日常編57


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俺「その話は百回聞いたよ、お父さんのアゴが外れたんでしょ。
  ……あーはいはい。じゃあね」

携帯の通話を終える。

幼「お母さん?」
俺「うん。おばあちゃんがまたかんころもち送ってくれたんだって」
幼「あー食べたい」

かんころもちというのは、さつまいもとモチが混ざったようなやつだ。
ようするに皮を剥かなくて良い石焼き芋みたいな感じで、甘くてお腹もふくれるので良いおやつになる。

俺「取りに行こうかな」
幼「行ってきてよ」
俺「みおのおばあちゃんって何か送ってくる?」
幼「全然送ってこない」
俺「でもまだ生きてるんだ?」
幼「よく分からん」
俺「なにそれ」
幼「ほら、離婚あったからお母さんの方は情報がさ。
  よく考えたらその後は聞いてないような」
俺「あーごめん」
幼「でも、しょっちゅう色々送ってくるってことはなかったかな」
俺「うちのおばあちゃんは要らんものまで送ってくるからな」
幼「おばあちゃん会ってみたい」
俺「止めた方が良いよ」
幼「どうして?」
俺「今のおばあちゃんは俺以外にはすぐにかんしゃく起こすからね。
  きっと気分悪くさせるよ」
幼「大丈夫だよ」
俺「たまに変なこと言い出して、何言ってるか分からないんだよ?」
幼「それお前といっしょじゃねーか」

 ◇

母「あらー、みおちゃん」
俺「なんかいっしょに来たよ」
母「ゆっくりしていってね」
幼「はい、えへへ」
俺「あれ、お父さんいるの?」
父「いちゃ悪いか」

お父さんは仕事柄、土日祝日に休みなのは珍しい。なにしろ職場は平日の方がはるかに暇なのだ。逆に盆暮れ正月は忙しい。
日曜日などは入れ替え作業もあるのでお店を出て帰るのは深夜二時くらいになる。

幼「お久しぶりです」
父「カズをよろしくね」
幼「そんな、こちらこそ……」
母「泊まっていくの?」
俺「なんでだよ、だりーな」
母「あんたはうるさいから向こうで遊んでなさい」
父「あいつはほっといて、三人で美味しいものでも食べてくるか」
幼「良いですね」
俺「なんでだよ、ひでーぞ」

 ◇

結局一人で『ウォーリーを探せ』の『ウォーリーおもしろゲームブック』で遊ぶ俺だったが、全然見つからないので眠くなって寝てしまった。
起きるとちょうど晩御飯の頃だった。

母「あっ、匂いで起きてきたな」
幼「すき焼きだよー」
俺「ああーっ!!」

なんと、みおがお父さんの肩を揉んでいる。

俺「何してんだよー」

慌てて引っ張る。

幼「わっ、急に引っ張ったら危ないでしょ」
母「少しくらい良いじゃない」
俺「やだー」

みおの腰にしがみついたまま抗議する。

俺「ちくしょう、帰るまで離さん」
母「みおちゃんに嫌われるよ」
俺「このまま突進するぞ」
幼「こら、恥ずかしいからやめい」
俺「ゴゴゴゴゴ」

後ろからみおの腰を抱きしめたまま食卓に向かう。

幼「後で和くんの肩も揉んであげるから離して。ね?」
俺「本当?」
幼「うん」
俺「みお卵混ぜてくれる?」
幼「うん」
母「卵くらい混ぜなさいよ」
俺「あれくちゅくちゅするの疲れる。
  お店で毎日何十も親子丼とカツ丼でやってたからもう一生やりたくない」

それに俺はみおの股の間を指でくちゅくちゅしてるんだからみおも俺に卵くちゅくちゅしてくれても良いじゃんか、と思ったが言わなかった。

 ◇

俺「豆腐こんなに要らないよ」

みおが俺の卵を溶いた後、豆腐やしらたきを投入。

幼「ネギ食べないんだからこれくらい食べなさい」
俺「うー、じゃあお肉もっと入れといて」
幼「はいはい」

 ◇

母「あら、豆腐全部食べて。偉い偉い」
俺「だってみおが入れるんだもん」
母「私に言われても絶対ちゃんと食べないでしょ」
俺「……」
父「毎日無理矢理食わせてやってよ」
幼「そうします」
俺「えーひどい。連れて来るんじゃなかった」
母「何言ってんの、あんたが邪魔なのよ。次はみおちゃんだけでおいで」
父「それが良い。というか誰だお前は」
俺「なんだここんち……もう来てやらんぞ」
幼「あはは」

 ◇

帰宅。

幼「なんか色々もらっちゃったね」
俺「よくこのちくわ食べたよ」
幼「美味しい?」
俺「なんか長崎のやつで上等みたいよ?
  両親は美味いって食べてたな」
幼「長崎のなんだ」
俺「カステラもちくわもかまぼこもかんころもちも全部長崎。
  おばあちゃんが友達から送ってもらったのをまた送ってるんだよ」
幼「あ、そうなんだ」
俺「だけど昔は隣近所やコジキにあげちゃって自分のところのが残らなくてさ」
幼「えー!?」
俺「もったいないでしょ?
  おじいちゃんが働いてる頃ならまだ分かるけど、自分とこが食うに困っててもあげちゃうんだからやりすぎだよ。
  バカらしいんでお母さんが『和が食べたがってるから』って俺が食べられる物だけでもこっちに流すようにしたわけ。
  今はスーパーにも行けない状態だからもう送って来なくても大丈夫なんだけどね」
幼「なるほど」
俺「長崎なのに皿うどんやちゃんぽん関係がこっちに来ないのは、俺が野菜好きじゃないからなわけ」
幼「お前が野菜好きだったらこっちに全部送られてきて、今ちゃんぽんや皿うどん貰えてたんだ?」
俺「まあそうだな多分。かんころもちなんてマイナーぽい名産まで送ってるんだから名産あらかた送ってるだろ」
幼「和くんのせいでちゃんぽんと皿うどん貰えなかったー!」
俺「かまぼことちくわあるんだから作れば良いじゃん」
幼「たまには良いこと言うね」
俺「皿うどんやちゃんぽんてかまぼことちくわだけで良いよな実際。なんだよあの平べったい豆」
幼「お前に皿うどんとちゃんぽんを食う資格はない」
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