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「そうだ。俺は未来の堀崎睦月だ」
なんで俺が未来の俺だと確信したかって?
「なら―どうする?」
それは簡単。It`s so easy.
「ここで―殺すか?」
俺は過去に一度も未来に旅行なんてしたことがないし、
「新世界の神となる!」
とりあえず、音咲に黙らせろと命じる。
音咲はすぐさま俺(未来)をどっかに強制送還する。続けるぞ?
それに、俺(未来)を発見した時になんかが頭に流れ込んできた。これが俗に言う、『わかってしまうのですからしょうがないんですよ』か。
しばらく部室が静まり返り、誰かが外からノックをしたことで静寂が去った。誰がノックをしたかは予想してくれ。
「さっきは悪い。アレは既定事項だったんだ」
既定事項ってなんだ?新手の言い訳か?
「今から色々説明してやるから茶々はそれから入れてくれ」
俺(くどいようだが未来)は真剣な表情になる。さっきのアホな雰囲気が嘘のようだ。…自分のことをアホって言ったようなもんか。
「ここにいる、七恵と俺に関わる話だ。お前らは十字架の能力をどこまで把握している?」
…念じた事を反映する、武器になるとか。それくらいか?
七恵も俺と同じように答えた。それ以外に何があるんだ?
「俺だってまだ把握しきれてないが、それに加えて時間遡航もできるんだ」
「…えーっと、時間遡航ってなに?」
七恵が俺(未来)に聞く。俺だってわからない。
「時間を溯ったり未来に行ったりできる能力だ」
上の字を適当に拾ってできた熟語ってことか。
「そんなところだ。一応、その能力は簡単に使える。例えば…」
言いかけて俺は考えるポーズをとる。考えてから言ってくれ。
「頭の中に『今日の午後3時に行きたい』そう考える。そうすると移動できるんだ。簡単だろ?」
…OK。簡潔な説明ありがとう。用件を伝え終わったなら帰ってくれないか?
「伝えるだけじゃ終われないんだよ。俺はこれから一週間お前に修行をしてやらなくちゃいけないんだ」
修行?時代錯誤もいいとこだな。そんなに俺が愛しいか?
「もちろん。情けは人のためならず。他ならぬ自分のピンチだ。それに俺がそうしないとお前は多分殺されるだろうからな」
…拒否権は?
「ないぜ?俺も与えられなかった事を与えるはずがないだろう」
俺は助け舟を求めて音咲を見る。音咲が視線を返してくる。『僕ではどうしようもありません。頑張ってきてください』
音咲は諦めて楓さんを見る。結果は同上。
二人は諦めて七恵を見る。『頑張ってきてね!』
…アイコンタクトでここまで正確な会話ができるとはな…。資格が取れそうな勢いだ。
「言い忘れたが、七恵も同じように修行を受けてもらうからな?」
七恵は塩をかけられたほうれん草のように崩れ落ちた。やっぱ修行なんてやだよなあ……。


それから程なくして、音咲が手配した修行場についた。もちろん、交通機関の類も音咲の手配だ。また、修行期間中の食事に関しては楓さんが用意した軍用携帯食だった。
色々言わせてもらうが、俺は今までに『魔法かなんかの力を使って怪物を倒すヒーローになりたい』って思った事はあった!確かにあった!けどそれは年端も行かぬ男の子の時の事だ!それにな!俺はヒーローになって世界を守りたいとは思えてもな、世界平和のために平和維持軍に入隊できるようなやつじゃないんだよ!
「…そろそろ諦めてくれ。気休めでしかないが、とりあえず死ぬような訓練はないからさ」
ホントに気休めだよな。
「とりあえず、修行は明日からにしてやるから、今日を精一杯楽しんでくれ」
そういうと、俺(未来)はどこかに消えた。ああ…神様…俺、悪いことしたか?
…そういえば俺…今すごい状況じゃん…。互いにそっくりさんが3人もいるんだよな…。ギネス…無理か…。
「睦月?大丈夫?」
なにがだ?
「さっきから考え事してたから、悩みでもあるのかなって」
…今の状況が悩みの種だな。
説明や描写が遅れたが、ここの情景を話そう。
この修行場は、元々レジャー用地だったのか、見晴らしはかなりいい。現に、ここは山頂でもないのに山下に見える街が2割り増しくらいで綺麗に見える。因みに、ここは音咲家所有の山だそうで、かなり自然が豊富だ。それにもかかわらず、ここは東京である。俺も一度しか聞いたことがないが、西東京にはこんな場所が幾つもあると聞いた。恐らく、社会の地理でのことだろう。
ここからは俺の勝手な予想だが、多分俺はここで偽者と戦う事になると思う。20日の日にわざわざ街に戻って行くこともなければ、わざわざ人を危険にさらす必要もないからだ。危険にさらす必要があるのなら俺に言ってくれ。そんな必要の存在を消してやる。
くだらん情景描写を終えた俺は歩き出す。どこへと聞かれても答えることはできない。俺は地図すら持っていないのだから。…持っていても答えないだろうがな。
先ほどから追加説明が多いのはご愛嬌という事で勘弁してくれ。
因みに言っておく。東東京(ひがしとうきょう)から西東京の山につくまでにどれほどの時間がかかると思う?そして言うと、俺と七恵がここに向かったのが午後4時の事だ。よって今は真っ暗。今や俺を照らしているのは月明かりだけなのだ。
ここまで説明したらお分かりだろう?
俺は今、七恵と夜の散歩と興じているのさ。どことも知れぬ、寝床を探してな。
この年頃の男子としては、今の状況は『一度はこんなシチュエーションになりたい』のトップテンには入るであろうこの状況。相手がいくら七恵でも、一応七恵はルックスはかなりいい。つまりは美少女なのだ。悲しきかな男の性。俺は不覚にも今の状況を満喫していた。
まあ、七恵がこんな夜中に一人で山を歩けるようなやつじゃない事はわかってたがな。
…そういえば。俺ってもしかしたらどことも知れない山の中で死ぬ事になるかもしれないのか?
…勘弁してくれ。
「東京にもこんな所ってあったんだね…」
七恵が感慨深そうに言う。なぜだろう?かぁいいものや可愛いものや綺麗なものを見ている女なるものは、客観的に綺麗になっているという。どうやら七恵は女なるものだったらしい。
「ここは東京でも開発が進んでないからな…。無駄に開発するよりは全然マシだ」
社会の入江の言葉を代弁する。…そういえば入江はメイド萌えだったな…。メイドインヘブンとか言って暴走してたりしたな…。2回くらいメイド服着せて校長に呼び出し食らってたけど…。
「あれって何座?」
七恵が指差す方向を見る。指差す方向にあるのは満天の星空。いったいどれを指しているか見等もつかない。
「どれだ?北斗七星は見えるから…どの辺にある?」
「北斗七星?」
ああ…説明しなきゃいけないかな…。
適当に説明を終えると、七恵が言っていた星の形がわかるようになってきた。
…色々結んでみたが、恐らく創作による星座だろう。
「そうなの?う~ん…じゃあ名前付けよ?」
例えば?
「長門…かな?」
いや、確かにでかい砲塔のような形をしてるがな?そりゃないと思うぞ?
「じゃあ…ヤマ「それもダメだ」
色々版権に関わりそうなので止める。別にそんな事になっても謝れば済むが…面倒だろう。
「そうだ!」
七恵が叫ぶ。今に始まった事ではないが、常識人なら驚くだろう。
「睦月「それはお前が言っていいことじゃない」
危うく変な方向に話が逸れそうになったところを俺が止める。いつものことだ。
「決めた!」
こういうときの七恵は真剣に言う。真剣って言うのは語弊があるが、一応変なことは言わない。
「十字架座!」
…似てなくもないが…まあ…いいだろ。
「それでいいかもな」
一応返事をする。その十字架座の中心の星は、シリウスだった。違うかもしれないが、それは俺が小さい時に親父と見たそれとまったく同じだった。
俺達は甘かった。野宿も修行の一環である事を察していなかった。
幸い、寝袋が一つ落ちていた。多分、俺(未来)からのプレゼントだろう。
どちらが寝袋を使うかで論争をしたが、途中から七恵が『二人で寝ればいいんだ!』とか言いやがったから俺が気絶させた。そして強制的にIN寝袋。完璧。明日の朝が怖いが。


クォーターが投げられ宙を舞う。回転はしていない。恐らく、手にとって地面に着けた方が勝ちだろう。
俺は姿勢を低くし、一気にコインに近づく。先手必勝だ。だが、後の先を取られることは愚鈍の極み。俺は油断しない。
予想通り、偽者は後の先を討とうとしている。予想できればどんな攻撃でも対処できるんだよ。つい最近までできなかったけどな。今までの訓練も役に立ったってことだ。
俺はコインに手を伸ばしながら拳を構える。漢と漢の勝負はいつもこれで…。
俺は十字架を小太刀に変えた。そして左手をコインに伸ばす。
完全に予想外な事が起きた。

「おい起きろ。朝だぞ。8時だぞ」
…俺(未来)か。わざわざ起こしに来てくれるなんて律儀なこった。
俺は体を起こそうとする。が、体は上手く動かない。
なぜ―
なぜ俺は寝袋に入ってる?
なぜ七恵が同じ寝袋にいる?
「お前は…少し考えてみろ。ちょっとやそっと気絶させただけで、朝まで起きないと思ってるのか?」
…ごもっとも。
俺は寝袋のチャックを探す。いち早く出たい。別に七恵がいやだってわけじゃないんだ。誰だってこんな状況なら開放されたいと願うさ。そうだな。鳥籠に飼われてるインコ並には出たくなるさ。
…これは七恵の計算だろうか?
なぜチャックが七恵の体の下に埋まってる?
よし、ここで出る選択肢は一つだ。
1 起こさずにそのままチャックを開けようとする
2 起こして安全にチャックを開ける
…おい。
「いや、すまん。ちょっとした出来心だ」
それで犯罪人が許されるとでも?
「まだ俺は前科を持ってないぜ?」
「七恵ー!未来の俺がお前に変なことをしようとしてるぞ!」
さあ、起きるか!?
案の定七恵は飛び起きた。そこまではよかった。
俺と七恵は今どんな状況だ?
寝袋に入って身動きがままならないんだ。
飛び上がったってことは…
つまりは地面との激突を受身が取れない状態で迎えるってことだ。
ガンッ
そんな音が聞こえたと思ったら、俺は意識が遠のいていた…否、ブラックアウトした。
「さっさと起きてくれないか?修行の時間が減るってことはお前の生存率が―」
「わかったから!ふざけないで修行受けるから!」
もう、自暴自棄だ。
七恵の作った朝食を手早く食べ、俺達は昨日来た見晴らしのいい所(正式名称は吾閲嶽というらしい)に連れて行かれた。…七恵の作ったものを食べるのは久しぶりだったと思う。
「君たちにはとりあえず、殺し合いをしてもらう」
よしわかった。帰るぞ七恵。こんな馬鹿放置しておこう。
「言い方が悪かったな。お前らには試合をしてもらう」
試合か。と安堵している俺に『本気で』と後付したのは嫌がらせだとしか思えない。
「ルールはここから出たら負け。そのほかは…倫理的にダメだと思う事はやめておけ」
なあ、お前は何もやらないのか?そう言った俺に返答が帰ってくる。『審判兼コーチ』
「始めろ!」
あまり聞かない掛け声と共に俺と七恵は武器を構える。この状況をすんなり受け入れている俺はなんだろうね?嫌なら抗議でも何でもしてやれるのにさ。やっぱり体を動かすのは楽しいからか?
俺は十字架を弓に変える。七恵との距離は大分広い。弓がベストだろう。
俺が弦を引こうとしたとき、七恵が動いた。
七恵はどっかの中国拳法の武術の構えのような姿勢をとっている。いったいなにが来るんだ?かめはめ波か?
俺は気にせずに矢を放つ。俺は油断していたと思う。
弓が七恵に当たるか否かのところで弓が消える。七恵は構えを解いていない。
なにが起こった?
とりあえず―
いつの間にか―俺の体は宙に浮いていた。宙に舞っている間、七恵を一瞬だけ見たが、そりゃもう怖い笑みを浮かべていた。
俺は悟った。怖いってのと恐怖は格が違うってことを。
地面に受身無しで激突した俺を俺(未来)が診る。体自体には外傷はないとのこと。
なあ…お前もこんな目にあったのか…?
「それは教えられないんだ。予備知識を持っていると正確に踊る事は出来なくなるんだ」
そりゃ悪いことを聞いたな。
その後サンドバックになったのはまた別の話だが。


タイムリミットまで11日
七恵のサンドバックになる事数日。ようやくその正体がつかめてきた。どうやら、七恵の攻撃は俗にレナパンと呼ばれるもので、別にそれらしい構えをしていなくても撃てること。そして射程が10mほどもあること。科学的な説明は恐らく無理だろう。SNNなんて持ってる俺が、吹っ飛んでる時に何発食らったかわかる程度にしか正体はつかめてないんだ。スピードチェッカーなんかやったら音速を超えてるかもしれない。それがわかったら俺は諦めると思う。
…そういえば、この試合の主旨が違う気がする…。

タイムリミットまで10日
昨日一日も無事にサンドバックになった俺。体の方は全然無事ではないが、やっと軌道が見えるようになった。多分、数日間のサンドバックとしての経験か、それとも俺の才能か、前者だと思うがそのおかげで数発なら避けられるようになった。また、一回の攻撃で何発飛んで来ているかもわかるようになった。答えは198回。OK無理だ、帰ろう。

タイムリミットまで8日
ようやくレナパンを見切ることに成功した。今なら5連発でレナパンをされても避けきる自身がある。それにレナパンを防ぐ方法も見つけた。答えは簡単。一回でも手を掴めばいいだけだ。