ホワイトデー編01

俺「ふわ……むにゅむにゅ……」(トイレ……)

ガチャ

幼「きゃあ!」
俺「わっ、ごめん」

バタン

 ◇

幼「びっくりしたー……」
俺「あんなに驚くことないだろ」
幼「だって開け方がすごい勢いなんだもん」
俺「男はガバッて開くのが好きだからな」
幼「なんでよ」
俺「恥ずかしいからそんなに開かないでって言われるのがたまらん」
幼「なんの話をしてるんだなんの」

 ◇

俺「……どうする?」
幼「え?」
俺「寝る?」
幼「んー……」
俺「俺もう眠くないや」
幼「私も起きちゃった」
俺「朝マック行くか?」
幼「良いかも」
俺「持ち帰りにしてゲームやろうぜ」
幼「うん」
俺「あ、でも雨降ってるわ……」
幼「やっぱり行かないとか言うなよ?」
俺「先読みしやがった」
幼「ふふん」
俺「何してるんだそれ?」
幼「ここの毛がぴょんってなって直らない……」
俺「別にアホ毛みたいでかわいいじゃん」
幼「アホ毛?」
俺「漫画でよく、頭から触角出てるキャラいるだろ?」
幼「ピッコロとか?」
俺「いや、そういう本物の触角じゃなく。髪の毛がピンってはねてる」
幼「えーそんなのいるか?」
俺「めちゃめちゃいるじゃん!
  えっと、ヒロム……は分からないか。
  ……望とかアーたんとかさ」
幼「どっちにしろ分からない」
俺「他にもこなたとか……えーっとえーっと……ほら、こういうの」
幼「それより、そっちのエッチそうなのは何かな?」
俺「あ、いやいやお気になさらず……さあマック行きましょう」
幼「どっちにしろ後でよく見せてもらうからね」

 ◇

俺「ひー、腹痛い……」
幼「お前のせいで私まで笑いそうになったろ……」
俺「寒そうだったな店員」
幼「気の毒だったね」
俺「雨が横から直だったからね」
幼「風向きがね」
俺「俺ドリフのコント思いだしちゃってさ」
幼「私もお前が我慢してる顔見たらつられて吹きそうになった」
俺「風邪引きそうだよね」
幼「うんうん」
俺「やっぱり屋根はある程度必要だな」
幼「店内じゃなくて歩道に並ぶタイプだと、台風の時に絶対困るよね」
俺「前の客から受け取る時に店員が飛ばしちゃった千円札、あれ多分見つからないよね」
幼「あの店員戻ってきた?」
俺「まだ千円札追いかけてるんじゃね?
  必死だったけど、なくしたら自腹になっちゃうのかな?」
幼「どこまで行ったんだろ。あの人転んでたよね」
俺「転んでた転んでた。それに車にぶつかりそうになってた」
幼「ひー、だめだ……また笑えてきた……」
俺「わざわざ買いに行ったかいがあったな」
幼「良いもの見させてもらったね」
俺「本人は悲惨だけどな。千円自腹でびしょ濡れで、転んだから体も痛くて、しかも戻ったら多分怒られるぞ」
幼「ナゲット持ってきたおっちゃん、『レジの途中であいつどこ行ったんだ?』って感じだったもんね」
俺「あのおっちゃんがまたすんげーレジ下手なのな。普段やってないのかな」
幼「そうそう!
  それにさ――」

朝マックは僕らにスマイルをたくさん提供してくれた。

 ◇

幼「えっと、『宿命』出して」
俺「嫌なカード入れやがって」
幼「えー……おしまい」
俺「俺のターン、ドロー!」
幼「気合い入れすぎ」
俺「……森出してエンド」
幼「しょぼっ」
俺「森しか来ない」
幼「んしょ、んしょ。えっと、引きまして……『停滞』を出します」
俺「降参じゃい」
幼「えー」
俺「俺ロックされてんじゃん」
幼「まだ分からないって」
俺「分かるよ。この後どうせ杖出てくるもん」
幼「杖は出すけどさ」
俺「ほらな」
幼「まあまあ」
俺「プレイヤーへのダイレクトアタック!」
幼「きゃっ」
俺「んー……」
幼「ヒゲ痛いってば」
俺「ヒゲによって2000のダメージ!」
幼「やめんか」

 ◇

俺「お前の中にダイレクトアタックしたい」
幼「ダイレクトはダメだろ」
俺「ちゃんとビッグシールドガードナー着けるから」
幼「ビッグ?」
俺「どうせ僕のなんかスモールシールドで十分ですよ!」
幼「うそうそ」
俺「……」
幼「すねるなよー。エッチはプレゼントの後で……ね」
俺「本当?」
幼「心がこもってたらね」
俺「こもってますとも!」
幼「自信ありそうだな」
俺「とりあえずアイス作ったんだけど食べる?」
幼「おいしかったよ」
俺「もう食べたんかい!」
幼「途中で、これもしかしてとは思ったんだけどね」
俺「困ったな……」

 ◇

[ある日の思い出]

俺「久しぶりに暴君ハバネロ買った」
幼「おいしいの?」
俺「最初のハバネロの方がおいしかったな」
幼「ちょっとちょうだい」
俺「あっ、そんなに一気に食べるもんじゃないぞ」
幼「そんな辛くないじゃん。……辛い」
俺「どっちだよ」
幼「水」
俺「紅茶飲む?」
幼「んく……」
俺「これは一つ一つちびちび食べないと鼻水出るぞ」
幼「もう出た……」
俺「はは」
幼「辛い……」
俺「だったらなぜ食べる」
幼「なんかおいしい」
俺「ハマってるじゃん」
幼「おいしいけど辛い」

 ◇

辛いのなら大丈夫だと思ってカレーパウダーを使ったポテトチップスを作る。

俺「ちょっと見た目悪いけど出来たよー」
幼「あといくつお菓子作る?」
俺「もう勘弁してくれ、レパートリーない。これで最後」
幼「わ、ポテチだ」
俺「甘いのばかりだと飽きるかと思ったんで辛いのにしてみた」
幼「えー何これおいしい。ショック」
俺「はは、食いつきが今までのと違うな。やっぱ辛い方が好きか」
幼「これどうやって作るの?」
俺「まあ普通のポテトチップスと同じだけど、カレーパウダー使ったんだよ。塩やチリだと市販のに見劣りしそうだから」
幼「普通のポテトチップスの作り方がまず分からねーよ」
俺「そんなに難しくないよ」
幼「これ初めて作ったの?」
俺「二回目」

幼「前は誰に作ったの?」
俺「えっ?」
幼「ねえねえ」
俺「例のあれだよ、小学校の乙女クラブだよ」
幼「例のって言われても」
俺「話したろ?」
幼「えっ?」
俺「あっそうか……」
幼「ん?」

俺(まだなっちゃんにしか話してないのか……?)

俺「お前には話してなかったかも」
幼「あらあら、どこの女の子と間違えたのかしら?」
俺「ちょっ、ちがっ、あぶーん!」

 ◇

俺「なな、なっちゃんだよ、なっちゃん。
  なっちゃんにホワイトデーのプレゼントの相談を聞いてもらった時に話したから勘違いしちゃって」
幼「はいはい」
俺「本当なんです」
幼「じゃあ聞いてみる」
俺「ホワイトデーだしやめた方が良いんじゃない?」
幼「そんなこと言って、その間に口裏合わせを頼むつもりなんでしょ」
俺「その手があったか!」
幼「やっぱり!」
俺「冗談だよ。後で俺が相談した時のメールが届くはずだよ。送るって言ってたから」
幼「では携帯を預からせていただきます」
俺「えー」
幼「何よ」
俺「なっちゃんに聞いてよ」
幼「お前がホワイトデーだからやめとけって言ったんじゃん」
俺「でもなっちゃん彼氏とかいないかもよ」
幼「ヨーダがお返し持って来るって聞いたけど」
俺「えっわざわざ?」
幼「うん」
俺「付き合ってるの?」
幼「ううん」
俺「付き合ってないのにわざわざ!?」
幼「そこまで驚くことないだろ」
俺「だって面倒臭さ半端ないじゃん。後でご奉仕してもらえるわけでもなし」
幼「おいこら」

 ◇

俺「二人とも相手のこと結構好きなんじゃないの?」
幼「えー」
俺「俺だったら返さないぞ。会った時についでで良いだろ」
幼「うーん……」
俺「大体、なっちゃん俺にはくれなかったじゃん」
幼「私のだけで良いじゃん」
俺「ようするにお前がヤキモチ焼いてなっちゃんからのチョコを拒否ったと」
幼「違う!」
俺「かわいい奴」
幼「バカバカ!違うんだからね!」
俺「分かった分かった」
幼「その顔ムカツク……」
俺「嘘喰いで覚えた不謹慎な顔」
幼「余計なことしか学習しないな」
俺「イタリア語でスクアーロはサメ」
幼「イタリア人とサメについて話すことなんて一生ないだろ」
俺「イタリア語でチョコラータはチョコレート」
幼「チョコレートは英語だろ」
俺「げ」
幼「全然役に立たないじゃん」
俺「でも日本語だとなんなんだ?
  アイスが氷菓子とかはあるけど。チョコにそういうのあるのか?」
幼「あーないかも。チョコで良いのか」
俺「バーバパパはフランスでは綿菓子」
幼「へえー、なんで?」
俺「知らん」
幼「お前の知識ってトリビアの泉で言うと結果の部分だけしかないからムズムズする」

 ◇

俺「とにかく携帯は返してよ。ないと不安なんだよ。
  着信ないのに振動を錯覚するファントム現象ってのが起きるほどの依存性なんだから」
幼「威張って言うなよ。たまに画面だけ見るのってそれなの?」
俺「うん、胸ポケットに入れてるとたまに震えたように感じる。それでメールかなと思って画面見るけど何もなってない」
幼「それ私もたまにあるんだけど」
俺「ファントムだわ」
幼「ファントムなのかな」
俺「それか俺が高速でお前の胸ポケをかすかに撫でてるか」
幼「多分そっちだな。白状しろ」
俺「すまんかった」
幼「やっぱりお前だったか。なんでそんなことしたんですか?」
俺「俺、胸ポケフェチだからつい」
幼「私、あと何回カミングアウトされんだろ……」
俺「小人になって女の子の胸ポケに入っておっぱいでぎゅうぎゅうされたいんですが」
幼「知るか」

 ◇

俺「ポテチ、いつ食べさせてくれるかと思ってたら一人で全部食べやがった」
幼「あ、じゃあ最後の一枚あげる。あーん」
俺「あー……あぐ。あぐあぐ」
幼「ふふ、魚釣りのゲーム思い出した、磁石の」
俺「むむ……」
幼「いひひひ」
俺「もう良い……」
幼「うそだって、ほら」
俺「ん……」
幼「……ありがと」
俺「何が?」
幼「分かんないけど」
俺「へへっ。チリ味のフライドポテトと迷ってたんだけどこっちで良かったね。
  ホワイトデーなんだからお菓子っぽい方が良いかと思って。冷めても良いから話をしながらゆっくり食べられるし」
幼「そういう時は両方作りんしゃい」
俺「さすがに面倒だった。お前が今度作れば良い」
幼「また食べたいよね」
俺「じゃあ今度作ってよ」
幼「えー」
俺「レンジで作ると油使わないからカロリー的にも安心だよ」
幼「それ詳しく!」
俺「ははは、詳しくって言われてもレンジで作ったことないんだわ」
幼「今度はレンジで作ろうよ」
俺「俺も手伝うのかよ」
幼「あたぼうよ」

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最終更新:2009年03月15日 06:52
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