星野仙一氏の人物像 (1)


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こんなことがあった。

星野先発の試合、3点リードで七回まできた。球威が落ち始めていた。
ピンチを招いてわたしがマウンドに向かうと、右のこぶしでグラブをバンバンたたき、いかにも元気いっぱいの様子。ところが「どうだ」と話すと「見てわかるでしょう。駄目ですよ。リリーフを用意してください」。

一体この態度と会話のズレは何なのか。引っ掛かりを覚えながらも、行けるところまでということにしてベンチに帰った。

八回またピンチになる。さすがにもう限界だ。
再びマウンドに行くと、そこでも彼はピンピンしている様子で、疲れなどおくびにも出さない。しかし話はもう次の投手のことだ。

「だから駄目だって言ったでしょう。ところで次は誰ですか」などと平気で交代を前提とした話をしてくる。「孝政(鈴木)だよ」というと「あいつ調子悪いですよ、大丈夫ですか」などと実に冷静だ。

とにかくマウンドを降りるのは本人も納得だと思い、監督に交代の合図を送った。私がマウンドで手を頭にやったら続投、後ろ手に組んだら交代、腕組みをしたら監督の判断に任せる、という取り決めだった。

交代となって、鈴木が出てくる。マウンドを降りていく星野。
ここで彼の態度が一変するのである。

憤然とベンチに向かったかと思うとグラブを地面にたたきつけた。納得の交代ではなかったのか。

おまけに鈴木が打たれて追いつかれたのがまずかった。無念を示した星野のパフォーマンスに興奮していたファンから、「なぜ星野を代えた」と野次の集中砲火を浴びて、こちらもほとんど火だるま状態になってしまった。

翌日星野を問い詰めた。「おい、昨日の態度は何だ。あれじゃまるで無理やり代えたみたいじゃないか」。

その答えがふるっていた。

「稲尾さんはまだ名古屋にきたばかりで知らんでしょうが、私は燃える男といわれとるんです。どんな状況でも弱気なところは見せられんのです」

稲尾和久著 「神様、仏様、稲尾様―私の履歴書」 より

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