日常編80


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カツ【今電話で相談良いすか?】
俺【オウヨー】

チヒロとカツミを覚えているだろうか?
俺が生まれたところに今住んでる幼なじみのカップルだ。

 ◇

カツ「チヒロが連続で体育休んでたんですよ。理由聞いたらそん時は風邪って言ったんです。
  そんでたまたま帰りに薬屋で生理用品買ってるの見付けてもしかして風邪じゃなくて生理だったんじゃないかって思って。
  聞いたらやっぱ生理で。俺には本当のこと言えよって言ったんすよ。
  風邪の心配させられてちょっとなんだよお前って感じだったんですよ。
  そしたらデリカシーないって怒って口聞いてくれないんです。
  でも俺にくらいちゃんと生理って言ってくれても良くないですか?
  これ俺が全面的に悪いですか?」
俺「全面的に、ではないな」
カツ「そうですよね。大体デリカシーとか言われてもムズいっすよ」
俺「俺も全然分からないけど、デリカシーは大切だと最近思うよ」
カツ「えっ、なんでですか?」

まさか俺がデリカシーは大切なんて言うとは思わなかったのか、やたら驚いた。

 ◇

俺「今ってさ、極端に言うと彼女が自分のこと好きなら友達とかに嫌われたって全然どうでも良いじゃん?」
カツ「はい」
俺「だけど最近、自分の子供のこと考えるんだ。
  ちょっとまだ早すぎて難しいだろうけどいっしょに考えてみて」
カツ「子供すか」
俺「たとえばさ。君に将来子供が出来たとするよね。
  それでなんでも良いけど、何か子供に聞いたとするじゃん。
  ものすごく分かりやすい例として、ご飯が赤飯なので娘に『初潮きたのか?』って聞いたとする。
  娘は恥ずかしくて答えずにご飯食べてたんだけど、ついにこらえきれずに泣き出して部屋にこもっちゃってさ。
  君はもちろんマズイこと言っちゃったなあと思うだろうけど、言ってから反省しても娘は傷付いたままだよね。
  もっと問題なのは、奥さんがよく気が利くタイプだとちょっとずつ信用なくすっていうかさ。
  口が滑る度に『なんでこの人は自分の子供に人が傷付くことを平気で言えるのかしら』って思われちゃうわけでしょ。
  それすごい悲しいと思うんだよ」
カツ「うわ、なんかすげーよく分かりましたそれ!」
俺「分かった?
  好きな人にそういうことを思われるのって悲しいことだし、思ってる方もきっと悲しいと思うんだよね」
カツ「分かります分かります!」
俺「別に彼女だけが俺のこと分かってくれれば良いや、って生きてると子供が出来た時にまずいんだよ。
  そういう意味で、長い目で見るとある程度は必要かもなって思うわけ」

俺超えらそうだな。

 ◇

俺「だからさ、生理って言うのが恥ずかしくて怒られたんじゃなくて自分の人間性について怒られたと思えばさ。
  ちょっと乱暴なまとめ方だけど反省しやすくないかな。
  これからも寄り添って行きたいからこそ指摘してくれたと」
カツ「俺すげー反省しました」
俺「いや俺に言われても。今謝りに行けないの?」
カツ「すぐ行けます!」
俺「そうか。
  あー、でもちょっと待って」
カツ「なんですか?」
俺「今日は彼女だったけど、娘が風邪って言って学校休んで本当は生理痛だったって想像してみて」
カツ「はい」
俺「なんだよ水くせーなって思う?」
カツ「思わないですね。それは恥ずかしいだろうし」
俺「だよね。女に聞くべきじゃないことを彼女に聞いちゃった。
  それなんでだと思う?」
カツ「俺がデリカシーないからですよね」
俺「それより、幼なじみだから聞いちゃったってことはない?
  例えば最近知り合ってすぐ告白されて付き合い始めた彼女とかだとしても薬屋で生理用品買うの見たこと言っちゃってた?」
カツ「あ、絶対言わないですね」

即答だった。

 ◇

俺「そうだよね。もっと言うなら、すごく仲良い女友達がいたとしても生理用品買ってるの見てわざわざ聞かないでしょ?」
カツ「聞くどころかすぐその場から逃げますよ」
俺「そういう男女の踏み込んじゃいけないラインが幼なじみは薄れてて見えにくいからさ。
  お互い近過ぎるから、そういうタブーに深入りしちゃわないように気を付けると良いかも。
  よく幼なじみモノのエロマンガの導入で男が女にオカズ発掘されたりオナニーの現場を目撃されたりして男が傷付いたりキレたりするでしょ?」
カツ「うわー俺そういうことしちゃったってことですよね」
俺「いや、そこまでじゃないと思うけどね。でもまあ女の子の気持ちはよく分からないよね俺らには。
  もしかしたらそれにかなり近いのかもしれなくて、そう考えると怒って当然なわけで。
  とりあえずそういうことを考えながら謝った方が良いかもしれないと思ってさ。
  相手がどれだけ恥ずかしかったかを想像した方がなんかさ、デリカシーのなさが具体的に分かるでしょ」
カツ「反省しますね」
俺「それに恥ずかしい目に合わせたと思うとついでに興奮も出来てお得だしね」
カツ「いや興奮しないスよ!!」

ドン引きされてしまった。

 ◇

カツ「じゃあすみません、ありがとうございました。
  師匠に相談して良かったです」
俺「いつ師匠になったんだよ。じゃあね」
カツ「マジで助かりました!」

電話が切れた。

俺「ふう」
幼「良いこと言うじゃん」
俺「うわ、起きてたの!?」

寝てたのに。

幼「和くん良いパパになれるよ」
俺「全然自信ないよ」
幼「大丈夫」
俺「……あの二人仲直り出来るかな?」

なんだか居心地が悪いので話を変えた。

幼「余裕よ」
俺「そうかな」
幼「仲直り出来る方に2000点」
俺「強気だね」
幼「和くんの2000点だからな」
俺「俺の2000点を勝手に使うなよ」

 ◇

しばらくしてまた電話が。

カツ「仲直り出来ました!」
俺「良かったね」
カツ「師匠に言われたことに自分の気持ち加えて言ったら分かってくれて。
  自分のしたことがどういうことか師匠に教えてもらったって言ったらすごいって言ってました!」
俺「いやすごくはないけどね。
  イチャイチャした方が良いんじゃないの?」
カツ「大丈夫です。むしろお礼言っておけってチヒロが」
俺「そうなんだ」
カツ「これから同じような失敗しないようにするには何を気を付けたら良いですかね」
俺「知らねーよ、無理だろ。そんなの分かってたら俺もやってるし」

 ◇

カツ「えー!?
  じゃあどうすんすか」
俺「んー……火の鳥ってマンガの宇宙編て知ってる?」
カツ「分かんないです」
俺「ドラゴンボールは?」
カツ「ドラゴンボールは知ってますよ」
俺「ドラゴンボールでベジータが乗ってくる一人用の宇宙船あるじゃん」
カツ「はいはい」
俺「火の鳥の宇宙編で、宇宙船で事件が起きてあんな感じのやつに一人一人が乗って逃げ出す話があるのね。
  だけどそれはベジータの宇宙船とは違って脱出のためにあるやつで、目的地を決めたり軌道を変えたり出来なくてさ。ただまっすぐ行くだけ。
  だからみんな同じ方向に行ってても微妙に角度が違ってだんだん離れていくんだよ。
  離れ過ぎると無線みたいなので通信出来なくなってきて、最後には全く会話出来なくなるわけ」
カツ「なんかこわい話ですね」
俺「男女の恋愛も似たこわさがあって、わずかなズレなのに距離がだんだん遠くなることってあると思うんだ。
  お互いが自分を直さないでいるとだんだん離れていってしまって取り返しつかなくなって。
  別に決定的な理由はないんだけど別れてしまう」
カツ「ありますね」
俺「だよね。でもさ、最初から全く同じ角度で進んでるカップルなんてほとんどいないと思うんだ。
  角度チェックして少しずつ軌道修正しながらやっとほぼ同じ角度になって、それでもしばらく気を抜いていると結構ズレてて慌てたりしてって感じで」
カツ「たしかに……」

 ◇

俺「だからさ、一番大事なのは相手への思いやりなんじゃないかな。
  毎日相手を大切にする。そうすれば角度チェックが自然に出来ると思うんだよ。
  ケンカした時にあっちだって悪いのにって思っても、一度相手の身になって考えてみる。
  何をしたら相手が喜ぶか。何をしたら相手が悲しむか。
  相手の喜ぶことをして、相手が悲しむことはしない。
  俺らみたいな奴はそうやって考えに考えて回り道するしかないんじゃね?」
カツ「回り道しかないんすかね?」
俺「近道は紳士専用だから俺らには無理だろ」
カツ「でもあんま泣かせたくないんですよね」
俺「泣かせたくないなら紳士になることだね。さりげない気づかいと心配り。
  俺は諦めたよ」
カツ「じゃあ俺も諦めます」
俺「諦め早いな」
カツ「師匠に無理なら無理っす」
俺「回り道は回り道で大変だよ?」
カツ「でもなんか回り道の方が格好良くないですか?」
俺「ゴールまで行けたら最高に格好良いと思う」
カツ「ですよね!
  俺回り道で行ってみます!」
俺「うん。なんか例え話ばっかでごめんね。
  例え話って大好きなんだ」
カツ「俺バカだからすげえ分かりやすくて良いです」

この二回目の電話中、ずっとベッドに横になってみおの胸を服の上から揉んでます。

 ◇

俺「はいはい、じゃあね。
  ……ふへえ」
幼「バカタレ!」
俺「電話切ったらいきなりバカタレかよ」
幼「おっぱい!」

なぜ単語で抗議する。

俺「あんまり会話をじっくり聞かれたくなかったから揉んどいた」
幼「追い出すとかすりゃ良いだろ」
俺「そんなことしたら怒ってツノが生えちゃう」
幼「生えるか!」
俺「会話どのくらい聞いてた?」
幼「きっちり聞いたわ」
俺「えー!
  胸揉まれて何も分からなくなってろよ」
幼「片手間でそこまでならんわ!
  どんだけテクニシャンなんだよ」
俺「くそー」
幼「別に聞かれて恥ずかしい内容じゃなかったじゃん」
俺「気を使ってるとか思われたくないんだよ」
幼「それが恥ずかしいの?」
俺「恥ずかしいっていうか立場的に負けた感じになるだろ」
幼「負けた感じじゃない、負けてんだよ20年前から」
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