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さて、相手はポチョムキン。
開幕はバックステップが安定だけど…。

Let's Lock!!

『メガフィスト!!』
……相手の出したカードは前方メガフィスト。
「おや……」
後ろの人も少し驚いたみたい。

『プス…』

小さな音と共に、ポチョムキンの身体に髪が突き刺さる。
「おぉっとぉ、メガフィストを空中投げで返したぁ!!
読んでいたんでしょうかぁ!?」
(開幕ヒートか前ジャンプ空投げでもされない限り、ミリアのダッシュジャンプは落とせないんだよね。
大会で開幕ヒートをやる人なんてまずいないし、いきなり前にジャンプする人も少ないし…)
それを言ったら『開幕ダッシュジャンプするミリア』も少ないんだけれど。

ミリアがポチョムキンを踏み台に、宙を舞う。
ポチョムキンはと言えば、画面端近くまで吹き飛ばされていた。

(空中投げ成功。これで距離は取った。
あとはどうやってダメージを取っていくか……)

その時、後ろから声が。

「地上牽制が届かない距離を歩いて。
あぁ、遠過ぎてもダメ。スライドヘッドを打たせない位置にいて」

……ミリアでポチョ相手に地上戦を仕掛けろと…?

とりあえず、距離を取りながら聞く。
「あのぉ…」
「何か?」
「そろそろお名前を…」
作者が『優しそうなお兄さん』と書くのを面倒臭がってるんです、というのは心の中だけで呟いておく。
「まだ言ってなかったっけ?」
「はい」
あんだけ妹ネタに食いついておいて自分の名前に関しては随分と軽い反応なんですね、というのも心の中で。
「とりあえず、レンって呼んで欲しいな」
「えーと、レンさん…?」
とりあえずって何なんですか私のリングネームには散々口を挟んで来たのに自分の名前はとりあえずって意味分かんないですポチョ相手に地上戦とかどうすればいいんですかサイレントフォースなしで勝つってことですか、と心の中で呟いたら脳が大量に酸素を消費し、手元が狂った。
「あ、スライドヘッド」
うぁ、こけた。
ハンマフォールブレーキで接近して来る。あー、ゲージ溜まるなぁ…。
「ここは…」
まだ距離はある。
サイレントフォースから攻めれば何とかなる…はず。
「今、毛針打つこと考えた?」
「えぇと…はい」
「相手をよく見て」
ポチョムキンがのっしのっしと前進しては、のっしのっしと後退してる。
「…これが何か?」
「見ての通り」
「意味が分からないんですけど…」
そうこうしている内に、距離を詰められる。
とりあえず…飛んで逃げよう。
「だからダメだって!」
飛んだ先にポチョムキン。
……ポチョムキン…?
「相手は様子見してたんだから、迂闊に動いたら掴まるよ」
『ッォォオオオ!!』
投げられた。
「じゃあどうすれば…」
「落ち着いて対処して」
リバサ前転で端から逃れようとする。
「「あ」」
二人の声が重なる。
『ポチョムキィィン、バスタァァアアア!!』
「………」
ミリアの体力、残り5割。

逃げられない…。
飛べば空投げ、潜ればポチョバス、待てば接近戦。
これほどまでに辛い戦闘は初めてだ。
(…やっぱりプレイヤー性能の差が……)
少し悲観し始めた時、
「落ち着いて。相手の動きをよく見て」
画面を見つめ直す。
ポチョバス>2HS>ヒートナックル>ヒートエクステンド(RC)>複合ハンマフォールブレーキ>ヒートナックル>ヒートエクステンド
……残り体力、2割程度。
「ここで諦めちゃダメだ。次があるさ、なんて思ったら精神的に負けてる証拠」
…確かにそうかもしれない。
ちょっと気持ちが緩んじゃったかな…。

諦めない。最後まで。

「おぉっとぉ、ミリアが走り出したぞ!?どうしたんだ、『妹萌え』!?」
「その呼び方やめてください!!」
…しまった、つい突っ込んでしまった!
いけない、注意がそれt
『ポチョムキィィン、バスタァァアアア!!!』

……orz

その時、
「やっべwバクステ使わないで倒しちまったよw」
「志貴さーん、厨性能バクステまだー?w」
「相手が弱すぎて使うまでもありませーんw」
「一回くらい『使ってやれ』よw」
…これが口プレイというものか。

使ってやれ、ですって?

瞳孔が少しだけ、広がる。
より多くの光を……グラフィックを入手し、多くの情報を取り入れるため。
「ねぇ、レンさん」
「?」
「勝ちに行っていい?」
「それは構わないけど……一つ、聞いていい?」
「どうかしました?」
「……目、見えてる…?」
「………」

レンの立っている位置は、30度ほど右にズレた場所。

「見えてないんだね…?」
「…だから?」
「…失明するかも知れない」
「…だから、何?」


Dual 2…Let's lock

あぁ、眩しい。
鬱陶しいくらいに眩しい。
ポチョムキンは……あぁ、ちょっと見にくいけど…ちゃんと形は見える。
開幕は……見えた。
この光の量なら『ドット単位で』動くポチョムキンの影が見える。

「おぉっとぉ、開幕から低空ダッシュだぁ!?
それに対してポチョムキンはスライドヘッド!!
バクステを読んだこの技も読まれていたのかッ!?」
低空ダッシュJSから着地、屈HSに繋いで低空ダッシュループ。
ゲージを使ってタンデムをFRCし、起き攻めを仕掛ける。
ポチョムキンが立ち上がる。
影の大きさからして、しゃがみガード。
「あぁ、得意のバクステはしないのね」
思いっきりダッシュ。
タンデムの影はまだ薄い。
「補正のかからない下段の屈Sをガード出来れば十分ってわけね。
前Kは見える人には見えるレベルの中段だし、低空バッドはポチョにしてみれば安くて済むしね?」
全く持って不愉快だ。
ミリアの起き攻めは一点読みで躱すのが定石なのに、こうやって安定策を取って来る奴。
どうせバーストで切り返せるとか思ってるんでしょう?
「…甘く見ないで」
ダッシュジャンプして、昇りJK>高速落下。
「これは…インビジブルだぁ!?」

インビジブルが、決まった。
高速落下で着地し、拾って屈HSまで繋げる。
だが、繋げただけだ。ミリアは飛ばない。
「おぉっと、どうした『妹萌え』!?HJCからエリアルに行かないのか!?」
「…なるほど」
レンさんには分かったようだ。飛ばない理由が。
「バースト警戒エリアル、ってことだね」
「そう。恐らく、インビジブルで崩されたことに焦ってバーストによる早めの切り返しを狙ってくる。
ここで迂闊に攻める訳にはいかないの…」
相手が受け身をするより早く、立Pが当たる。
そのままHJCからエリアルを決め、起き攻めに移行。
タンデムをFRCして、筐体に映る黒い影を見る。
空中に浮かんだ。
「……バレバレ」
ダウンバースト。
このままじゃタンデムがダウン追い討ちになって、逃げられてしまう。
仕方ない…安いけど我慢しようか。

プスゥ…。

「投げたぁ!?タンデムに合わせたダウンバーストを見てから投げた!!
確かにタンデムを確認してからのバーストだったから、重ならなかったかも知れないが……一体どんな反応なんだ『妹萌え』!?」

困った、ゲージがなくなった。
まぁいいか。
この距離と状況なら…いける。
「おっと、ここでガーデン起き攻めに移行します『妹萌え』!!
先ほどから一方的にやられっぱなしだぞ『ぴろ志貴』!?」

ガッガッガッガッガッガッ!!

6回分の入力音。


ちょっと離れた所。
「おい、伸慈」
「どうした?」
「お前とやった時のガーデンの入力回数って…」
「勇介、20分ちょい前のことも覚えてないのか?」
伸慈が、優等生っぽい人……『勇介』に言う。
「いや全く凄かったねぇ。1回1回の入力に読み合いが込められてるんだぜ。それを4回も…」
伸慈が自慢のように騙る。
「そうだ、4回だ」
「……あれ、4回…?」
「今のガーデン、何回聞こえた?」
「……6回だったような…」
勇介がゆっくりと頷く。
「もし仮にあの子の全力が4回の入力じゃなく、6回だとしてだ。
伸慈、お前はそれを全部読み切れるか?」


「無理」

ミリアとポチョムキンの距離、画面半分。
(そろそろ仕留めましょうか…)
ポチョムキンの体力は残り3割くらい。
こちらは1ドットも減っていない。
ゲージはというと、ポチョ5割(低空ダッシュループ、バースト警戒エリアルで殴りすぎた)、ミリアは1割もない。
「あれしかないわ…」
一撃必殺準備。
この状況で一撃必殺しかないというのはどうかと思う、が気にしないでおく。
ガーデンは366666の単純な入力。
「おぉ、一撃必殺準備だ!!
そして……ガーデンに向かって走り出したぁ!!ガーデンに重なったぁ!!
ガーデンを盾にするその姿は、まさに、まさにゲッ〇ーロボのシャイ〇スパーク!!」

その瞬間だけ、店内のBGMに『ゲッターロボのテーマ』のイントロ部分が混ざって聞こえた……気がした。

「頑張るんだ、ゲッター!!みんながお前の味方だ!!」
「誰がゲッターだってのよ!!」
「安心するんだ。その技を使えば志貴の一人や二人、楽に殺れる」
「レンさんまでッ!?」
てか6入力って技なの!?
あぁもう、意味分かんなくなってきた。
そろそろ目にも限界が来るし、早めに片付けないと…。
「行けぇ、ゲッター!!」
……この司会、盛り上がり過ぎじゃないかなぁ。

「シャイィィイン、スパァァアアクッ!!!」・

ダッシュ。
お願いだ、私が倒れる前に。
(……指が…)
動かなくなってきた。
視神経から伝わる疲労が、冷や汗と共に表われる。
……何か聞こえた?
「…変わっても良いですか?」
これ、レンさんの声だ。
「は…?」
こっちは…司会者の人?
「彼女は過労で、まともに動かせる状態ではありません」
「それで…?」
「選手交代、という形を取りたいのですが」
「…具体的には、どのような形を?」
「お考え頂けるのなら、そちらの条件で構いませんよ。
とりあえず彼女をこのままにしておくのは危険ですから」
「……まぁ、お前がそう言うなら。ハンデ付きで良いのか?」
「ありがとう。恩に着るよ」
…二人は知り合いなのかな。
「休んでて」
言われるがまま、光量を調整する。
背中に暖かみを感じる。
頬にかかる吐息も…。

吐息…?

「何が、どうなっ、あの、えぇっ!?」
(近い、近いよぉ!!)
口をぱくぱくさせる。
「…顔赤いよ?大丈夫」
(こ、こここ、これって他人から見たら抱き締められてるようにしか、み、見え、見えないんじゃ!?!?)
「……あ、落ちちゃった」
「ぉ、落ちたって何がですか!?」
画面を見ると……ミリアがポチョに低空ダッシュループを決める所。
拾い直しに成功して、高さを調整しながら再度ループ。
「えっと、落ちてませんよ?」
「違う違う。落ちたのはこっち」
レンさんの手元を見ると、レバーの先に本来あるはずの物がない。
「ボールは…?」
「うん、落ちた」
微笑みながら返すレンさん。
「わ、私、拾って来ます!!」
「ごめん、頼めるかな?」
「はい!!」
よし、何とか切り抜けた!!


レンの視点。
「ここでこうして、っと…」
低空ダッシュループからの拾い直しを成功させ、HJエリアルに移行。
JP>JK
を繰り返し、ヒット数のせいで浮かないポチョを無理やり浮かせる。
「おっと…」
JK後に受け身を取られてしまった。
「やっぱりやり過ぎましたかねぇ?」
まぁ、全部読んでましたよ。
その為の仕込みでもありますからね。
一撃必殺準備状態なのでFD仕込みは出来ませんが、この軌道なら難なく投げられます。

SLASH!!

「…やっぱり鈍ってるなぁ」
もう少し、腕ならしに付き合って貰いますよ?ぴろ志貴さん。

「えっと…多分この辺りに…」
飛んで行ったボールを探して、見当を付けながら歩き回る。
「…あった!!」
足下に転がるボール発見。
後は帰って、レンさんに…。

ふいに、先ほどのシーンが蘇る。

「ダメだ、考えちゃ…」
あったばかりの人にドキッとしたことなんて、正直ない。
昔から人見知りが激しくて、時々感情がコントロール出来なくなるのに。
(違う、そうじゃなくて…)
人見知りとか、そういうのは関係ない…。

この感覚は、何?


「おっと…」
ミリアが青バーストで吹っ飛ぶ。
「確定ポイントでもないのに…私としたことが」
いけませんね、これでは。
パートナーには『休んでて』などと言ったのに、こんな失態をするとは…。
「あれ!?先輩!?!?」
…どこかで聞いた声ですねぇ。はて?
「先輩、こっちこっち!!」
ん……あぁ、あれは…。
「伸慈君と勇介君ですか」
やはり参加していたんですねぇ。
「先輩、さっきの子は!?」
「あぁ、実はこの通りで」
「うげっ!?ボールなしでプレイしてる!?」
「そういうわけで、探しに行ってもらってるんですよ」
流石にボールなしは大きなハンデです、と手をヒラヒラとさせるレン。
「先輩、レバー…」
「…あ」

『ポチョムキィィイン、バスタァァアアアッ!!!!』

……orz・

「えーっと…」
結局、そこから私の出番はなかった。
きちんと構成された立ち回りの前に、バクステ厨のポチョが勝てるはずもない。
「あれ、回らないなぁ?」
……この人、何なんだろう?
一般人にしては『強すぎる』んじゃないだろうか?
ボールなしでコイチキックとかやってたし…。
「お、回った…」

とにかく、次で分かるはず。

「さて、『レン』さんのソルと、『塩田』さんのソル!!
同キャラ戦は今回初めてですねぇ」
あれ、ソル使いなんだ。
ちょっと意外だなぁ。
「先輩ー!!」
ってこの声は…。
「伸慈さん?」
「覚えててくれてるたぁ、嬉しいねっ!!」
「待て、俺もいるぞ?」
…………。
「…えっと、優等生っぽい人」
「……勇介だ」
どこか、ぎこちないやり取り。
と、珍しく空気を察したのか、伸慈が話を変える。
「ところで先輩、ソル使えるんですか??」
それに対して、レンさんはにっこりと微笑んで、
「いいえ」

何やってんだコイツー!?

ニコニコしながら台に貼られてる技表を指差して、
「伸慈君、この『ふぁふにーる』という技はどういう技ですか?」
「はい?…えぇと……勇介、知ってるか?」
「は…?ワンステップ踏んで、正拳突きで殴る技ですよ、先輩」
「そんな技ありましたか?」
「さぁ…?」
「まぁ、使ってみれば分かるでしょう」

大丈夫なんだろうか…??

「えぇと…勇介さん」
「ん?どうかした?」
「大丈夫なんですか…?」
「先輩の事なら、多分大丈夫だよ」


Let's Rock!!