※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。


「この時間……もう確実に部活始まってるよなぁ………」
なんでグラウンドこんなに入り組んだ道の先にあるんだよ。地図があっても危うく迷うところだった……。
地図をカバンにしまって、視線の先に見えたグラウンドへパタパタと急いでいると、フェンスを飛び越して1つボールが転がって来た。
「ぅっわ、フェンスあんなに高いのに………」
呟いてヒョイ、とそのサッカーボールを拾い上げると、グラウンドの方から体操服を着た男子が慌てて出てきた。たぶん、このボールを回収しに来たんだろう。
「あ、ありがとうござ……って、うわ!!朝川さん!!?」
手渡したボールを受け取ろうとして蒼翡の顔を見た男子は、なぜか裏返った声を出した。
「ぇ、な、何でこんなところに!?家、こっちの方なんですか?」
「そうじゃなくて……サッカー部に入部したいんだけど、顧問の先生呼んでくれない?」
そう言うと、その男子は蒼翡を指差して目を丸くして口をパクパクさせ出した。
「ぇっと……?だから、」
「コルァ加藤!!ダラダラしてんじゃねェとっとと帰ってこい!!」
それ以上反応がないので、仕方なくもう1度説明しようとするとグラウンドからよく響く声。その怒声を聞いてハッと我に帰った加藤というらしいソイツは
「せ、先輩!!ちょっと来てくださいッ」
と声を上げたので、グラウンドから上級生と見える、ユニフォームを着た人が3人出てくる。
「ちょ……おい加藤、誰この娘!?」
「まさかお前ナンパしてんじゃねェよな!!?」
「つか、うちの学校にこんな子いたかッ?」
なぜかソワソワとキョドりだす先輩たちに向かって、ペコッと礼儀正しく頭を下げる。
「今日転校してきた朝川 蒼翡です。サッカー部に入部したいと考えているんですが、顧問の先生を呼んでいただけませんか?」
そして入部の意志を切り出すと、また一層ザワめきが広がる。
「ぇっ………マジ?」
「ちょ、大澤……今、職員会議だっけ?」
「いや、いいだろこれは………つか、副部長の権限で俺が許す!」
副部長と名乗った無駄に美形でモテるだろうなー、という雰囲気の先輩はそう言うと蒼翡の手首を取り、ずんずんとグラウンドに引っ張っていく。
――っていうか、やっぱ如月来てよかった!何この広い練習場!?1年生はまだ体操服着て雑用やらされてるみたいだけど、そんなの実力でレギュラーとれば関係ないし……
「練習は一時中断、全員注目ッ」
とこれからの期待に胸を膨らませていると、副部長がグラウンドの入口で声を張り上げ、40人ちょいはいそうな部員達の注目を一斉に集めた。
「喜べお前らっ!!待望のマネージャーが入ったぞ!」

 ……………はい?

副部長の弾んだ言葉の意味がよく分からなかった。
まねーじゃあ?マネーじゃー……マネ……………うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!
歓喜の雄叫びに包まれたグラウンドの入口で、僕は一人絶望に思考を占拠されていた。

そ う だ 僕  今  女   だ  っ   た   ………   ッ   !!!

そうしてあの菱川のヤローの言葉の意味を、やっと理解した。


  * Hope Love *