日常編52

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俺「実は俺も奴には不満だらけでね。出来ればすぐにでも蜂の巣にしてやりたいところさ。   だけどこの『サイボーグ2000』はさっき見たように滅法強いが融通はきかなくてね。奴の兵隊はいくらでもなぎ倒せるがセキュリティシステムに対応出来ないんだ」 幼「分かったわ、それであなたの家に盗みに入ったこともある私の出番ってわけね」 俺「やってくれるのかい?」 幼「彼女をサポートすれば良いんでしょ?」 俺「こいつは話が早いぜ!」  ◇ 俺「むにゃむにゃ……」 幼「起きる時間だよ」 ゆさゆさ。 俺「んん……夢かあ……」 幼「夢見てたの?」 俺「もう少しでお前と娘の敵討ちが出来たのに」 幼「私死んでるのかよ!」 俺「天才科学者の俺は、当時のライバルにはめられ妻と娘を殺されたあげく罪をなすりつけられ社会的信用も失った。   復讐を糧に娘の体と『サイボーグ1000』をベースに最高傑作『サイボーグ2000』を作り出す。   いよいよ復讐の計画を立て始める。そんなある日に亡くなった嫁、つまりお前そっくりな泥棒を捕まえる」 幼「私泥棒!?」 俺「一人二役だわな。   そんでまあ、警察に突き出さない代わりにデートしてくれと誘うのだが『あなた、噂通り頭がイカれてるのね』って言われちゃうんだ」 幼「あはは」 俺「しかし、徐々に引かれあう二人。ある晩ついに結ばれる」 幼「展開早いな」 俺「そして復讐のターゲットへの恨みが彼女にもあることを知り、計画のことをバラすんだ」 幼「私も恨みあったんだ。何の恨み?」 俺「今は言えないけど奴を倒してから教えるってさ」 幼「それ死亡フラグじゃね?   そんでどうしたの?」 俺「その辺りでお前に起こされた」 幼「えー」 俺「えー、って言われても」 幼「気になる」 俺「どうせお前が敵と相討ちだべ」 幼「なんでよ!」  ◇ 俺「最期に『あなたのこと……わりと好きだったわ……』とか言いながら死ぬ役だろ、復讐物のヒロインは」 幼「お前はそんなに私を殺したいのか!」 俺「夢に自分が出なきゃ文句、自分がヒロインじゃなきゃ文句、自分がヒロインでも文句。お前絶対文句言うよな」 幼「だって私の役って変なのばっかじゃん」 俺「夢なんだから仕方ないだろ。妻とヒロインの二役なんだから今までで一番だし」 幼「でも片方死んでるじゃん。お前が私をかばって死ねば良いんだよ」 俺「主人公は死んじゃダメだろ」 幼「別に誰かに見せるわけじゃないんだから良いでしょうが」 俺「俺の夢なんだから俺だけ良い役で俺だけ助かれば良いんだ」 幼「ひっどー!」 俺「お前は村人Aでもやってろ」 幼「なにそれ」 俺「武器屋の前で『武器や防具は買うだけじゃなく装備しなくちゃダメだぜ』って言う人」 幼「せめて女の役にしてよ!」 こうして、貴重な朝の時間が無駄話で終わるのだった。

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