2008/10/24
女将一人目『天馬博士と吸血鬼』
前書き
今回はアン武氏のオリジナルシナリオ『天馬博士と吸血鬼』についての所感などを話したいと思います。
当初、同じくアン武氏の『殲血戦鬼エングライフェン』を取り扱う予定でしたが、メモしていたテキストを間違って消してしまった事、また誤字報告を行ってしまった事から、『殲血戦鬼エングライフェン』の前章に当たるであろう『天馬博士と』に予定を変更しました。
以下から、ネタバレなども含みますので、未プレイの方はご注意下さい。
ついでと言ってはなんですが、覚えている範囲で『殲血戦鬼エングライフェン』の事も今ここに記しておきます。
まず、start.eveの解説は本当に必要なのでしょうか。
説明は結局、物語の中ではつまらない部分のひとつだと思います。また、冒頭に説明が並ぶというのは、物語に入る前の説明ですので、世界に興味がない時点で教え込まれる状態ではないでしょうか。
市販のゲームにこういった冒頭説明絶対障壁が張られているものは、ほとんどないのではないでしょうか。物語の中に散りばめたりして、苦にならない形にしているのではないでしょうか。
市販のゲームと申し上げましたが、市販のゲームを買ってきて、説明書を読んでからプレイする人というのはめっきり減ってきたようです。この点からも、まずは説明より楽しさではないかと思う次第です。
加えて、インターミッションに用語解説がある以上、どうしても必要なものだとは私は思えませんし、工夫はしておられましたが、やはり、ヘキエキしそうになりました。
次に戦闘です。
どうも、アン武氏はこういう戦闘をお好みのようですので、バランス的にはあまり口出しすべきではないのかも知れませんが、一応、こういう意見もあるという事でお聞き頂きたく思います。
前置きから察して頂けるかと思いますが、かなり難しい部類に入るかと思います。
特に如何なものかと思ったのは次の点です。
オープニングで一度見ただろうが、;あ奴は『知覚者達』の一人。格の違う相手だ
あまり無闇な交戦は寿命に響くぞ
Talk メイア
腕に自信が無いなら、;ひたすら防御や回避に徹したほうがいいのですね
Talk 天馬
うむ。:だが………
Talk 天馬メガネ
<B>アルター以外の敵を全滅</B>させれば、;何か良い事があるやもしれんな
マップコマンドでこのようなフォローはされているものの、そもそもマップコマンドは見てもらえない可能性があります。この点は留意した方がよろしいかと思います。私も当初は見ませんでした。
来いよ騎士殿。;3分までなら相手になってやる
そして、イメージとしては時間を述べた相手を倒せばボーナスがあるというイメージがあるのではないでしょうか。
setstatus 不死身 -1
その時間を述べた相手が無敵だったり、手の出せないところにいたり、スペック的に完全に歯が立たないのなら、すぐに気がつくのですが、落そうと思えば落せる相手が不死身なのはちょっと厳しいと思います。
実際、がんばって撃墜してみると、相手のHPが10残り、その反撃で落とされました。
相手は報復持ちですが、攻撃しない前提であれば差し支えないかと思いますので、やはり徹底が肝要かと思います。
特に1話前後半はどちらも回避型の単機戦闘ですので、あれだけの数を相手にすると、どうしても確率頼みになってしまいます。
01後半.eveの逃走シーンも解法が少ないようですし、また選択肢の幅が多い関係でかなり難しい部類に入るのではないかと思います。パズルとして考えても、確率論が介在しますし。
02.eveの戦闘もどうかと思うところがあるのですが、こっちはまだ単機戦闘ではありませんので、まだ我慢出来ると思います。
お話はなかなか面白いと思います。
問うという(たぶん)主題を大事にしていますし、飽きられない工夫もよくしておられます。ノリの瞬発力もかなりよろしいと思います。
演出面もなかなかのレベルかと思います。オープニングの演出は特筆に価するかと思います。
大筋としてはこのような感じだったかと思います。
誤字は先にお知らせしましたのが、その他の漢字の使い方は許容範囲、個人の好き好きの程度かと思います。
最初に説明がガツーンとありましたし、ツカミがちょっと弱かったのか、01.eve序盤は没頭しづらかったです。
02.eveの戦闘後のイベントも若干、バラけたというか、迷っているというか、フニャフニャした感じを受けました。
『天馬博士と吸血鬼』前半
これが初作というのは大変素晴らしい事かと思います。
今はもう存在しない私の初作を思い返せば、本当は偉そうな事は言えないのですが、それはそれ、これはこれという事で失礼致します。
Talk 天馬
…む。;魔術はオカルトではなく、実在し科学できる代物だ。;:吸血鬼などと一色たにされては…
一緒くた
> 実際見たことも無しに;へぇそうですかと言えるかってなると…
ことが不統一。他にあるかどうかは確認していません。要置換。
???「ふん、山賊王如きで名乗りとは…;:少々調子に乗りすぎではないか?汎用指定」
ではないか? 汎用指定
Talk 天馬メガネ
聞いて平伏せ見て敬え
へいふくとも読めますからねえ。
山賊が物語の主人公になった試しは皆無だ
天馬「安心しろ我が助手!私は約束は守る男だッ!」
天馬「安心しろ我が助手! 私は約束を守る男だッ!」
時々、"!"や"?"の後の、半角空白を忘れてるようです。
前半の誤字などは以上です。漢字の変換については端折っていますが、なかなか少ない方だと思います。
『殲血~』では、かなり改善されていますが、『天馬博士~』では、此処、其処、此方、兎に角、有難う、というような漢字が散在しているようです。粗捜しというのも気になりました。『殲血~』だと、悉く、皺、圧す、というような感じでしょうか。
普段書かない漢字、書けない漢字、読めない漢字、読み間違えやすい漢字は、極力お使いにならない方がよろしいかと思います。
この辺りは私としてはいつも言ってる事ですが、あんまり賛同を得てないようですので、「これでいいんじゃー」というアレなら、それでよろしいかと思います。
それでは内容に入っていきます。
この話の要点は謎解きだと思います。
前半は謎解きの前段階として、事件の読み解きと容疑者(便宜上)の紹介が進みます。
この読み解きという過程は、場合によれば退屈なものですが、アン武氏ご自身のギャグ的な瞬発力によって、かなり紛れているかと思います。この点は非常に大きいと思います。
ただし、後半の展開や話の方向性からして、その瞬発力と相性が良いかどうかというのは、好みが別れるところではないでしょうか。
好みの点はさて置き、前半はそう無駄なところもなく、よくまとまっていると思います。
ただ、『殲血~』もそうでしたが、やはり確率頼みの戦闘でしたので、この点は改善を望みます。
単機戦闘というのは難しいものだと思いますが、話の都合上、どうしても避けられない場合もあるかと思います。しかし、逆に言えば、そこが腕の見せどころではないでしょうか。
あと、細かい事なんですが、アイコンだと16か32の倍数、その他の画像だとせいぜい、2倍とか0.5倍とかの比率で表示しないと画像にゴミが発生して、製作者の方の意図とは違う画像として表示されてしまいますので、この点はご注意された方がよろしいかと思います。アイコンの場合、人によっては透過やシルエットも嫌う方もおられますのでご注意下さい。
『天馬博士と吸血鬼』後半
それがこんな状態になっちゃ税を払う所か品を売りに出す事すら…
払うどころか、
> あの時は…ブリード様が専門の方々一緒に直々に御出でになりました
あの時は……ブリード様直々に、専門の方々を率いておられました
> 良く解った。;:吸血鬼の件は出来るだけ早期解決して見せよう
良く解った。;:吸血鬼の件は可能な限り早期に解決してみせよう
説明しよう!;:テンマァー・アイ・イリュージョンとは、;暗闇に長時間居る事によって瞳孔を大きく開き、
> 網膜に外部の光を多く採り入れる、;人間の基本機能だ!
説明しよう!
テンマァー・アイ・イリュージョンとは、;暗闇に長時間いる事により瞳孔を大きく開き、網膜に外部の光を多く採り入れる、人間の基本機能だ!
で、おそらく、句読点で継がなくてもよくなるんじゃないかと思いますが。
<I>やはり父さんが手入<COLOR=RGB(255,255,255)>白< /COLOR=RGB(255,255,255)>をしているのだろう。;:私はもう用<COLOR=RGB(255,255,255)& gt;白</COLOR=RGB(255,255,255)>みなのだろうか</I>
colorの閉じ括弧は</color>だけで通用するのでは?
<I>その性質さえあれば、人間だろうと家畜だろうと吸血鬼であると言えるとして…</I>
"であると言える"の部分が気になります。
> あの盗賊共を蹴散らした力。;:見事としか言い用が無かった
言いよう
アン武氏的には言い様でしょうか。
後半の誤字などは以上です。
後半は謎解きがメインになります。
ですが、天馬博士のキャラクターの関係で仕方ないところがあるのは重々承知の上で申し上げますと、謎解きが始まってからと言いますか、拉致られてからはちょっと台詞過多ではないかと思います。
実に単純。:貴様と私では<B>使用できる魔力の規模が違う</B>
(中略)
> よって、メイアの体に残る魔力は私のそれに比べかなり劣る
この台詞などは、噂に聞くブレンパワード第14話のような長台詞ですし、同じような塊が他にもあるというのは少々問題かと思います。
こういう場合は、今泉くんやワトソンくんが口を挟んで台詞を切ってくれるのでしょうけど、状況的にもキャラの性格的にも苦しいですね。
ともかく、この点は改善すべき点かと思います。
要はギミックが多い事、謎解きを土壇場に固めてしまった事故の弊害かと思います。
こういう場合は、拉致した天馬博士の前で、嬉しくなっちゃったあの人がある程度しゃべってくれるとかすれば、多少は減るんじゃないでしょうか。
後は、どこかで天馬博士がある程度謎解きをするものの、「この超☆天才をしても、それだけは未だ知る事が出来ない! だが、安心せよ! 超☆天才である以前に私は探求者! 旺盛な知識欲でこの最後の謎を(略」と前処理しておけば、塊もかなり減るのではないでしょうか。
ともかく、ワトソンなしでも、もうちょっと減らしようがあると思います。この辺りは推理小説に通じておられる方などおられたら、もっと上手いやり方をご存知ではないかと思います。
そして、こちらも戦闘が厳しいです。
まず、敵の数が多い事。そして、勝利条件と魔力障壁の関係でクリアが難しい事が問題かと思います。
今ならば、『殲血~』の一騎討ちに持ち込むなりなんなり、出来るかと思いますが、それもそれでまた説明が発生しますし、難しいところですね。
先ほども申し上げましたが、この辺りをアン武氏のシナリオの味だとお考えの方もおられるようですので、参考程度にお聞き頂きたく思います。
前半は割ととっつきやすかったのですが、後半は若干アップアップしていたようにお見受けしました。
以上です。
総評
『天馬博士と吸血鬼』
アン武氏は天馬博士と殲血を比べれば、今の方が上手くなっておられると思います。
不死身の失点を加味しても、殲血の方が上でしょう。
総合点:6女将(10女将満点)
『殲血戦鬼エングライフェン』第2話まで
不死身の件は、プレイヤーへの配慮、戦闘の難易度などに響いた手痛い失点だと思います。
ストーリー自体はよいと思いますので、今後、そういった細かい配慮が行き届けば素晴らしい作品になるのではないでしょうか。
総合点:6.43女将(10女将満点)
今後もシナリオ製作をがんばって下さい。
ご無礼の段、平にお詫び致します。
最終更新:2008年12月03日 01:05