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第二次大戦に勝者なし
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第二次大戦に勝者なし~ウェデマイヤー回想録~
- A・C・ウェデマイヤー著
- 原書:"Wedemeyer Reports!", 1958
シェンノートと違って陸軍省に評判の良かったウェーデマイヤーは四十六歳。スティルウェルの反対派は今度は枯れを担ぎだそうとした。彼は一九三〇~三二年に天津の歩兵第十五連隊に勤務したことのある参謀幕僚部の花であった。レヴンワースを優等で卒業した後、ナチ政権下の一九三六~三八年に"クリークスアカデミー"(ドイツ陸軍大学校)で参謀課程を修了、ある人の表現によれば、「もっとも優秀なドイツ参謀将校にみられる、片めがねを掛けた沈着冷静の風を漂わせて」帰ってきた。長身、堂々たる押し出し、如才なく、有能で覇気満々の彼は陸軍省計画部でめざましい昇進をとげ、SEACでも一目も二目も置かれる存在だった。昇進を重ねるにつれ、彼には自分の長所を口にしないといった癖はなく、後に、自分の名前に感嘆符を付けたタイトルの本を書き、経歴を自慢して回顧している。「自分のことを偉いと思っている、あの若いのは」とスティルウェルは一、二度やんわりと批判し、そのときはまだ、辛辣な渾名をつける必要を感じていなかったが、時至れば、彼のインスピレーションはたちまち湧き出てくる。
目次
目次<上巻>
- 原本 日本語版への特別序文
- 原本 まえがき
- 学術文庫版 訳者まえがき
- 第一章 第二次大戦前奏曲
- 真珠湾攻撃の真相
- 両巨頭の誤算と専横
- 参戦に反対する米国民
- ルーズベルトの戦争挑発
- 共産主義とナチス・ドイツの台頭
- 真珠湾とチャーチル
- 第一次大戦の原因
- 第二章 第二次大戦の開幕
- ルーズベルトの戦争計画
- 大西洋会談の内幕
- ルーズベルトの恐怖宣伝
- 第三章 戦争計画漏洩事件
- FBIの尋問
- デュフィールド記者の発言
- ゼナウ調査官の尋問
- 連隊時代の<酔虎伝>
- ローマン大佐との友情
- 未解決の漏洩事件
- 第四章 ドイツ留学と戦略研究
- 人間形成は父のしつけから
- 陸軍生活の厳格な環境
- 優秀なドイツ陸軍大学の戦略研究
- 戦略研究は現地教育中心
- ドイツ陸軍大学のクラスメート
- ヒトラーとベック参謀総長
- マーシャル将軍に見いだされる
- 第五章 勝利の計画
- <勝利計画>の立案者となる
- 決戦兵器で人的資源を調整
- 戦略を知らないルーズベルト大統領の側近
- マーシャルの戦争計画部への指示
- もめにもめた<勝利計画>
- 現実と一致した<勝利計画>
- 第六章 大戦略
- 大戦略と戦争目的
- 時代錯誤の戦略・戦術の定義
- 大戦略の四つの要素
- 近代戦における宣伝
- 第七章 宣伝と戦争目的
- 第一次大戦とアメリカの反省
- 三巨頭の<青写真>
- なんのために戦ったのか
- 目的のない戦争の悲劇
- 第八章 秘密裏にロンドンへ飛ぶ
- マーシャル将軍に随行して
- 空襲下のロンドンに到着
- マキアベリズムのイギリス
- アメリカ外交の若さ
- 英三軍幕僚長の横顔
- 第九章 米戦略を英国に提示
- 地下室で行われた英米作戦会議
- チャーチルのジョーク
- イギリス外交とドイツ戦略
- <周辺作戦>の背景
- 爆撃下のイギリス議会
- 第十章 英国、戦略の常道にそむく
- 独ソ戦線と日本軍攻勢の見通し
- アイク、ノルマンジー作戦指揮官となる
- 戦略家としてのチャーチルの欠陥
- ディエップ上陸の失敗
- ノルマンジー上陸計画と英米のかけひき
- サギをカラスという詭弁
- 第十一章 北アフリカ上陸作戦の胎動
- ドイツ軍のアフリカ攻勢
- 蒋介石の米英への不満
- だまされたルーズベルト
- 選挙がゆがめる戦略方針
- 北アフリカ上陸作戦決定の経緯
- ディル卿のチャーチルへの書簡
- 第十二章 カサブランカ会談
- 会談開催までの舞台裏
- ワシントンからカサブランカへ
- イギリス軍の出した<三つの未知数>
- 結束かたい英国の戦争目的
- チャーチルの二つの心配
- 第十三章 無条件降伏
- キングとブルックの意見対立
- 無条件降伏の要求に反対する
- 無視された蒋介石
- 招かれざる客ドゴールの出現
- 第十四章 各戦線の視察
- カサブランカからテル・アビブへ
- エルサレムからカラチへ
- ニューデリーから中国へ
- 日本軍空襲下の重慶
- 蒋介石と米軍首脳部の確執
- セイロンからオーストラリアへ
- マッカーサー将軍との会談
- 第十五章 同床異夢の米英戦略
- 泣く子とチャーチルには勝てぬ
- 地中海作戦の推移
- トライデント会談
- 第十六章 シシリー島強襲作戦
- シシリー戦線への<休暇>
- シシリー戦線のパットン将軍
- 地図
目次<下巻>
- 第十七章 ヨーロッパ要塞の下腹をねらえ
- 生兵法の地中海作戦
- アンビル作戦とロンメルの知略
- 第十八章 ノルマンジー作戦の決定
- イタリア作戦と米英の対立
- マッカーサーとニミッツの抗争
- ケベック会談開かれる
- アジア連合軍司令部の設置
- 第十九章 ビルマ奪還計画
- アジアに左遷される
- 東南アジア司令部の空気
- レド公路の建設とターザン作戦計画
- カイロ会談とカルバリン計画
- アイクのチャーチル批判
- ビルマ奪還計画と米英の見解
- 日本軍のインパール奮戦
- 中国戦線米軍司令官となる
- 立つ鳥あとを濁さず
- 第二十章 中国戦線におもむく
- ヒマラヤを越えて
- はじめて知った中国の苦悩
- 毛沢東、周恩来との大議論
- 米軍司令部内の改革
- 重慶撤退計画と米中関係の改善
- 米中連合幕僚会議の設置
- 衛立煌とサルウィーン戦
- 第二十一章 暗躍する共産主義者
- 中国戦線アメリカ軍内部の対立
- ハーレー大使の暴走
- 蒋介石を脅迫するスチルウェル
- 空手形をつかまされたハーレー
- アメラシヤ事件
- 米大使館内部の対立
- 第二十二章 中国戦線の反攻作戦
- 中国の国内改革の勧告
- 中国軍の近代化
- 朝鮮戦線での中共兵の勇戦
- ヒマラヤ空輸の大機動戦
- ドイツ降伏後の対日反攻計画
- 蒋介石のマーシャルへの懸念
- 中国軍のピンハネ防止
- 中国戦線反撃に転ず
- 老いぼれたルーズベルト
- 第二十三章 中国の戦後処理
- 満州の蹂躙するソビエト
- 満州をソ連に売ったヤルタ協定
- ソ連軍の南下を万里の長城でふせぐ
- 在留日本人の内地送還
- 中国に対する英国の思惑
- 戦争をフットボール視した米国
- クラスメートのジャック・バンス
- 本末を転倒した中国政策
- マーシャル、特使として中国に
- マーシャルと意見の衝突
- 第二十四章 混迷する対中国政策
- 中国共産党の横槍
- 共産主義に無知だったマーシャル
- マーシャル批判の公演
- 中国を理解しないアメリカ
- 国共連立を強制する米政府
- 第二十五章 米国ついに中国政策を誤る
- マーシャル、中国視察を要請
- ウェデマイヤー使節団の現地到着
- 中国に対する忠告
- 事、志と違った中国への忠告
- 『ウェデマイヤー報告』の要点
- ウェデマイヤー報告、握りつぶされる
- スチュアート駐華大使の報告
- ついに退役を決意す
- 第二十六章 第二次大戦に勝者なし(一)
- 漁夫の利を占めたソ連
- 長蛇を逸したダンケルク
- ゲーリングの虚栄
- スターリンの思惑と独ソ戦
- 独軍のレニングラード攻撃
- ヒトラー暗殺未遂とOSS
- 第二十七章第二次大戦に勝者なし(二)
- ヒトラー暗殺の失敗とドイツの運命
- ノルマンジー反撃に失敗した独軍の内情
- 日本の戦略的錯誤
- 極東でのアメリカの大失策
- 予知されていた真珠湾の奇襲
- 連合側の最大の過失
- 第二十八章 結び
- 世界指導者の責任
- 国家大戦略会議の提唱
- 建国の遺訓を思い起こせ
- 付属資料
- 付録第一 中国に対する戦争余剰物資の売却
- 付録第二 上官ハンディ大佐あて覚え書き(英軍三軍幕僚長の全般戦略に対する筆者の所見)
- 付録第三 コネリー氏(大統領秘書官)あて覚え書き(ウェデマイヤー報告の公表禁止について)
- 付録第四 筆者のアメリカ陸軍省あて報告の注釈
- 付録第五 ウェデマイヤー陸軍中将に対する訓令
- 付録第六 大統領への報告書(一九四七年九月十九日提出した第一部から第四部までの報告内容)
- 索引
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