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甥っ子と、おじさんと、おじさんの後輩と

「おじゃましまーす。叔父さん? いないの、……」
「あ、ちょ、こら、」

 叔父さんがソファに押し倒されていたので、とっさに持っていた酒瓶を振り上げました。

「おおっと危ないなァーあははは」
「ぎゃー!? 違うからタロちゃんこいつ暴漢とかじゃないから!」

   ***

「えー、僕の後輩の新藤です」
「しんちゃんって呼んでね☆」
「はあ……」

 白々しく先輩後輩の関係を装う二人に、俺はとりあえずしんちゃんが無事受け止めた日
本酒を差し出した。

「金貸した親戚だかに貰ったらしいんだけど、うち誰も飲めないから持ってけって」
「僕も飲めないよ。織賀家の下戸遺伝子をしっかり継いでるよ」
「園先輩はコップ一杯でふらっふらになっちゃってオレにむぐ」
「黙れ」

 何でこの人これで隠せてると思ってるんだろう。

「しんちゃんは飲めますよね?」
「飲める飲めるーお酒大好き」
「え、知り合いじゃないよね。何で知ってるの」

 俺は失策に気付いた。
 どうしよう、叔父さんが自ら明かすまでは生温かく見守ろうと家族会議で決定したのに。
 訪問した父さんがペアのカップとか二本の歯ブラシとかサイズのでかい洗濯物を発見し
たり、母さんが大量の酒を買って帰る叔父さんを発見したり、祖父ちゃんが早朝に電話を
かけたら知らない男が出たり、他にも色々と隠せてない彼氏の痕跡があったわけだが、一
応叔父さん隠してるつもりらしいから言えない! どうしよう!

「タロちゃん、全部言ってます」
「あれっ、うっかり。まあわざとだけど」
「いやータロ君十五年前の園さんにそっくりだと思ったら顔だけだったね! オレのとき
めきを返してほしいな!」
「よく言われます」

 部活の後輩に、せんぱいほんといー性格ですよねウワアァァンと泣かれたのは三日前の
ことである。そういえばあいつも新藤という苗字だったな。偶然だといいな。

「ちょ、待ってタロちゃん。ばれてたの? いつから?」
「うーん、俺が知ったのは中学の入学式の後だけど。祖父ちゃんと父さんと母さんに、実
は叔父さん同性愛者なんだけど別に気にしないよね? って言われて、叔父さんの恋人の
性別なんかどうでもいいよって」
「あっはははーほんと園さんって詰めが甘いナー」

 でもそこが可愛いよねって、知らんよ。親よりそっくりな同性を可愛いとか、うん、ま
あ思わないでもないけど。バカワイイというか。

「叔父さん頭いいはずなのにね」
「……そんな……一応名家だからとか、兄さんの結婚に不利になるかもとか、色々悩んだ
思春期が……」
「オレの胸で泣いていいよ園さん」
「俺後ろ向いてるから泣いてもいいよ叔父さん」

 泣いたら写メろう。