山茶花と婚約指輪編


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[09/05/21書き込み]

 [指輪屋(?)]

幼「どっちが良いかな……うう」
俺「そんなに悩むなら一回帰ってゆっくり考えれば?
  一年がかりで決める人だっているみたいだし、これってのがないなら焦って決めることないだろ」
幼「ううん、大丈夫……」
俺「……どっちもどっちなのか?」
幼「こっちの方が良いんだけどー……」
俺「けど?」
幼「でも……高いよね」
俺「少し高くても満足出来る物だったら結婚指輪も兼ねさせてもらうからさ。中途半端に二つ指輪買うより本当に欲しいの一つの方が値段的にも良いだろ」
幼「……大丈夫?」
俺「元は取るから安心しろ」
幼「じゃあ……これにして下さい」
俺「今日決めちゃって良いのか?」
幼「うん。これが良い」
俺「分かった」

 ◇

俺「ふう……今までで一番高い買い物だったな。落としたら大変だ」
幼「ごめんね。私、一生懸命やるからね」
俺「もう買っちゃったんだから謝るな。それに申し訳なさそうにするな。笑え。ありがとねって言え」
幼「へへ、ありがとね」
俺「お前の味噌汁の一万回ローンで返せよ」
幼「頑張ります」
俺「で……ここで指輪はめる?」
幼「駅前で!?」
俺「いや、そういう意味じゃないよ。
  まあしばらく俺が持ってるわ。後でな」
幼「なくさないでね」
俺「おう」
幼「もう行く?」
俺「そうだな、家を見に行こうよ。
  カツアゲされたらたまらないし、繁華街から離れよう。飯まだ大丈夫だろ?」
幼「うん」

 ◇

[生家]

幼「ここ?」
俺「ここだ!」
幼「木、めちゃくちゃ伸びてるじゃん」
俺「すごいな」
幼「和君ちがそこってことは、隣が私んちかな?」
俺「えーっと、団地に入って一番最初が高橋さんちなのは覚えてる」
幼「じゃあここかな」
俺「どうかなあ」
幼「ヨーダがここかな」
俺「いや、ヨーダは団地じゃなかったぞ。あの屋根が見える家がヨーダんちじゃない?」
幼「えーそうだっけ?」
俺「たしかヨーダんちは二階があって階段がこわかったからな。
  まあ後であっちも見てみようよ」
幼「うん」
俺「とにかくここが俺んちなのは間違いない、木があるんだから」
幼「たしかに」
俺「写メ撮ろう」
幼「不審者だよあんた」
俺「この木って何の木だ?
  そろそろ寿命なんじゃないか」
幼「えーっと、普通の木?」
俺「普通の木って意味わかんねーよ」

 ◇

女「あのー、どうかしましたか?」

セーラー服の女の子が不思議そうに聞いてきた。

俺「あのー僕ら昔ここに住んでたんで懐かしくて」
女「ええっ!?」
俺「この木、僕が生まれた時に植えてもらったやつで。これを見に来たんです」
女「ああー!
  何年か前に、前に住んでた人が木を伐らないでいてくれてありがとうってお礼を言いに来たってお母さんが言ってました」
俺「いや、それは僕らの母親達なんですけどね」
女「母親達?」
俺「えーっと、僕の親と彼女の親です」
女「お母さんが別々なんですか?」
俺「あー……この家に住んでたのは僕だけで、こいつは違うんですよ」
幼「私はこっちかそっちの二つのどこかだと思う」
女「あ、なるほど!
  家族かと思っちゃった」
俺「今から家族になろうってとこです」
幼「余計なこと言うな」
女「結婚なさるんですか?」
幼「まあ……仕方ないからしてあげようかと」
俺「お情けだったのかよ」

 ◇

幼「こいつがうるさいから」
俺「嘘ばっかり」
女「あはは、良いなあ。幼なじみなんですよね?」
俺「そうだね、0歳からの仲だよ」
女「くーっ、うらやましい……」
幼「好きな人いるの?」
女「私も今隣に住んでる幼なじみが好きなんですけど、言えなくて」
俺「お?」
幼「これは」
俺「僕らが力にならねば」
幼「うむ」
女「ちょっ、だめですよ!」
俺「なんで?」
女「だって……振られちゃったら……」
俺「幼なじみならそんなに気まずくならないんじゃない?」
幼「大丈夫よ」
女「うう……とても言えないですよ……」

クネクネと変な動きをしながら恥ずかしがる清純な女子高生。写メりたかった。

 ◇

しばらく幼なじみとその子が喋っていたが、俺はもう一つ目的地があったのを思い出した。

俺「あの、近くに小さな公園っていくつかあります?」
女「二つありますよ」
俺「多分、そこの通りみたいな四角いブロックで出来た崖が近くにあると思うんですけど」
女「あ、じゃあ一つしかないです」
俺「連れてってもらえます?」
女「良いですよ」
俺「それじゃ、ついでに幼なじみ呼んできてくれます?」
女「無理無理!」
俺「悪いようにはしないって」

 ◇

幼「……というわけで、セクハラ防止のためにこの子のボディーガードで来てくれないかな。私が離れると危ないから」
俺「何だよ、ちょっと女子高生と知り合えたからパンツの色を聞いただけなのに」
幼「変態。捕まるぞ普通に」
俺「来たらこの子のパンツの色教えてあげるよ」
女「お、教えてないからね!?」
男「分かってるよ」
女「……来れば?
  どうせ暇でしょ」
男「わあったよ」

 ◇

俺「そこブランコあるよね?」
男「ありますよ」
俺「じゃあその公園で間違い無さそうだな。ブランコは確実にあったんだよ」
幼「ブランコだけ覚えてるんだ?」
俺「今ってブランコの足場の部分が盛り上がってたりするだろ、ボヨンとしたやつで。
  足場がただの砂だと足場の砂だけが蹴り飛ばされてへこんで、雨の日の翌日に足場に水溜まりが出来ちゃうからさ。
  その水溜まりを覚えてるんだよ」
男「ありますね足場」
俺「今は道も水溜まりが少ないから反射パンツが見れなくて残念だよね」
男「……いや、肯定しにくいですよ」
俺「パンツは好きだろ?」
女「あ、こいつこの前私のパンツ見たんですよ」
男「あれはお前が勝手に見せたんじゃねーか!」
俺「なるほど、わざとパンツを見せて誘惑か」
幼「それ効果的よ」
女「わざとじゃないです!」
俺「判別方法があるんだ。
  わざと見せてる時は変態扱いしてくるけど、たまたまの時だと見られてるって気付いた瞬間顔真っ赤にしてスカートおさえながらごめんねって謝ってくるよ」
男「変態扱いされました」
俺「それはクロだな」
男「いや、白かったです」
幼「パンツの色の話はしてない」
女「やっぱり見てるじゃん!
  目に入らなかったとか言って嘘つき!」

 ◇

[公園]

幼「ここ?」
俺「分からない。けど、多分ここだな。ブランコは二つだけだった気がするし」
幼「あんたって変なことばっかり覚えてるのね」
俺「しかし誰もいないな」
男「近くにでかい公園出来たんでこっちはあまり使われないんですよ」
俺「ああ、そうなんだ。僕らブランコ使って良いですか?」
男「あ、俺砂場の方が好きなんで大丈夫です」
俺「ブランコ使えてラッキーだったな」
幼「子供かお前は」

キィコ……キィコ……

俺「ここさ……嫌な思い出があるんだよ」
幼「お前嫌な思い出ばっかりだな」
俺「ここでお前と遊んでた時に、知らない男の子が二人来てさ。ちょっと喧嘩みたいな感じになったんだ。
  そこそこ大きかった頃だからたまたま親が誰もいなかったんだよな」

 ◇

幼「それで殴られたわけ?」
俺「いや、俺は逃げたんだ。多分ね」
幼「多分って何よ」
俺「よく覚えてないんだ。だけど、その後のみおのことを忘れられないんだ」
幼「また私がこわかった話かよ!」
俺「俺は逃げたのか喧嘩に加わらなかったのか……まあ忘れたけど、みおに怒られてさ。
  逆ギレして『だってみおちゃんの方が強いじゃん』とか言ったんだ。そしたらみおがお母さんに泣きつくんだ、和君が守ってくれなかったって……」
男「はは、女の方が強いって俺達といっしょだな」
女「バカ静かにしろ、空気読めお前!」

なんだかこの男には似たものを感じるな。

俺「でも、もう逃げないよ」

ブランコから降りてみおの正面に向かう。みおも立ち上がる。

キィ……キィ……

錆びたブランコの揺れる音と小鳥のさえずりがやけに大きく聞こえる。

俺「もう逃げないよ」
幼「それさっき聞いたけど」

涙声なのにツッコミはしてきやがる。

俺「つっこむなよ。緊張してんだよ」
男「あはは」

ベチン!

男「いってー……」
女「全くもー、口閉じてろ」

 ◇

誰かが叩かれたような音がしたが今はどうでも良い。
指輪を取り出してみおの手を取る。

俺「これから先、必ずみおを愛し守り続けるよ。俺と結婚してくれ」
幼「うん……うん……」

指輪をみおの左手の薬指にはめると、みおは手をぎゅっぎゅっとグーパーしながらうっとりして眺める。
ああ、買って良かった。

俺「どうだ?」
幼「きれい……ぐす……きれいだよ……」
俺「良かった」
幼「ありがとう……」
俺「大切にしろよ」
幼「違うよ、指輪じゃなくて……和君……今までありがとう」
俺「ははっ、なんだよなんだよ。それじゃ別れるみたいじゃん。これからは良いのかよ」
幼「これからも……よろしくお願いします」
俺「よろしくね」
幼「うん……えへっ」
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