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都内のとあるゲームセンターでのこと。

「遅い…」

画面内で前転するミリア。
そのミリアが一瞬前までいた場所に、今は爆炎を伴ったスレイヤーが立っていた。
アンダートゥ…ガード不能の打撃が襲いかかるより早く、ミリアはスレイヤーの後ろに回り込んだのである。
「ごめんなさい…」
ミリアが髪で、相手の体を貫く。
ダッシュから拾い上げ、締めに
サイレントフォース>前HS
で叩き落とす。
だが、まだまだ相手の体力は残っている。
あと2割といったところか。
ダウンを奪うことに成功したミリアが取った行動は、前HSをキャンセルしてのシークレットガーデンだった。
無敵バクステのあるスレイヤーに取っては、距離の開いた状態のガーデンはかなり逃げやすい状況だ。
逃げてからの仕切り直しも望める。
だが、迂闊な行動は出来ない。
もし相手がバクステ読みで入力していれば…。
無敵付加という行動自体も読まれていることになる。
ミリアの目の前で踊り続けることになる。
それだけは絶対に避けたい。
結果、スレイヤーが選んだのはしゃがみガードの様子見。

(そう……それが狙い)

ミリア側のプレイヤーが少しだけ笑う。
最初に入力したのは…「6」。
つまり、スレイヤーの頭の上を通り過ぎるだけ。

(一つ目の入力はフェイク…)

スレイヤーに向かって、ミリアが走る。
狙いに気付いたスレイヤーが取るのは、もちろん投げを読んでのバクステ。
そしてそこから無敵マッパ。
だがミリアは投げに仕込んでいたのか、FDを一瞬だけ見せてしっかりガードする。

(成功…。次は…)

ガーデンの2段目の入力が実行される。
2段目は…「1」。
スレイヤーの遥か後方にあったガーデンが、引き寄せられる。
これにより、ミリアとガーデンに挟まれた形になった。

(挟み撃ち成功……逃がさない…!!)

先に動き出したのは…もちろんミリア。
硬直の残るスレイヤーに遠Sを当てる。
だが、次の手が届かない。
ミリアのガトリングは、遠いとダウンまで繋がらないことがある。
Sタンデムがあるが、ガーデン中にタンデムは出せない。

(……でもガーデンは裏切らない)

そう、ガーデン。

3個目の入力は「4」。
ガーデンが、繋いだ。
さらに遠Sをキャンセルして前転。これで距離が縮まる。

(仕上げ……!!)

最後の入力…それは、意外にも「4」。
ガーデンはヒットせず、ミリアの後ろに移動して消えた。

スレイヤーの残り体力、1割もない。
二人の距離、至近距離。
スレイヤーの行動は…サイクバースト。

(ガーデンの操作ミスを見て、最後の切り返しポイントだと思ったわけね……。
こっちが『わざと』入力したとも知らずに…)

ミリアがバーストを直ガし、ダッシュから着地硬直に投げを決めた。

死なない。
ちょっと残ってる。

「しぶとい…」
しまった、つい口が…。
まぁ、追撃を決めれば勝てるから良いか。
適当にSタンデムなんかで良いかな。

まだ死なない。
ダウン追い討ちになって、コンマで残ってる。

「なんなの、こいつ…!!」
まっ、また口が…(汗
とにかく、峰打ちのままじゃ終われない。

走る。

(…勝負は一瞬。
読み間違えたら、死ぬ。
…それでも私は)

あと少し、届け!!
相手は、予想通りのFD様子見。
地上戦を仕掛ければ、待ちから決定打を狙う。
それが、流れから掴んだ相手の特徴。

(…絶対に)

これで最後!!
行け、ラストシェイカー!!

(恐れない…っ!!)

……を、1段目でRCしてダッシュ投げ。

セコい。
先のガーデンを使った大胆な読み合いを、微塵も感じさせない勝利。


ミリアを使っていた少女――永井 怜子は、ゆっくり息を吐き出した。

(対策とか無視した立ち回りだって言うのは分かってるけど……)

もう一度、画面を見る。

(…こんなんでギル高に入れるのかな?)

新たな乱入者が、迫っていた。

「…君、スゴい戦い方するね」
ふと、後ろの方から声が。
振り向くと、いかにも頭の良さそうな青年が立っていた。
「…そうですか?」
「そうだね。
対策も何もあったもんじゃない…って感じ」
失礼な人だなぁ。
当たってるけどさ…。
「まぁ、それは置いといて」
なんだろ、この人?
「始まるよ?」
と、画面を指差す。

Heaven or Hell…

あ、しまった。
相手は……闇慈だ。
「僕の知り合いだよ。
たぶん、一筋縄じゃ行かないと思う」
その言葉に、私はちょっとムッとしながら…。

Let's Rock!!

レバーを握る。
まず始めはバックステップで距離を取る。
相手の行動は…前K…?
「あぁ、そうそう」
私は聞きながら、ショートダッシュからの低空ダッシュを入力する。
「その闇慈ね、ヤバいくらいガン攻めだから」
その言葉…もう少し早く聞きたかったな。
前Kの硬直が切れた瞬間、手を伸ばしながら空に舞い上がる闇慈。
「えーと……陰…?」
「面白いでしょ?」
全然、面白くない。
何というか、思ったより減った気がする。
追撃は入れてこない。
ただし、疾も撃たない。
「ループする起き攻めってのが嫌いらしい。
ホント、変な奴だよ」
しばらくして、闇慈がダッシュしてくる。
起き上がりに、何をしてくるだろう?
「……考えるより動いた方がいいや…」
私は選んだ。
「へぇ……やっぱ君、スゴい戦い方するね」
闇慈のダッシュが止まる。
FDをかけている。
画面上にはリバーサルの文字が浮かぶ。
攻撃は出ない。
「……悪いかな…?」
私が選んだのは、HSタンデムだった。
闇慈が、こちらの意図に気付く。
「別に、悪くないよ。
これはこれで…って感じ」
闇慈がとっさに出したのは、遠S。
GPでタンデムを受け止めるつもりだ。
私は難なく攻撃を直ガして、空中の連続バックダッシュで距離を取ろうとする。
だが…闇慈が迫ってくる。
「…ハイジャンプしたのか」
あぁもう。
言われなくても見れば分かるよ。
ミリアの身体にJSが刺さる。
ガトリングはそのまま、JP>JS>JDと続く。
画面端まで飛ばされた。
相手は着地して……。
「変わった奴だろ?」
だから、見れば分かるよ。

敬意を払ってきた。

挑発なんて…いい度胸してるわね。
「…?どうかした?」
私は、少しだけ笑う。

「スイッチ入っちゃった♪」

ミリアが…一撃準備をする。
「えーと……ヤケにならない方が良いよ?」
ヤケなんかじゃない。
走る。いや、殺す。
ミリアの防御が低いのは周知の事実。
そして、一撃準備状態で攻めることは……自殺行為。
だが、今の怜子のミリアは「死ぬ」為に走っているのではない。
自分自身を「殺す」ために走っている。
死体を殺すことは出来ない。
なぜなら、既に死んでいるのだから。
「……逃がさないから」
死なない襲撃者ほど恐ろしいものはない。
「伸慈!!」
後ろの声が、叫ぶ。
恐らくそれが相手の名前なんだろう。
「えーと……死ぬなッ!!」
それ以外に何か言うことはなかったのかな?
まぁ、良いけどね。

闇慈は動かない。
ミリアが走り、「殺し」の距離に近付く。
相手の7歩手前でダッシュジャンプ。
ワンテンポ遅れて、相手もハイジャンプ。出して来たのはJKだ。
だが、遅い。
それよりも早く、ミリアが高速落下で闇慈の足の下を潜り抜ける。
着地後、すぐに闇慈を追う。
このチャンス……絶対、逃さないから!!
もうすぐ、もうすぐ、もうすぐ!!
闇慈に追いつく。
そして、斜め下をキープする。
空中での方向転換は、基本的に出来ない。
このまま行けば対空の的。
「伸慈、ダメだ!!」
闇慈のJDは…対空を躱すための、ローリスクな手段。
「……当たり」
空中で傘に手を掛ける直前。
暗転が入る。
ミリアが髪を降ろす。
傘を開く「ばさぁっ」という音が聞こえる。
闇慈に迫る、金色の髪。

5秒後、DESTROYの文字が画面に浮かんだ。

「いやぁ、お見事!してやられたぜ!」
台の向こうから闇慈使い……伸慈って呼ばれてたっけ?が歩いてくる。
と、後ろにいた優等生(…っぽい人)が歩み寄る。
「死ぬなって、聞こえなかったか?」
「悪ぃ、聞こえた!」
この人…元気良いなぁ。
優等生さんは画面を指差しながら、
「死んでるようだが」
「あぁ、見事だな…」
二人の視線が行き交う。
片方は怒りの混じった、もう片方は狼狽の混じった、引きつった笑みを浮かべている。
「あの」
恐る恐る、声を出してみる。
「まだ残ってますけど」
私としては続きをやりたいなぁ、と思うんだけど。
「そうだな。まだ1本目だ。
つーわけで伸慈、こっから3タテな?」
「はぁ!?」
「対策も立ててない『一般人』に負けるなんて、有り得ないだろ?」
「だからって…無理ゆーな!!」
「大丈夫、お前ならやれる!!」
伸慈さんの顔が変わる。
「…本気で、そう思ってるのか?」
それに対して優等生さんは、
「あぁ、負ける要素なんかない」
と、画面を指差す(もうDESTROYは消えているけど)。
「分かった」
伸慈さんが台の後ろに消えた。
「……変な人達だなぁ」
「…?何か言った?」
また私の後ろについた優等生さん。
「いえ、別に」
この人達、調子狂うなぁ…。
「まさか伸慈が『一般人』に負けるなんてなぁ…」
あー、うるさいなぁ。
悪かったですね、一般人で。
…あれ?
……いっぱんじん…??
「あの、つかぬことをお聞きしますが」
振り返って、席の後ろにいる優等生さんに聞く。
「…『一般人』ってどういう意味ですか?」
彼は「ん?あぁ、」と呟き、
「君、ギル高の生徒じゃないでしょ?
だから『一般人』ってこと」
え…?
ってことは…。
「もしかしてあなた達は……」
「ギル高生だけど?」


画面内でミリアがボコボコに殴られている。
反対側の台から
「負ける要素ねぇぇえええッ!!」
とかいう雄叫びが聞こえたのは、聞かなかったことにしよう。

ギル高の人なんですか…?
「あぁ。それはそうと…さっきの、もう一回見せてくれない?」
さっきの、って?
「あのガーデンだよ。読みで入力してるの?」
えぇと、ちょっと違います。
「…違う?」
なんとなく、入力してるだけですよ。
「…なんとなく?」
そんな顔しなくても…。

SLASH!

あ、忘れてた。
まんまと一本取られちゃったなぁ…。
まぁ、まだ1ラウンド残ってるけど。
「ほら、頑張って」
…この人、どっちの味方なんだろう?
「ガーデン、期待してるからさ」
えーと…。
自分の欲求の為に、友達を犠牲にするタイプなのかな。

まぁ、いいや。

ガーデンを見たいなら勝つ必要はないってことでしょ?
だったら、開幕からガーデン出してれば良いんだし。
えーと……入力は『464』で地上を意識させようかな。
相手の行動は…ハイジャンプJD!?
対空すかしからの攻めを狙ってたのね…。

カウンター、ゴスッ、ゴスッ、ゴスッ。

…可愛そうだけど攻撃しとこう。
最後にサイレント>前HSで締めることを忘れない。
そしてまたガーデン。
今度は適当に『3939』で良いや。
相手の起き上がりは…バックステップ!?
……さすがに当たらないよね…。

ゴスッ、ゴスッ。

…ダウン取らなきゃ。
ダッシュの途中、FDでサイレントを取る。
そして最後にサイレント>前HSで締めることを忘れない。
そこで更にガーデン。
とりあえず『1646』とかで良いかな…。
相手の行動は……リバーサルHS風神!?
だ、大丈夫。無敵時間が…。

カウンター、ゴスッ、ゴスッ、ゴスッ。

……追撃、どうしようかなぁ。
とりあえずサイレント拾っておこうかな。
あ、闇慈の食らいモーションが解けた。
とりあえずバックステップ、と。
闇慈もハイジャンプで距離を取った。
えーと、この距離ならガーデ……ってダメだってば!!
万が一ってことも有り得るし…。
とりあえずダッシュしよう。
「あれ、ガーデンは?」
うぅ…。
心のどこかが何かを叫んでいる…。
「……今は出したい気分じゃないんです…」
「ふーん……そっか」
あぁ、何とか誤魔化せた。

適当にガーデン出したら当たっちゃって。
その後も適当にやってただけなのに。

勝っちゃった…。

「ねぇ、君ギル高に来る気ない?」
あ…優等生さん、まだいたんだ。
って、ちょっと待った。
「…今、何と??」
「だから、ギル高に来ないかって」
「…もともと行く予定ですけど」
「あ、そうなの?」
その意外そうな顔は何だろう…妙にムカつく。
「一応、その予定です」
「編入試験は??」
「確か…夏休みの終わり頃に行う、って書いてありました」
「へぇ……これまでの実績は?」
………は?
「いゃそんな顔しなくても」
この顔はもともとですけど。
今は表情がアレなだけで。うん、きっとそうだ。
「…実績ですか?」
「ギル高も大会なんかの実績があると、評価が上がるんだよ」
…そうなんだ……。
「まさか、何もないの?」
「えっと…はい」
その時、第三の声が聞こえた。
「なら、今日作っちゃえば?」
伸慈さんがひょっこり姿を出す。
でも、実績を作るって……どうやって??
「あぁ、今日の2on2か」
……2on2…??
「…何ですか、それ?」
「2人でチームを組んで、戦うんだよ」
「そんなのがあるんですか」
「…って言うか、俺らはそれが目的で来たんだけどね。で、来てみたら…」
「偶然変わったミリア見っけて、こりゃあ乱入するしかないって思ってね」

変わったミリア…??

「ま、そういうわけで」
誰が変わってるのかは、後で聞かせて貰おう。
「私、組む人なんかいませんよ??」
「あぁ、大丈夫。確か斡旋もやってるから」
うーん、出るだけ出てみようかな。
「じゃあ、とりあえず斡旋所を探してきます」
「おぅ、行ってきな」

……と、言われて来たんだけど。
あそこが斡旋所かな…。
「すいません」
「斡旋の方ですか?」
思ったより丁寧な対応だなぁ…。
「はい」
「では、こちらにリングネームの記入をお願いします」
リングネームかぁ…。
……。

………。

………よし。これでいいや。
「はい」
「ありがとうございます。
相手の方はそちらの方になりますので、チーム名が決まったらお伝えください」
店員さんが、一人の男性を指し示す。
背が高くて、優しそうな感じの人だ。
「あのぉ……」
「…ん?斡旋の人?」
「はい」
「えーと……じゃあチーム名決めないとね」
「そうですね」
うん、良かった。変な人じゃなさそう。

「困ったなぁ…」
「困りましたねぇ…」
チーム名が浮かばないや。
かれこれ10分近く悩んでるんだけど。
…もうすぐ始まっちゃうのになぁ。
「……そうだ」
ぁ、何か思い付いたみたい。
「君、好きな言葉は?」
……え…??
「うーん…私を忘れないで、とか」
「僕の好きな言葉は『飛べない豚はただの豚だ』なんだ」
いきなり何を言い出すんだろう…??
「足して2で割ろう」
は…??
「チーム名は『飛べない豚を忘れないで』で行こう」
……うん、やっぱり変な人だ。

対戦表が張り出される。
(えっと、一回戦の相手は……ソルとポチョムキンか…)
何だか凄い組み合わせ…というか、精神的にプレッシャーのかかる相手だ。
「大丈夫、何とかなるさ」
優しそうなお兄さん(斡旋で組んだ人)が微笑む。
大丈夫なんだろうか…この人。

「それでは一回戦、第3試合を始めます。
『飛べない豚を忘れないで』

『肉肉しい俺達』
のプレイヤーは台に着いてください」
「僕らの番みたいだね。どっちが先に行く?」
うーん…先に行こうかな?
どうせどっちもヤな相手だし…。
「私が先に行きます」
「分かった、頑張ってね」
それだけ言うと、お兄さんは私の後ろに立った。

「では、『妹萌えって世の中に必要だと思う』さんのミリアと『ぴろ志貴』さんのポチョムキン戦を始めます。」

「………」
自分で付けたけど…今更ながら後悔するリングネームだなぁ。
あ、遠くで伸慈さんと優等生さんが笑ってる…。
今、指差された!?
ぃ、いちいちこっち見て笑うなっ!!
「……ぷっ…」
誰よ、今笑ったのは…?
「…ぶぷっ」
後ろ…??
まさか、チームメイトにまで笑われてる…!?( ̄□ ̄;)
ここは流石に黙ってられない。
「…えーと、何と言いますか…笑わないでくれます?」
背後に振り返って威圧する。
「えぇと、妹萌えさん…とお呼びして宜しいでしょうか?」
スルーしたよ、この人。
「いや、あの」
「それとも何か別な呼び方が…??」
「ですから」
「っと失礼。まず希望を聞くべきでしたね」
「聞いてます?」
「どんな呼び方が良いのでしょう?」
「……もう妹萌えで良いですよ!!」

…静かになる店内。

「それはまた、何故…?」
「私には優しい兄がいました。
その兄は私が小さい頃からよく面倒を見てくれて、欲しい物は何でも買ってくれました。
私の為ならどんな努力も惜しみませんでした。
ある時、私は聞きました。
『お兄ちゃんは、私にだけはすごい優しいんだね』
そしたらお兄ちゃんは、
『当たり前だろ、お前は俺にとって特別な、いや特別以上の存在なんだ』
と言いました。
はい、これで満足ですか!?」

「それは、実話ですか?」
「えぇ」
「何と言うか……」


「それは妹萌えではなく、ただのシスコンではないでしょうか」

………何だ、この人。

「シス…コン…?」
お兄ちゃんが、シスコン…?
「どうしたんですか?」
「そんなはずない!!
だって今年の春まで一緒の…」

会場の空気が一変する。

「一緒の…??」

みんなの視線が私に集まった…気がした。

「ベッドで…」

寝てたんだっけなぁ…。
懐かしいや。

「何だと…!?」

ちょ、ちょっと待って…!!
今誰かが
ハァハァ(;´д')
って言ったのが聞こえた気が…!?

と、優しそうなお兄さんが歩み出てきた。
「…先ほどは失礼しました」
「……??」
「そこらのシスコン程度では“そこまで”しませんね…。
あなたのお兄さんは正真正銘、妹萌えに命を捧げる漢ですよ…」
柔らかな微笑みを浮かべている。
……そういえば、さっきから何で敬語なんだろう?

まさか、暗に距離を取られてるっていうサイン…?

「…えぇと、始めてもよろしいでしょうか?」
店員の控え目な声。
あぁ、そうだ。
大会の途中だったっけ…。