ込んだ。
「あんっ」
 唯が、指の動きに合わせて声を出す。後ろからの、またエロい視点に、俺の
興奮は止まらない。思わずもう一本滑り込ませる。
「んはっ!」
 唯が一瞬仰け反る。ちょっと様子を見たけど、衝撃を受けてただけのようなので、
動きを再開させる。すると、さらに高い声を上げ始めた。
「気持ちいいんだ」
 くちゃくちゃ音を立てている箇所と、座布団に埋めている顔を交互に見ながら、
俺は思わず呟く。
「唯、分かってる?二本入ってるの」
「言わ、ない、でっ」
 動きを早くしたら、ちょっと指を締め付けてきた。
 俺は、指を引き抜く。指を開け閉めすると、間に膜が貼る。


256 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:14:21.53 qIHFuReJ0

「あ、え?…」
 息を荒くしながらの言葉の意味は、多分いき損ねて、どうしていいのか分から
ないんだろう。俺は行動で答える事にした。
 ぐっと押し進める腰の力と、受ける感覚に耐えるように、唯の両手が座布団を
ぎゅっと掴んでいる。
 容赦なく、一気に奥まで進める。この間とは、また違った感じがする。
 俺の肌が唯に着くと、動き止めた。ふーっと、唯の息を吐く音が聞こえた。
「それにしてもさ」
「ん?」
 なんだか頑張ってる感じが可愛くて、苛めたくなる。
「誰か帰ってきて。こんな姿、人に見られたら大変だよな」
「ふえっ!?」
 素っ頓狂な声を上げる唯を、くすくすと笑いながら、
「嘘だよ」
 そう答え、俺は動き始めた。
「んっ、あっ、あっちゃん、の、ばかぁ!」
 半ば、叫び声に近い勢いで、唯は抵抗していた。

 余裕そうな俺だけど、さっきからので、すでに限界近い。だんだん、唯に
向かって、叩きつけるような動きに変わる。唯からもあえぎ声しかしない。
 唯がぎゅっと締め付けてきた。俺も、そろそろ限界…と思った時。
 あれ?どこに出そう…。
 そう、浮かんだのが悪かったのか、抑えきれないまま衝動が駆け抜け、次の
瞬間、唯を抱きしめるようにして、中に出していた。
 あぁ、まただ。中出しして大丈夫かな…と思いながら、身体を起こすと、
いつの間にか年を越していた。


257 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/13(金) 00:15:39.38 qIHFuReJ0

 年越しでセックスかよ。と、さすがに酔いも醒めた脳みそが呆れている。
 とりあえず。唯の中から引き抜くと、うつぶせになるよう動かしてやった。
合わせて胸が大きく揺れる。おまけに、座布団によだれが大きめの染みを作って
いて、さらにエロい雰囲気を出していた。
「まぁ…なんて言うか。明けましておめでとう」
 言われた唯は、視線を時計に向けると、内容を把握したようで、
「明けましておめでと」
 まだ、軽く息の上がってる声で返してきた。そして、
「今年も、宜しく」
と、続けた。
 いつもの流れで口にしたんだろうけど。この格好で、宜しくって言われたら。
「なんだよ。もう一回したいの?」
 まだちょっとだけ硬かったから、またちょっと突っ込んでやった。
「あんっ。違う!!」
「ゴメン。もう終わり」
 俺はいろいろ片付けると、ズボンを穿き直し、こたつに戻る。
 唯は起き上がると、上着とかを持って部屋を出て行った。トイレかな…。
そう考えながら、乾いた喉を酒で潤す。
 その内、ぼーっとしてきて、いつの間にか寝ていた。
「あら?唯ちゃん来てたのね」
 親父とお袋の声で目が覚める。
「あ。お邪魔してました。明けましておめでとうございます」
 唯は、目をこすりつつ、身体を起こしながら挨拶していた。二人して寝ていた
ようだ。
 ふと気づくと。二人の足は、こたつの中で絡み合っていた。


924 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 19:33:01.34 r3nGj6rB0

 始業式までは、ごろごろする数日と、バイトに追われた。
 バイトはファーストフード店だ。以前やっていた所の店長が、新規店のマネー
ジャーをするとかで、手伝い的に入って欲しいというのがきっかけ。
 兄貴みたいな、ノリのいい人だったから、俺は了承した。だた、もうすぐ進路を
決める忙しい時期になるから、3月までの短期だけだ。
 初日。店長は相変わらず、気さくに話しかけてきた。
「よう!彼女出来たか?」
「えっと、彼女は…」
「おっ。どもるって事は出来たんだな。今度店に連れてこいよ」
 俺の背中をばんっと叩き、じゃこれから宜しく、と続けてくる。
 久し振りの仕事と、新規店ということの忙しさに、いろんな事を忘れそうに
なったけど。
 寝る前とか、ふっとした時には。唯の事が、頭に浮かんでいた。

 唯は、元旦の昼には帰っていった。
 いいよ、と唯は言っていたけど、両親に言われ、しぶしぶ玄関まで送る。
 玄関で靴を履き終えると、唯は
「ちょっと」
と、手招きをしてきた。
「ん?」
 酔った頭で、床から来る冷えに耐えていた俺は、誘われるまま、結いに近づく。
 と。
「あっちゃん。好き」
 ふわっと唯が近づいてきて、俺に唇を合わせた。
 それは一瞬だったけど、今までした事のない柔らかいキスに、俺の心拍数は
早まっていた。
「ゴメン。じゃ、また」
 その後、出て行ったあとも、俺はしばらくそこに立ちつくしていた。


925 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 19:36:17.58 r3nGj6rB0

 突然だったから、ずっと目を開けっ放しだっ俺。
 目を閉じて近づいてきた時、唇を離した時の唯の表情は、すっかり女、と言うか
女性だった。
 もう2回もセックスしてるけど、1回目は犯すようなものだったし、2回目の昨日は、
成り行きだった、と思ってた。
 ずっと一緒に過ごしてきた唯だから、友達以上の、俺を頼ってくる姿は、どこか
弟のような気分でいたけど。
 唯自身は、もうすっかり違う見方をしていたのか。
 でも、キスされた事は嫌じゃなかった。もう一度、肌を合わせたい気もしている。
 俺の中でも、唯の存在は変わりつつあったが、なんとなく、肯定出来ないでいた。

 だから始業式の日は、どんな顔をしていいのか分からないまま、待ち合わせ
場所で待っていた。でも。
「お待たせ!元気だった?」
 いつもと変わらない笑顔を見せて、寄って来た唯をみたら、
「おぅ。おっせえよ。寒いんだからさぁ」
と、いつものような応答をしていた。
 駅まで歩きながらも、これまでと変わりはなかった。元旦に玄関で流れていた、
思い出すとどこか切ない、ぎゅっと胸を掴まれる様な空気は、まったく感じない。
 ずっとそればかり考えてた俺は、ちょっとだけ唯が憎くなった。

 駅には、覇気の無い、今日から出勤や通学の人で一杯だった。
 電車が到着する。いつも通り、車内温度調節の為、唯はコートのボタンを
外している。
 それを見ていたら、ちょっとしたいたずらを、思いついてしまった。


926 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 19:39:51.33 r3nGj6rB0

 ぎゅっと車内に押し込まれる時、唯の正面になるよう場所をキープする。
 ゆっくりと電車が発車し始めた時、俺は唯のスカートを捲り、足と足の間に右手を
押し込む。バランスを取る為か、少し開いていたのをいい事に、手のひらをぎゅっと
上へと押し当てた。
「ひゃっ」
と、唯が声を漏らし、俺の顔を見つめてくる。
 俺は知らん顔をしてやる。
 外気で冷えた手が、布に包まれた温かい場所に触れたんだから、声が出るのも
しょうがないだろう。
 今日はソックスだったから、下着と肌を直接触っている状態だ。それらの温かさが、
俺の手を包み込む。
 しばらくそのままの姿勢で、車中揺られる。あれからまったく動かしてないが、
伝わっているだろう手の存在に、唯はすっかり頬を染めている。
 俺がこういう事しても、怒らないし、嫌がらないんだなぁ…と思ったら、なんだか
嬉しいと言う表現のあう、気持ちになってきていた。
 やっぱり俺も、唯の見方が、変わってきているんだろうか。
 そこまで考えた自分が、なんか恥ずかしくなった。
 その鬱憤を少しだけ晴らす為、中指を動かし、唯に刺激を与え始めた。
「あっ」
 小さな声を零す。俺は構わず、指を肌のへこんだ所を掻くように動かし続ける。
 ぎゅっと、唯が俺の右腕を掴んできた。やめて欲しいのか、耐えてるのか分から
なかったけど、指先に感じた異変に気づくと、止めようとは思わなくなっていた。
 動きを止める。が、今度は下着の隙間から、肌を伝って中に入る。
 さっきよりもはっきりと分かる、ぬるっとした感触に、思わず、唯を見てにやっと
してしまう。
 目が合うと、無言のまま、かすかに視線をずらした。
 当初の軽いいたずらという気持ちは、すでにどこかに行っていた。現状の緊張感と
唯の反応に夢中になっていた。


929 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 19:54:50.47 r3nGj6rB0

 手を股から一旦外すが、すぐに腹の方まで動かすと、一気に、下着と肌の隙間から
手を押し込んだ。
「ダメ…」
 かすかに声が聞こえる。でも、伸ばした指を割れ目に這わし始めると、口をぐっと
閉じ、ただただ、耐えていた。
 前後に動かし始めると、指先に触っている液体は、指の腹で擦っていたクリトリスも
濡らし始め、割れ目全体に広がっていった。
 すっかり上気した頬で腕をぎゅっと掴む姿に、すっかり興奮している俺は、次の
段階に進む事にする。
 でも、下着と言う障害があるので、もっと奥に手が入らない。
 足で軽く、唯の内股を叩くと、すべき事が分かったのか、もうちょっと足と足の
間を開けた。
 それを感じると一気に手を差し入れる。そして中指で、目的の位置を定めると、
ゆっくりと上へ、肌に沿って押し進め始めた。
 中に押し入ると、軽くぎゅっと締め付けてきた。
 上下に軽く動かしてみるが、満員電車の中だから、あまり動けない。仕方ないので、
中を掻いてみたり、指を震わせるようにしたり、いろんな刺激を試してみる。
 その刺激を受ける度に、目をつぶっている唯のまぶたが、ぴくっと動く。振るわせた
時には、口から少しずつ、荒い息を吐いていた。
 もっともっと…と言う思いばかりが働き、後ろから思い切り押された時に、俺はすぐ
対処出来なかった。
 その勢いのまま、唯にのしかかってしまう。合わせて、指をぐっと奥に押し込む事に
なり、押し込まれた瞬間、指は思い切り締め付けられていた。
 車内放送で、緊急停止しました…と聞こえ、状況を把握する。
 慌てて指を抜き、唯を起こす。
「大丈夫か?」
 そう声を掛けると、うん…、と軽く頷きながら俺に返事するが、その後は、ぐったりと
俺に寄りかかり、最寄り駅までそのままだった。


930 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 20:00:46.34 r3nGj6rB0

「本当に大丈夫か?」
 ホームに降りた俺は、近くの椅子に唯を座らせる。
「うん…。でも、なんだか力が、入らない…」
 答えながら、見つめてくる目は、ちょっと潤んでいた。
 なんだ。さっきイって、腰が砕けただけか。
 理由が分かって、ほっとしたような、恥ずかしいような…。
 数分後には、学校に向かえる様になっていたけど、反対に、俺が歩きづらかった
のは言うまでも無い。

 でも。いたずらはその日だけだ。もう触りたくない、そう言ったら嘘だけど、
リスクを犯してまでの痴漢ごっこは遠慮する。

 いつものように学校に行って、いつものように学校を出る。
 その日々に一週間に数日、家の最寄駅で別れると言う行動が加わった。
「じゃ、気を付けて、頑張ってね」
「気をつけるのは、唯の方だ。じゃ、また」
 閉まったドアの向こうで、手を振っている唯が見える。
 バイト先がもっと先の駅なので、ここで別れる事になっていた。
 周囲から、どんな風に見られてるのか分からないが、あえて考えないように
していた。
 それよりも、家に着く前までに、怪我をしないか、何か起こって無いかという
不安が、いつも胸をよぎる。
 翌日会ってほっとする事が、日が立つにつれて起こるようになった。
 唯の笑顔を毎朝見る事に、幸せを感じ始めていた。


931 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 20:02:58.73 r3nGj6rB0

 学校始まってから10日ぐらいした日。朝弱々しい声で、唯の休む、と言う声が
携帯から聞こえてきた。
「おい、大丈夫かよ」
 そのまま聞こえなくなりそうな声の弱さに、俺は本気で心配した。
「心配かけて、ゴメンね。いつもの貧血が、酷くなったのだから」
「ゆっくり休めよ」
 もっと声を掛けたいが、言葉が出ないし、引き止めるのも可哀想だった。
 唯は血が薄いとかで、月に1回ぐらい、貧血で休む事があった。慣れてる病状なら、
休めば治るだろう。
 そう思いながら、でも、冷たい風の通る道を一人で歩くのは、気持ちが冴える訳が
無かった。
 結局、二日休んでいた。しかし、待ち合わせ場所に来た唯は、明らかに顔が青白い。
「今日も休めよ」
 おぅ、や、おはよう、よりも、この言葉が先に出た。
「大丈夫、薬あるし。無理だったら、保健室に行くから」
 弱々しく笑う唯に合わせて、ゆっくりと学校に向かう。
 電車内では特に心配で、腰に手を回して、何があってもいいように、俺は気を配り
続けていた。
 無事に電車を降りる。
「大丈夫か?」
 念の為に、声を掛ける。
「ん。…今日も、触られるのかと思ってた」
 思いがけない返事に、俺はバカな事してトラウマ作ってた事に、酷く落ち込んだ。


227 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/17(火) 00:10:26.99 wD8iah/T0

 ここ数日、唯は何か悩んでいるように見えた。
 それがなんなのか聞きたいが、個人の内容に、安易に踏み込むのも悪い気がする。
それに今までなら、相談したい事があれば、唯から勝手にしてくるはずだ。
 でも。
 学校帰り、電車に揺られ、ドア傍の手すりに寄りかかり、外を切なげに眺めてる、
そんな姿を見続けるのが、なんだか辛かった。
 近寄りがたい雰囲気が漂っていて、俺はドアのもう片方の手すりに寄りかかって、
ただ唯を見つめていた。
 久し振りの、こんなに天気のいい日なのに。
「…ねぇ、あっちゃん」
 急に。視線は変わらず外を見ながら、ぼーっとした声で話しかけられて、俺は
何故かドキドキし始める。
「今日も、バイト…だっけ?」
「あ、あぁ。言ってなかったっけ?」
「うぅん。確認」
 会話が止まる。また無言で電車に揺られる俺たち。
 デジャブのような物を感じたが、昨日もこんな会話したな…と言う事を思い出して解決した。
 気の利いた言葉が思いつかない、こんな性格の自分を、今ほど呪った事がない。
 そんな俺たちを乗せて、家の最寄り駅に、いつも通り電車は到着した。
「じゃ、バイト、頑張ってね」
 ホームに降りると、唯はそう言いながら、笑顔を浮かべて俺に手を振ってきた。
「あぁ」
 引き止めたいような気持ちに襲われる。
 でもどうしていいのか分からず、やっと声を発したが、電車は無情にもすぐに
ドアを閉め、出発した。
 まだホームに立ちっぱなしだったが、電車が出発すると、唯の表情が曇ったのが
見えた。
 思わずドアに寄る。すぐに唯の姿は流れて行ってしまい、ガラスの外には、
いつもの町並みが映り始めていた。
 俺が原因なのか?…悪い事、したのか?


229 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/17(火) 00:16:06.44 wD8iah/T0

 唯とは、これまで、腐れ縁のように過ごしてきて、困った事があれば上目遣いで
頼ってきて。俺とは、いつもどこかで一緒だと思ってた。
 でも、そう思ってたのは俺だけで、本当は、離れたい気持ちがあったんじゃない
だろうか。
 でも、自分の女体化阻止を優先にして唯を犯し、しがらみを無理矢理作って、
俺は唯を縛り付けていたのかもしれない。
 そうだったら。明日、唯にあったら、俺はどんな顔をすればいいんだ。
 バイト中、何故か俺はずっと笑顔だった。率先して仕事も引き受けた。
 ちょっとでも暇が出来ると、何かが俺の心臓を握り潰しそうだったから。何か
無理をしていないと、感情を抑えられない気がしていたから。
 おかげで、帰りにはぐったりとなっていて、帰宅後、飯を食ったら、そのまま
布団に潜り込んでいた。
 だんだん布団は暖まり、俺の身体をぬくもりが包み始めると、締め付けるような
恐怖は薄まり、眠りの中に引き込まれていった。
 だがしかし。真夜中には、現実に引き戻されてしまった。
 夢の中にいた人、俺は表情が見えないけど、この雰囲気…唯だろ?と声を掛けた
けど、ん?と首をかしげてきたんだ。
 唯だよな?と手を伸ばすが、近くにいるはずなのに届かなくて、返ってどんどん
遠くなっていくような気がした。
 離れていくのが怖くなり、急いで追いかけようして…。
 その場面で目が覚めた。
 嫌な寝汗をかいていた。それより、唯を捕まえられなかったのが、怖かった事が
ショックだった。
 関係を離せなかったのは、俺だったのか。
 あの、けんかっぱやいガキのままだったら、今の俺は、すっかり違った生活を
していたかもしれない。
 唯がいてくれたから。もしかしたら…。


230 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/17(火) 00:21:33.89 wD8iah/T0

 いつの間にか眠っていたが、目が覚めた時間は遅刻ギリギリだった。
 慌てて起き、携帯を手にする。唯に連絡しなくては。
 でも、声を聞くのが怖くて、メールで短く、先に行ってくれ、と連絡すると、
急いで準備を始めた。

 昨日とはうって変わって、重く厚い、いつ雨か雪が降り出してもおかしくない
空の中、二人は学校を後にする。
 会話も少ないまま、電車に乗り込む。
 また、ドアの両端にそれぞれ寄りかかって、無言のまま揺られ続ける。
 今日は下を向いている唯。視線は俺に向いてないのに、俺は直視出来ずに居た。
「…あっちゃん」
「…なんだ?」
 反応した俺だが、その声はちょっと掠れていた。
「今日は。バイトお休みだよね?」
「あぁ」
 その後、言葉が途切れたので、なんとなく唯に視線を移す。唯は顔を上げ、
俺を見つめると、
「寄り道しても、いいかな」
こう続け、笑顔を浮かべた。笑顔を見たのに、なんだか辛かった。

 俺たちは、駅前近くのファーストフード店に寄った。
 店の奥、ソファーのある場所が開いていたので、そこを陣取る。
 俺はセットを、唯はコーンスープとポテトを無言で食べ続けていた。
 170cm近くある唯と、160cm程の俺の組み合わせは、他の人からどう見られて
るんだろうな。
 以前にも見た事のある情景な気分になったが、気づけば、女体化前に相談を
受けたのも、この席だった気がする。あれからまだ1ヶ月ぐらいしか立ってないのに、
俺たちの関係は、一緒に過ごした数年をひっくり返す状態になっている。


231 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/17(火) 00:27:13.85 wD8iah/T0

 すっかり平らげた俺は、猫舌だけど、すでに半分以上飲み終わっているコーン
スープをかき混ぜている唯を、なんとなく見ていた。
 その唯の手が、止まった。
「あっちゃん、あのね」
 そこで一息付かれる。間がもてなくて、急に喉が乾いた気がして。俺は半分氷で
薄まったコーラを口に運んだ。
「どうする?…出来たって言ったら」
 そう言いながら、手を腹に当てたのを見た瞬間。
 俺は、盛大に噴き出した。

「きゃっ!」
 唯にもかかってしまったようで、慌てて自分を拭き始めていたが、俺の方が酷いのを
見ると、寄って来て、ハンカチをよこしてくれた。
 そして、拭くもの持って来ると言い、駆けて行った。
 俺は唯から受け取ったハンカチで濡れた所を拭きながら、残った頭で、今の情報を
一生懸命考えていた。
 今まだ高校生で、あと1年あるのに…と言う事は、高校生で出産!?
 いや、親が許さないかもしれない。でも、下ろすなんてとんでもない…。
「ごめんね!ごめんね!」
 ダスターをナフキンを取ってきた唯は、何故か謝りながら、あちこち拭き始めた。
 一所懸命の姿、この唯の中で、俺たちの子がいるのか。
 だったら、大学行く間なんて無いのでは。高校出たら即働いた方が…。
「ごめんね!」
 今度は俺のズボンの濡れた所にナフキンを当てながら、同じ言葉を繰り返す。
「…ごめん、ね?」
 手を止め、俺の顔を覗き込んできた唯は、半分泣きそうな顔で。
 そして、やっと違う言葉を口にした。
「嘘」


232 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/17(火) 00:33:35.39 wD8iah/T0

「…えっ?」
 脳内で、何故か二人目が生まれていた俺は、慌てて妄想を追い払う。
「う…そ…?」
 唯は、こくんと頷いていた。

 騒動もおさまり。俺たちはまだ元の席に座っている。
 いらないトレイやゴミは、テーブルの脇に追いやって。
「とりあえず、説明してくれないか?」
 両手を腿に置き、ちっちゃくなって座っている唯に話しかける。
 そんなに怖い声を出したつもりは無いが、俺が話した途端、びくっと震わせていた。
怖い声なんて出せる心情じゃない。どちらかと言えば気が抜けている。
 唯は、上目遣いで話し始めた。
「嘘付いて、ごめんね。でも、それをどう考えてくれるかって思ったの。
 この間、クラスの女の子が、ほんとの事を聞いた事あるのって、話になって…」
「ほんとの事?」
 思わず口を挟む。
 唯は一度、ぎゅっと両腕に力を入れると、言葉を続けた。
「だって、だって僕は、前にあっちゃんに言ったけど、あっちゃんから言われた事
無かったし」
「言ったって?」
 さっきから言われた単語を繰り返し、疑問符にして返すばかりの、頭悪い俺。
 唯は、ちょっと頬を染めると、呟いた。
「…お正月の事」
 それを聞くと同時に、脳内であの玄関での場面が、脳裏に浮かんできた。
『あっちゃん。好き』
 あの時の台詞と一緒に。


233 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/17(火) 00:39:27.69 wD8iah/T0

 俺はバカだ。本当にバカだ。
 自分の事しか考えてない大バカだ。
 昨日、唯は離れたいんじゃないかとか、仮の答えを考えていたけど。
 すでに、正月に気持ちを打ち明けてくれてたじゃないか。
 その後も、これまで通りの付き合い方だったのに、それでも一緒に居てくれていた。
 こんなあやふやな態度を受けてたら、いい加減、愛想付かしてもいいのに、反対に
こんなに真剣に悩んでくれている。
 俺の言葉が足りなくて、配慮も足りなくて、ただ力だけ強いだけの、女から見たら
ダメな男なのに。

 ごめんな、唯。ここでなんて言ったらいいのか、いい言葉が浮かばない。
 いや、飾った言葉は要らないんだろう。でも、口に出せない性格なんだ。
 都合のいい事を考えてるのは、分かってる。
 クラスの女の言葉を、真に受けてしまう程、悩んでくれていたのも分かる。
 けれど。今まで長年、一緒に居た唯なら、どうか分かってくれないだろうか。
 些細な言葉や仕草で、俺の気持ちに気づいてくれないだろうか。
 こんな勝手な奴だから、嫌気がさし、もう二度と、話掛けて貰えなくなってもいい。
 酷い振られた方を受けるのが、尚更、俺にとってもいいはずだ。

「唯」
 やっと俺は声を出す。
 その表情は、思わず抱きしめたくなる。
「俺には、唯が一番、大切だ」
 瞬きした唯の目から、涙がこぼれ、頬を伝った。 
 俺はおもむろに立ち上がると、手を差し出す。
「行こう」
 一瞬間が開いた後。唯は両手で俺の手をふわっと掴むと、
「うん」
そう言って、はにかんでくれた。


234 名前:AYA ◆zh2yobq4zs 本日のレス 投稿日:2006/10/17(火) 00:39:58.90 wD8iah/T0

 俺たちは初めて、手を繋いで歩き始めた。
 空は、変わらず厚い雲が立ち込めていたが、電光掲示板には、明日は晴れとの予報が
映し出されていた。
「あのさ、さっきの本当に嘘なんだよな」
 ちょっと心配になり、思わず尋ねる。
「うん…。この間貧血って休んだの、ほんとは、女の子の日だったから…」
 赤くなりながら、答える唯。
「そ、そっか」
 男同士じゃできない会話に、俺も赤くなりながら、ずっと手を握り締めていた。
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