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国際生徒会機構役員(エキスパート)SS



セラッダ・ジローラモ・サブローラモ



一瞬のことだった。
その一撃がどこから飛んできたのか、ジローラモには理解できなかった。

「これは・・・高跳びの棒・・・!」
ジローラモの足元には、すでに頭蓋骨を破壊された生徒会長の亡骸と、
謎の黒人棒高跳びアスリートが転がっていた。
おそらく会長は、このアスリートの蹴りによって命を絶たれたのだ――

そこまでジローラモが理解し、そして戦慄したとき、背後から驚愕の声があがった。
「うおおっ! こ、これは・・・いったい・・・!?」
声の主は、同じ生徒会の役員のひとりである、北欧人のビョルンであった。

(なんという間の悪いときに、やってくるのだ・・・!)
ジローラモはビョルンを殴りつけたい衝動にかられた。
生徒会長の死。
その事実が味方に与える影響は計り知れない。

「えっ? えっ? これ、どうなったの? 会長? えっ?」
案の定、ビョルンはすでに恐慌をきたしはじめていた。
(やむを得ん・・・!)
ジローラモの意思は一瞬で決まった。
もとよりこれは覚悟のうえのこと――これこそが自分が、
この国際生徒会機構に所属している理由のすべてだと悟っていた。

「その者は影武者だ。落ち着け、ビョルンよ」
「かっ、かかかかか影武者!?」
「然り」

かつて会長がそうしていたように、ジローラモは鷹揚にうなずいた。
「私が本物の生徒会長である。皆のものに伝えよ、生徒会長は無事と」
「ええっ…でも、会長、顔が… そんなに彫りが深かったっけ・・・?」
「整形手術だ。急げ、ビョルン」
「わ、わわわわわかったぜーっ」

(これでいい…)
去りゆくビョルンを見送りながら、ジローラモは爪を噛んだ。
それは亡き会長の癖であり、ジローラモが生前決して真似しなかった唯一のものであった――


ナムット・ユー・バックオン



ナムット「一瞬……だけど、閃光のように!」

元ネタ・ダイの大冒険


ノレパン



「うぉう。やはりメイドはええのぉ~。古今東西、メイド以上に素晴らしいものはないわい」
メイドからお茶を受け取り、冥土にいきそうなくらいの一服をしているワシュー。
「今日はいい天気だな。俺にも一杯、くれないか?」
ビョルンがそう言った瞬間、メイドは自分の顔に手をかけて皮膚をはがす。
「ふう。時間が経ったようだ。これからは追加料金になりますかな。ワシュー翁」
皮膚ではなくマスクであり、ノレパンの顔が見える。
可愛らしいメイドから、メイド服を着た怪盗への様変わりに驚くビョルン。
「紳士は時間に厳しいもんじゃ。さて、休憩時間は終わりにするかのう」
ワシューは去り、ノレパンとビョルンが部屋に残る。
「君もメイドを楽しむかね? 何、吾輩の変装にかかれば実際のメイドを堪能するようなもの。
 料金は取るがね」
「え……いきなり言われても……」
「ふむ。君に女装させることも可能だ。なんだったら戸籍ごと変えてやろう」
「ちょ、それは犯罪じゃ……」
「誰に何を言っているのか考えたまえ。まあ、吾輩の芸術を理解するのには素養が必要であろうな」
ノレパンは高笑いをした後、いつの間にか消えていた。
これが怪盗の流儀にして、芸術である。


ハット=リー



「いったい、あいつら、なにやってんだ…」

生徒会室には、緊迫した空気が立ち込めていた。
番長グループによる、宣戦布告もない先制攻撃。ゲリラ戦術。
それは、戦列の完成していなかった生徒会に大きな動揺を与えていた。

「午前9時集合って言ったじゃねえか!
 どいつもこいつも時間にルーズで、本当にやる気あんのかよ」

「それはほら、みんな自国の時計使ってるから。
 時差があるんじゃないですか」

「あいつら来日して何日間留学生やってたんだよ。
 その間ずっと自分時間ってか。ロハスか。おめでてーな。
 どうすんだよ! このままじゃ――」

混乱する生徒会に、そのとき、静かな声が響いた。

「落ち着くアル」

周囲の目が その男に注がれる。青竜刀を携えた、黒衣の男だった。

「な、なぜ忍者がここに…」
「忍者? なにそれ、知らないアル、ニンニン」
「語尾…」
「こういう時こそ冷静な判断力が試されるもの。
 拙者はこのような戦いを求めて日本に来たアル」
「一人称…」
「ここは拙者に任せるアル。
 一太刀にて仕留めてみせるでござる」
「・・・」

そしてハット・リーは青竜刀を投げ捨て、おもむろに日本刀を担いだ。
「ゆくぞ、忍法・断空黄河剣!」


バルバロッサ土田1



バルバロッサ土田の場合:

喫煙が教師に見つかったことで、一週間の停学を余儀なくされた土田。
久しぶりに学校に出てきたとき、すでにそこは彼の知る希望崎ではなかった…

「土田さん、なにやってたんスか!」
「え… いや、自宅謹慎だけど…」
昼間はパチスロ、夜は海外ドラマDVDの鑑賞…
それが彼の停学中のライフスタイルだった。
だが、そんなことは、彼を魔王の化身だと思っている彼らには告げられない。

「やばいっすよ! クソッタレの会長とゴミクズの番長が死んで、
 海外留学魔人が幅をきかせちまってるんです!」
「海外留学魔人…??」
土田の脳裏にカラフルなド変態たちの姿が浮かんだ。
世界各国の魔人。さぞかし個性豊かなキ○ガイの集まりに違いない。

「土田さん! もう限界です!」
「土田さんの力でやつらを皆殺しにしてください!」
「魔人ごときが魔王に勝てるはずないっすよ! ほら!」
そして、取り巻きたちは教室の前方を指さした。

「さあ、国際生徒会機構っつー連中に助っ人を頼んどきました!」
「あいつらを利用してクソッタレ番長グループをギタギタにしてやってください!」

「ま…マジか…」
教室の入口では、土田がさきほど脳裏に思い浮かべた通りの
カラフルなド変態集団が「おいでおいで」をしていた。


一分後には、国際生徒会連合のド変態どもに胴上げされながら
生徒会室へ運ばれる土田の姿があった。
「わっしょい! ワーッショイ!」
「What show we! What show we!」
「Whats say! check it out!」

「ま、待ってくれ! 俺は生徒会なんてやりたくない!」
「オー、魔王殿は実に謙虚ネー。日本人の美徳!」
「番長どもと血で血を洗う決戦するアル!」
「HAHAHA、楽しいデース!」
「やめろ・・・やめてくれー! くそ、いったい誰がこんなことを!
 これは陰謀だ! 許せねー!」

土田はこの事態を引き起こした者への復讐を固く誓った――」


バルバロッサ土田2



「今週のこち亀おもしれー」
生徒会室で土田はジャンプを読んでいた。
ジャンプを読んだ後は、感想サイトを巡るのが彼のスタイルだ。
その土田がジャンプの高次元漫画を読もうとした時、話し掛けられた。
「やあ、土田。会長になれなくて残念だったな」
「心底嬉しいね。好きでこっちにいるわけじゃないし」
アメリカから来た奴だっけ、と記憶を探りながら返事をした。
「ホントに謙虚だなぁ。あまりに謙虚すぎて、番長たちを殴れないってのは勘弁してくれよ」
「お前らなぁ…なんで盛大に勘違いするのかしらんが、今のは本音だ」
憤る土田だが、相手はそれもジョークととらえ笑い出した。
「おいおい。土田のオーラはどう見ても危ない雰囲気出てるぜ。羨ましいくらいに」
「ったく。オーラ一つでどうにかなるってわけじゃないんだぜ」
土田は眼前にいる相手が、ハリウッドスターなのにタレントオーラが全くないのを思い出した。
(しょうがねえな……ちょっとくらいは手伝ってやるか)
クスリと笑う土田。
相手はそれを奇妙がると、
「なに、お前から海外ドラマを借りようと思っただけだ。お薦めは?」
「おいおい。漫画を読んでいるのにドラマに浮気か。『24』ならすぐに貸せるぞ」
「じゃあ、それ借りる。つまんなかったら、どうしてくれる?」
「ディスクをフリスビーにして遊べばいいんじゃないの?」
二人は笑い合った。


ブラッ・ドピュット



「フフフ……、番長グループの勇士どもよ。貴様等に勇気があるなら受けて
みるか、我が国に伝わりし伝統の決闘法を……!」
「な、なんだと、まさかあれは……!」
「し、知っているのか、飲茶!」
「うむ、あれこそは『ファイトクラブ』。高潔なるアメリカ紳士による1対1
のデスマッチ。その戦いはどちらかが死ぬまで行われ、相手は避けても良い
が、仕掛けた方は確実に相手の拳を受けねばならぬと聞く……」
「な、なんじゃあ、そのマゾい戦いは……!」
「だが、見るがよい。あの奇妙ないでたち。やつめ、何か策があるに違いない」
「そういえば、あいつめ、下半身が丸出しじゃのう」
「見るからに怪しいわい」
「フフフ……、この決闘法を受ける勇気がなければ辞退しても構わん。
むろん、その場合は貴様等の不戦敗ということになるがな……」
「な、なんじゃとー! ええい、このわしが引導渡してやるわー!」
「どけ、貴様等」
「ゲゲーッ! お前は○○ーっ!」
「ブラッとか言ったな。貴様の攻撃、オレは避けても構わんのだな……」
「フフフ……。アメリカセレブに二言はない。もちろん、貴様が避けれる
ならば、だがな……。それっ、ドピュ!」
「ああーっ! 汚えぞ、あいつー! 精液を○○の顔面にブチ撒けやがったー!」
「精液で目を塞がれちまってる! これじゃ○○は回避しようがねえぜ!」
「フフフ……勝負は勝てば良いのだ。いざ、『ファイトクラブ』スタート!」


ローズ・グリマルディ1



「あわわわわ。敵は白熊総大将にして襲ってくるよ。もうお終いだ。鮭のように食べられちまう」
泡を吹きながらびくつくビョルン(ヒリュー)。
それを尻目にローズは笑顔で、
「風が舞えば木の葉に。雪が降れば白狐に化けるまで。
 そして、クマが襲ってくるならばマタタビになり、撃ち殺せばいいだけよ」
「マタタビ? ふむ、マタギの間違いでは?」
各国の文化に詳しいノレパンがすかさずツッコミを入れる。
「ど、どうだっていいじゃない。要は、勝負というのは主導権を握り、決定打を決めた方が勝つ!」
ローズは仲間全員を順に見回す。
「なあに、勝負ってのは多少不利なくらいの方が燃えるものよ
 あなた達の命(チップ)。私に預けてくれるなら、悪いようにしないわよ」
ローズのもつ自信に、みんなは賭けてみることになる。

かくて、生徒会はギャンブラーに率いられることになった。


ローズ・グリマルディ2



(替え歌です。元ネタ:ブレンパワードOP/In My Dream)

Death bring  死と生の間(ま)に 入ってしまえば
愉悦の狂気に 踊らされ
死んでいく This Game
回転するシリンダー 勇気を試されているの
吐き出される弾丸 螺旋軌道で 死を与える
In My Roulette 潜むモンスター
身体中に 駆けめぐる
流れる死のメロディ 恐怖の瞬間
I say good-bye my life
In My Roulette  ただ受け止めて
死神は選ばない 誰だろうと
せめて美しく スターライトのように
輝いていて Kill my Fortune


ワシュー=レイダット



「では、みなさん。グッバイ……」

番長グループに致命的打撃を与えたワシューはその場で霧の如くに消え去った。
と、同時に発生する濃霧。突然の怪奇現象に狼狽する番長グループ。
視界を封じられ、目の前の怪奇現象に怯えた彼らの戦闘力は、あからさまに
半減していた。こんな状況ではとても攻撃など当たらないだろう。

だが、それとは別に、もう一つの怪奇現象が人知れず発生していた。
「おかーさん! 生きてたの!」
神とも悪魔とも判別つかぬ何者かの存在が、霧と消えたワシューを追いかけて
いったのである。
実はこの者、北欧神話の邪神、ロキであった。
かつて霧の巨人たる母親を殺害し喰らったロキは、トリックスターとして
振舞う一方、常にそのことを悔やみ、悩んでいた。そんな彼が、霧と化して
消えたワシューを母親と見間違え、これの後を追ったとしても何の不思議もない。
とはいえ、もちろん邪神の動向など他の者達に分かるはずもないし、何らの
影響を及ぼすこともない。
……ただ一人を除いては。

ビョルン「あ、なんだか、急に肩こりが治った」

この時、僥倖にもビョルンはロキの呪いから解き放たれたのであった。


ンジャメナ



ワシューは目の前の光景の意味が分からず、目を閉じ深く深呼吸をしてから再び目を開けて見る。
しかし、そこでは相変わらず、チャードルで顔を隠した女性が、絨毯を運んでは広げ、運んでは広げをしている。
もうすぐ、戦いが始まろうとしている時に、彼女が何のためにそんなことをやっているのかは分からなかったが、目の前で困っているレディーを助けるのは紳士の務め、
「お嬢さん、お一人では大変でしょう。よろしければ私もお手伝いさせてください」
そう言って、一緒に床に絨毯を敷いていく。
絨毯を敷き終わるとンジャメナは懐からランプを取り出すと
「じゃあこれから魔神を呼び出しますから、ちょっと下がってください」
とワシューに伝える。
「魔人?あなたは召還が出来るのですか?それは・・・カレー用ソースポット?そんなもので何をするつもりですか?」
「カレー用ソースポット?違いますよこれは魔法のランプです。これを擦ると魔神が出てくるんです」
「ふっふっふ、お嬢さんそれはカレーのルーやサラダのドレッシングを入れる物でソースポットと言う名前なんですよ」
「へ~ワシューさんて物知りなんですね~」
「何せ紳士ですから、カキ氷のシロップを掬うお玉が甘露じゃくしと言うことも知ってますよ」
「紳士ってすごいですね~」
などと言ってる間にンジャメナはランプ(カレー用ソースポット?)を擦りジンを呼び出した。
「何だご主人、もう飯の時間か?」
彼はジン、ンジャメナの家系に代々受け継がれてきた精霊で昔は数十人の盗賊を相手に勝ったり、一晩で井戸を掘ったこともあるという魔神である。
しかし、近年ではそんな仕事もなく両親を無くしたンジャメナの親代わりとして、話し相手になったり一緒に食事をするだけというまるでニートのような生活を送っている。
「昨日言ったじゃないですかジャーンさん、今日は世界番長連合っていう人達と戦うから手伝ってもらうって」
「そうだった、そうだった、よし、このジャーン様に任せておけ何せ魔神、神だからな。ところで少し腹が減っているんだが」
そう言い出すだろうと思っていたンジャメナは予め用意していたタッパーとビールなどを持ってくる。
「やっぱり戦いの前には腹ごしらえだよな、そこのあんたも遠慮しなくていいから、ぱーっと行こうぜぱーっと」
そう言いながら、ビールを飲み始めていた。
呆気に取られ固まっていたワシューだったがンジャメナに
「コーヒーしかないんです。すいません」
と渡されたコーヒーに熱くて飲めないのでフーフーしてくれと要求。
酒は飲んでいないはずだが、ある意味すでに出来上がっていた。


ビョルン=エリクソン1



その1

“シグルズよ・・・。
汝は同じ過ちを犯すというのか。
思い人とは結ばれることは、2度とないのだ。
何ゆえ転生を繰り返す・・・。

運命に逆らっても無駄だ。
今はギューキ王の代わりにロキが汝の前に立ちはだかるだろう。
これは定めであり、不変の真理なのだ。

ブリュンヒルデとは永遠に結ばれぬ。
足掻いても無駄なのだ。シグルズよ・・・。”


また、あの夢だ。
ビョルンは汗をびっしょり掻きながら起き上がった。
この前、北欧神話の本を読んだからかな? 何てことを思いながら・・。

元々、シグルズとは縁がある。
本物かどうか知らないが、神話の中に登場するシグルズの武器「グラム」も家にあった。
よく喧嘩するとき持ち出して、親父に怒られている。
妙に使い勝手のよい長剣だ。鉄も切れるし、刃こぼれもしない。

「さてと・・。」
一言呟くと、出かける用意を始めた。

今日もまた喧嘩だった。
知り合いに加勢を頼まれている。
どうも形勢は悪そうだが、ビョルンには関係なかった。
勇敢に戦って死ぬだけだ。
自身の生死には全く興味がなかった。
いかに自分が勇猛な戦士であるということを天の神に見てもらえるか、
そしてヴァルホルに連れていってもらえるかが重要であった。



「よぉ、悪ぃな。ちょっと遅れちまった。」
ビョルンは仲間に声を掛ける。
「おう・・。待ってたぜ。敵さんはあっちだ。」

苦笑いしている仲間が指差した丘の上に50人くらいが固まっている。
こちらはたったの10人であった。
「ふふ・・。これは死ねるな。」


やはり多勢に無勢、次々と仲間が殺されていく
だが、ビョルンは戦いを楽しんでいた。単純作業のように一人ずつ殺していく。
何も考えずに・・。そして、感覚は研ぎ澄まされていった。
まるで全身に眼が付いているように周りがよく見える。
だんだん、敵の動きがスローになり、音が遠のく・・・。
重力の存在もなくっていく気がした・・・・。


ビョルン=エリクソン2



その2

『やっほ~!!シグルズひっさしぶりぃ~~~!!!』
ふと少女が一人目の前に浮いていた。
「誰だ?オメ―??」
今、戦ってたはずだが??
『あ、そうか・・。今はビョルンっていうんだったね!!あたちはぁ、ブリュンヒルデ様だよ~!!』
「ぶりゅんひるで??あ・・・、もしかしてヴァルキュリアの?ヤ、ヤッター!!!これでヴァルホルに行けるぜ!! ・・・ん?てことは死んだのか?」
『ちがうよ~!!ビョルンはまぁだ生きてるんだよ。ほら、あのハチェット動いてるじゃ~ん。』
彼女の指差す方向を見ると手投げ斧(ハチェット)が回転しながらゆっくり向かってくる。
おそらく敵が投げたものだ。
よく見ると敵も残り少ない味方も少しずつだが、動いていた。

ビョルンはハチェットを避けようと仰け反ろうとした。
だが、思うように動かない。周囲と同じ速度でしか動けなかった。
「あ、これは・・・死ぬ間際に周りがスローになるってヤツか・・。」

だんだんハチェットは近づいてきて・・・
ついに・・・、あぁ・・

“カキンッ”

顔面に当たったはずのハチェットが乾いた音を出して跳ね返った。
普段なら致命傷のはずだったのに・・。

『イエ~イ!!シグルズの特性が出たじゃ~ん!!さっすが生まれ変わりだね。おめでと~~~♪』
ブリュンヒルデはハイテンションだ。
「あ、あれ?」
全身が硬質化している。
「お前が現れたからか?」
『ううん、違う~。元々ビョルンが持ってるヤツなんだよ。』
「はぁ・・?まぁいい。この戦いが終わったら、いろいろ聞きたいことがあるからな。帰るなよ!!」


硬質化した身体は、ほとんどの攻撃を防いでくれた。
攻撃に専念できたビョルンは敵を圧倒する。
10人程度を刺し殺した時、敵は退却し、仲間は全滅していた。

ビョルンは仲間を弔う心は持ち合わせていなかった。
先にヴァルホルへ旅立ったことへ嫉妬を覚えるだけなのだ。

ブリュンヒルデの話によると、ビョルンはシグルズが転生した魔人らしい。
顔や体格もシグルズそっくりだと、彼女は喜んでいた。
元々、ブリュンヒルデとシグルズは恋人だったことはビョルンも知っていたが・・。
「おいおい、シグルズってお前が殺させたんじゃなかったけ??」
『いいの!!あの時はいろいろ行き違いがあったんだから!!!』
「俺はやめてくれよな。痴話喧嘩で死んだんじゃ、ヴァルホルに行けなくなっちまう・・。」
「つ~か、連れてってくれるんだよな?」
『え~、どうしよっかなぁ。』
「お願い!!マジで!このとおりです。」
『じゃ、私の前で強いってとこ、い~っぱい見せてね!!』
ブリュンヒルデは心底楽しそうに微笑んでみせた。

そんな2人をニヤついた笑みでロキが見つめていた。
サガには触れられていないが、ギューキ王に忘れ薬を渡したのはロキである。
逆らえない運命の歯車が再度廻りだす。
今回もシグルズとブリュンヒルデが結ばれることはないのだ。
ロキは、久々にシグルズに再会し、はしゃいでいるブリュンヒルデに目を向ける。
「くひひ・・不憫な女だなぁ。未来を予言できる力を持つ身で何を見ているのだ。当然、逆らえない運命も見通しているだろうに・・。」

そう運命は絶対に覆らない。
この先に待つ悲劇もブリュンヒルデは、すでに知っているはずなのだが・・。

『ね~、ビョルン。』
「あ、なに?」
『ううん、呼んでみただけだよ。えへへ・・。』



その後、2人は世界各地の戦場を転戦することになる。
ブリュンヒルデはビョルンから片時も離れなかった。
何かからビョルンを守るように、優しく付き添ったままであった。
また、1つ分かったことだが、ビョルンの硬質化は戦う前に気合を入れるとなるらしい。
うん、まぁ常に硬質化していたら日常生活超不便だし・・・。

とにかく硬質化した身体を手に入れたことにより、ビョルンの活躍は目を見張るものがあった。

そして、ついには国際生徒会機構にスカウトされ、今まさに希望崎学園の戦場に赴いていた。


ビョルン=エリクソン3



「くっ…予想以上に遅れちまった!」

ビョルンは息をきらせて生徒会室に駆け込む。
そこには仲間が、信頼できる生徒会の友が待っている。
そのはずだった。

しかし、ビョルンの目に映ったのは、想像だにしない光景だった。

「な、なん・・・だと・・・!?」

酒をあびるように飲む二人の女と、
酔っ払って花火を打ち上げるタイ人…
ビョルンは口を半開きにしたまま硬直した。

「ウヒヒヒヒーーッ!!
 酒、酒、酒だああ~、もっと持ってこいよ!」
「ふへへ…もう飲めましぇん…
 会長、麻雀やりましょうよおお~、
 みんなでバックギャモンも楽しいよお~」
「ひゃはははは! 見ろ! 花火だ!
 きれいな花火だ! 花火、花火!」


「いったい、なにがどうなってるんだ…」
これではまるで宴会のような…いや、宴会そのものだった。
もはや彼らに戦う意思はない。
生徒会は、ただの酔っ払い集団になってしまっていた。

「くそっ、こうなったら、オレだけでも… ああぁっ!?」
「ひゃははは、花火、花火じゃ!」
全力でかけ出そうとしたビョルンの頭に、
タイ人の構えたロケット花火の先端が向けられた。

ビョルンが最期に見たのは、美しい火の星の輝き…
彼がヴァルハラに旅立てたかどうかは誰も知らない。
(第五次ダンゲロスハルマゲドン・終)