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こんびにおでん

「寒くなってきたね~」
学校からの帰り道、ゆっくりと駅まで歩きながら俺の隣で智樹が呟く。
「そりゃあ冬だからな」
「なんだよ~、和哉は冷たいな~」
そんなやりとりすら楽しい、付き合い始めて一月目。
ここ一ヵ月は智樹と一緒に帰るのが日課になっていた。
といっても駅まで徒歩十分の短い道のり。駅につけば家が逆方向なのでサヨナラだ。

駅の手前のコンビニの前で智樹が止まった。
「ちょっとコンビニ寄っていい?」
「別にいいけど」
コンビニに入ると店内の熱で凍えていた体から力が抜ける。
智樹が買い物をしている間、週刊誌をパラパラ捲る。
特に面白そうな記事はなく、レジを見ると智樹が会計をしている最中だった。
買い物を終えた智樹と一緒に店を出る。
「で、何買ったんだよ」
「へへー、これ!」
じゃじゃーんと口で効果音を出し、ビニール袋から買ったばかりの品物をとりだす。
ほかほかと温かそうな湯気を立てているおでん。

「…で?」
「『で?』じゃないでしょ!おでんだよ、おでん!一緒に食お」
「それは見ればわかるけど、こんなの何処で食うんだよ。」
駅の中とか言うのか?それはちょっと遠慮したい。肉まんならまだしも、おでんなんて。
「ちょっと戻ったところに公園があるじゃない。あそこで食べよ」
「あのちょっとした遊具とベンチがあるだけの?」
「いいじゃん。外、寒いけどおでん食べればいくらか温かくなるし。それにこうすればもう少し温かくなるじゃん?」
そういうと智樹は俺の手を取り公園に向けて歩きだした。

なんだか少し強引な気がするけどまあいいか。
電車のホームは逆方向だし、俺ももう少し智樹といたいし。
日が沈むまでの貴重なデートタイム。
おしゃれなカフェとかじゃなくってコンビにおでんっていうのがちょっと間抜けな気がするけど。
智樹と一緒にいられるならなんでもいいや。
「ちゃんと大根とはんぺんは買ってあるんだろうな」
智樹の手を軽く握り返しながら質問する。
帰ってきた返事は「もちろん」だった。