日常編64

みおとコンビニに行った帰り、エレベーターに後ろから女性が乗ってきた。
赤ちゃん抱えて、荷物を持って、ベビーカーにも赤ちゃん一人。

抱えた赤ちゃん「うっうっ、びえー」
母親「よしよし、もう帰るからね」

俺は携帯をいじっている。

幼「ちょっと持って」
俺「えー、なんでだよー……」

みおにコンビニ袋を持たされる。

幼「良かったらそれ玄関までお持ちします」
母親「ああ、すみません」

母親の荷物を持つみお。
母親が子供を両手であやす。
俺は先に帰る。

 ◇

幼「まったく、少しは持ってあげようとか思わないの?」

帰ってくるなり文句を言うみお。

俺「俺じゃ気持ち悪いだろ。なんだあいつってなるわ」
幼「そんなことないよ。誰かが困ってたら助けてあげなさいよ」
俺「本当かよ?
  まあ基本的に携帯いじってるからな。気付いたらな」

 ◇

数日後。

おばあちゃん「郵便局はどう行ったら良いんでしょうか?」
おっさん「あー、ぼくここの人じゃないんでちょっと知らないですね。すみません」

ふむ。みおがこの前、人助けしろと言っていたな。

俺「……郵便局ですか?」

立ち止まっておばあちゃんに聞く俺。
郵便局なら方向オンチの俺でも知ってる。何度か行ったことがあるし、場所が簡単なのだ。

おばあちゃん「あ、分かりますか?」
俺「多分、分かりますけど。こっち行って駅から右にまっすぐ行けば多分……」
おばあちゃん「こっちですか」
俺「あ、駅までは俺も行くんでいっしょに……」
おばあちゃん「……」
俺「……」
おばあちゃん「すみません」
俺「いや……」
おばあちゃん「助かるわあ」
俺「多分こっちだと……」

おばあちゃん、頼むからあまり喋らないでくれ。緊張で心臓が爆発する。

 ◇

[駅前]

俺「この道まっすぐです。そしたら多分左に」

多分じゃなくて確実に左にあるわけだが。

おばあちゃん「ありがとう」
俺「で、もしなかったらあそこの二階建ての見えます?
  あれが交番なんであそこで聞けば……」

まあ確実にあるわけだが。

おばあちゃん「そうですか、ありがとうございます」

歩き出すおばあちゃん。
でも、そっちじゃないんだけど?

おばあちゃん「すみません、郵便局は……」

まともそうな人に声をかけるおばあちゃん。

 ◇

[帰宅後]

俺「みおの嘘つき!」
幼「何がじゃ?」

 ◇

みおに説明しました。

俺「みおのせいで恥かいたじゃないか!」
幼「えー?
  なんでダメだったんだろ」
俺「やっぱり職務質問されまくるような奴はダメなんだよ。
  何この人気持ち悪い、怪しい、不審者だわってなんだよ」
幼「そこまで怪しいかなあ?」
俺「もうやだー!
  あれだけですごい疲れた。ヘトヘトだよ」
幼「よしよし、和くんは頑張った」
俺「うう……」
幼「仕事ではどうしてるの?
  どんなホームページにするか打ち合わせる時」
俺「ああ、それはパソコンの話だから余裕なんだ」
幼「そうなの?」
俺「たとえば、初対面でもゲームの話とかならある程度スムーズにいけるんだ。
  桃の時とかさ」
幼「すぐ仲良くなれたんだっけ」
俺「うん。ホームページだって、自分が一方的に説明するか何か質問されてそれに答えるだけだからね」

引きこもりでも『俺のターン』には相手が引くほど喋れるもんだ。
自分でいくつか下らないサイトを作ったことがあるのはでかい。ゲームの攻略を聞かれてる時のように返事が出来る。
普通はスムーズに返事が出来て当たり前なんだから経験が糧になったとまでは言わないが、少しは自信になったと思う。
ようするに『エロゲでツンデレ耐性ついたら気づいた。俺少しはモテるわ。女ってツンデレばっか』みたいなものである。

 ◇

幼「そういう感じなんだ」
俺「俺って他の人みたくデザインの勉強とかしてないからな。スタイリッシュハードアクションとかそんなのはさっぱり分からん」
幼「難しそうだね」

スタイリッシュハードアクションが普通に流されてしまった。

俺「しかもパソコンだってどっか行ってちゃんと勉強したわけじゃないしな。
  だから見やすさと分かりやすさ、あと便利さ追求するだけ。
  トップページ重くするのは良くないとか、携帯から迷い込んで来た奴のために携帯はこちらみたいのトップページの一番上に作るべきとか、言うこと決まってる」
幼「ちゃんと聞いてくれるの?」
俺「大企業だと相手も若いからスムーズに分かってくれるんだけど、小さな企業だと社長のおっさんとか来るから派手にしちゃダメなのか聞いてくるよ。
  なんかテレビ大好きおっさん世代は派手にしたがる気がする。トップページ用にアニメを社員に作らせても良いかなとか。トップページをテレビのオープニングみたいに勘違いしてる」
幼「反論された時キョドるんじゃないの?」
俺「いや、反論されてもデータ見せまくるだけだからな。こういうホームページは嫌われるみたいなの見せてさ。
  トップページは自宅で言うと玄関だから、きれいに片付けておくだけで良いんですと。
  玄関にトラのはくせいとか要らないんです、そういうのは客室に置くべきなんですと」
幼「データとかあるんだ」
俺「目がチカチカするとダメとか当たり前なことしか書いてないけどな。アンケート先がかたよってるから統計的に本当に嫌われてるのかどうなのかも怪しいし」
幼「あはは、まあ良いじゃん」

 ◇

俺「その怪しいデータ見せて、それでも相手が聞かなかったら『じゃあアクセス数には期待しないで下さいね、データでは何%下がるんで』ってな感じのこと言えるから気楽だしな。アクセス減ってもデータ通りだから俺のせいにならん」
幼「アクセス数が少ないと怒られるとかあるの?」
俺「ねーよ。そんなんあっちの宣伝次第じゃん。どんなに良くなったとしても、何にも宣伝しないでひっそりリニューアルしたんじゃアクセス数ほとんど変わらんだろ」
幼「たしかに」
俺「前の方が良かったとかそこの掲示板に書かれたり、そこにメールされたりするのが一番マズイ。
  マイナスに思った人がいるってはっきり分かるわけだし」
幼「ああ、そっか」
俺「まあ俺がやったとこは良い意見ばっかだけどな」
幼「本当かよ」
俺「見やすくなる、分かりやすくなるってのは結構重要なんだぞ」
幼「それは分かるけど」
俺「ホームページって必要なトコだけ見れるのが良いんだから、トップページが軽くて各メニューに行くリンクが分かりやすいのが一番だろ。
  トップページでワケわからんフラッシュで待たせたりメニュー内メニューばかりにして道に迷わせたりしたらいかん。
  フラッシュ見たい奴はメニューに置いておけば勝手に見るって話だ。
  トップページは携帯ブラウザできっちり見れるくらいショボくても良いと思う」
幼「そうだよね」
俺「それにショボくないと俺が作れないしな」
幼「手抜きかよ」
俺「そうじゃないって。
  俺は田舎の散髪屋で、デザイン勉強してる奴らはハイソな美容院だと思えば良い。
  ホームページをさっぱりさせることに特化してんだよ」
幼「なるほど」

自分で言っておいて、今の例で納得するのってどうなんだろうと思った。

 ◇

幼「もっと教えて」
俺「面白い?」
幼「だって和くんあんまり自分のサイト見せてくれないし。
  自分のサイトでもそういうこと考えてるの?」
俺「自分のサイトだと黄緑を使いたくなるけどね」
幼「使わないの?」
俺「下地が黄緑ってのはなあ。やっぱり白い背景に黒文字が無難かなと思っちゃう。携帯のことも考えると特にね。
  携帯ってさ、黒地に白文字とか明るい太陽の下だと見にくいんだ。白地に黒文字だと見えるんだよ。
  夏でさ、サイトの文章はよく見えないのにメールの文章は読めるって時ない?」
幼「それある!」
俺「だからバナーとか黄緑にするくらいかな」
幼「そんなことまで考えてるんだ」
俺「いや、俺は携帯のこと気にしすぎだと思う。ここまで気にする必要はないよ。ほとんど無意味」
幼「そんなことないよ、すごいって」
俺「まあ自分のサイトの場合は自分が見やすくて並べやすい方が良いしな」
幼「並べやすい?」
俺「俺、並べるの好きじゃん。コンテンツも並べたくなるんだ。
  サイトに日記があったとして、それも

日記
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  みたいに長方形にしたくなるんだ」
幼「ふーん」
俺「もしフレーム使ってる場合は左のフレームにぴったりに近い幅の長さの長方形なコンテンツがあるとすごい気持ち良いんだ。
  眺めながら『俺のサイトマジで美しいだろこれ、このシンプルさはちょっとヤバいだろ』って……やべ、よだれ出ちゃった」
幼「和くんってど変態だよね」
俺「急にけなすな!」

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最終更新:2010年06月08日 21:37
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