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人間はガジェットではない
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ジャロン・ラニアー
『人間はガジェットではない
──IT革命の変質とヒトの尊厳に関する提言』
(ハヤカワ新書juice)
目次
目次
- 緒言
- 第1部 人とは何か
- 第1章 人の欠落
- 断片は人にあらず
- 「人間をどう変えるのか」こそ技術の最重要ポイント
- 楽観主義
- 情報技術に関する権力構造
- ときおり、デジタル世界にエデンの園が現出する
- ムーアの法則という曲面で生きる
- 固定化で考えが現実に変わる
- デジタル具現化──固定化で原理が現実に変わる
- 確立され、ユビキタスになったソフトウェア原理は不可視となる
- 鉄道やファイル、音符に起きたことは、ほどなく人間の定義にも起きるはずだ
- うれしい驚き
- 技術の批評を機械打ち壊し論者に任せてはいけない
- 部族の継承争い
- 部族のわな
- 我々は今どこを旅しているのか
- なぜ問題なのか
- デジタル派閥抗争の重要性
- 未来について
- 第2章 自己放棄の黙示録
- コンピューター技術者が機械打ち壊し論者より変だったらどうするのか
- 情報技術の認知にも文化が必要
- コンピューターがすごく見えるように人を時代遅れとする
- 情報は自由など望んでいない
- リンゴがまた落ちた
- チューリングテストは両刃の剣
- チェスについて考えてみよう
- 感応の輪
- 感応のインフレと形而上学的不確実性
- 輪を削いでゆく
- 思考実験──テセウスの船とボルヘスの無限図書館との出会い
- 大きなボルヘス
- 形而上学的スリーシェルゲーム
- ゾンビの群れ
- 第3章 ノウアスフィア=みんなの内に潜むトロール
- 倫理的観点から、個性をできるかぎり排除した聖書を作らなければならない?
- ナード還元主義
- 質という概念を否定すれば質が失われる
- 知的な慎みの欠如
- 今ならまだ、オンライン設計から集団という概念を取り除ける
- 降臨しないかもしれない救世主を招く儀礼的なまやかしの友情
- 集団の真実
- 集団の上手な使い方
- 好奇心がなぜか欠落
- トロール
- トロールの標準的な召還手順
- デジタル世界の倫理は設計が支えている
- ドライブバイ匿名性はかつての共産主義やファシズムのように増大するのか?
- 侵害イデオロギー
- 匿名性のMIDI
- フェイスブックと落ちこぼれ防止法は似ている
- 抽象的な人が現実の人の輪郭をぼかす
- 念のため一言──私はネットに反対しているわけではない
- 第2部 お金はどうなるのか?
- 第4章 デジタル小作農の流行
- 運命との約束が崩壊する
- マズローのピラミッドをたたきつぶす
- 倫理が機能するには技術が必要
- 技術的変化には痛みが伴う
- あらゆるものの価値が下落
- 革命後もその価値を保つ唯一のモノ
- 真空地帯へと加速する
- 犠牲者を責める
- クラウドの農民と領主
- 第5章 街は音楽でできている
- どれだけ待ったら待ちすぎか?
- 夢よ永遠に
- 探索
- メリットを享受する人がいない
- 第6章 果てしなき幸運を手にするため、クラウドの支配者は自由意思を放棄する
- 各地域の運命
- 夢の国──アメリカ
- コンピューターが堕落を広げる
- 自己欺瞞と堕落がクラウドで出会う
- 大きなn
- 第7章 人間的なクラウド経済の可能性
- デジタル経済──最初の考え、最良の考え
- 選択肢
- デジタルになると何でも斬新に思える
- ──おそらくは社会主義でさえも
- 今ならまだ間に合う
- 移行
- 生物学的な現実主義が自由と無秩序を分ける
- 第8章 未来に至る三つの道
- テレパフォーマンスによる演奏
- ソングル
- 一定形式による金融表現
- 第3部 フラットの耐えられない薄さ
- 第9章 レトロポリス
- 二次文化
- クズの弁護
- 怒り
- 大きすぎて目に入らない失望
- 環境の変化は今まで必ず新しい芸術をもたらしてきた
- ジェネレーションXの虚無は去らず、ニューノーマルとなった
- 史上初、音楽が停滞する時代
- レトロ以外のデジタル文化もレトロ経済が基礎となっている
- 第10章 デジタルな創造性はフラットな場所を避ける
- リアルのものは完全な描写が不可能
- 怒りの非ソフトウェア
- 感応とローカル性──感動を生まないグローバル文脈
- 第11章 総員、膜に敬礼
- 自然はどのように問いを発するのか
- ウィキ化する学術会議
- ウィキ化する生物学
- 狂宴でまともな実験はできない
- 欠けているものはわからない
- 編集合戦に犠牲者はいるのか?
- 表現としての数学
- ウィキの代わりに選ばれていたかもしれない選択肢
- 検索が独り占めされると…
- 第4部 ビットを最大限に活用する
- 第12章 私は反対思考のループ
- 計算主義の文化
- 計算主義の不十分な流儀三種
- 現実的計算主義
- 第13章 意味解析発展のありえたコース
- コンピューターがついにパターン認識能力を手にしはじめた
- 統計的アルゴリズムに世界はどう見えているのか
- 画像からにおいへ
- 言葉はにおいから生まれた?
- クラウドによる翻訳
- 編集はセクシー、創造性は自然発生的
- 現実的計算主義の考えは進化論と相性がよい
- 帰ってきたレトロポリス
- ラーマとの出会い
- メタファーの生理学的基礎
- 語彙を制限すると意味が生まれる?
- 脳が小さかったから人は無意味に飲みこまれずにこれた
- 第5部 未来の体液
- 第14章 安息の地(バシュラール的な幼形成熟に対する熱い想い)
- 進化戦略
- 速くなったと言われるが、私は遅くなったように感じる
- 子ども向けシリコン
- ゴールディング的な幼形成熟、バシュラール的な幼形成熟、幼稚な幼形成熟
- 世界でもっとも興味深い部屋でバシュラール的な幼形成熟に出会う
- ポストシンボリックコミュニケーションと頭足類
- 謝辞
ウェブ時代に人間が、"システムの断片"とならず人間であり続けるための推奨活動リスト(p46-p47)
- そうしなければ危険な目にあいそうな場合以外、投稿時、匿名にしない。
- ウィキペディアの項目を執筆するなら、それ以上の努力を、ウィキ以外の場で声をあげ、自分が書いたトピックスがおもしろそうだと気づいていない人にもおもしろさを教える作業につぎこもう。
- ウェブサイトを作り、ソーシャルネットワーキングが用意したテンプレートには収まらない形で自分を表現しよう。
- たまにでいいから、閲覧の100倍も時間をかけて制作した動画を公開しよう。
- 何週間もの熟考のすえ、ようやく聞こえた内なる声について、ブログ記事を書こう。
- ツイッターでは、自分の外で起きたどうでもいいことについて書くのではなく、自分の内側の状態を表現する方法を模索しよう。そうすることにより、マシンを規定するように客観的に記述されたことが自分を規定するといつの間にか信じてしまう危険を回避しよう。
関連用語
ノウアスフィア
フリーソフトウェア・プログラマーだったエリック・レイモンドは、このノースフィア(精神圏)をあえて「ノウ・ア・スフィア」と表記して「世界の情報編集のすべての集合所」のような意味につかった。むろんネット上の出来事を前提としたうえでのことである。
この「人間の思考の圏域」を表す用語は、ギリシャ語の「nous」、つまり精神や意志、息などを指す単語から生まれている。E. LeRoy が Les origines humaines et l'evolution de l'intelligence (Paris 1928)で発明したことばだ。これはさらに、ロシアの生物学者にして先駆的なエコロジスト Vladimir Ivanovich Vernadsky (1863-1945)によって広められ、さらにはイエズス会の古生物学者兼哲学者ピエール・ティヤール・ド・シャルダン Pierre Teilhard de Chardin (1881-1955)がこれを広めた。いまではこの用語は主に、人間が将来純粋な精神体へと進化して神様と融合するというかれの理論と結びついて考えられている。
トロール
(p114)
オンライン環境で口汚くののしる匿名の人を「トロール」と呼ぶ
- Geekなぺーじ : 「ネット天の邪鬼」or短縮して「ネトジャク」
- Troll (Internet) - Wikipedia, the free encyclopedia
- What is a troll? - Meta
関連ページ
関連リンク
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- 『人間はガジェットではない』(ジャロン・ラニアー、井口耕二訳、早川書房)感想 - みやきち日記
- 人間はガジェットではない - 基本読書
- asahi.com(朝日新聞社):【出版】「書店も図書館も元気です、か?」 決して反語ではない私の問いかけ - メディアリポート - デジタル
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