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痴漢

朝の満員電車の中。
まるで何かをいつくしむように誰かがケツをなでさすっている。
ぞわぞわした感じが気持ち悪い。
世の女性が痴漢で騒ぐ気持ちも分かる気がする。

――さて。どうしようか。

俺は男だし、守るべき純潔もとっくに捨ててるから別にどってことない。
でもこれは立派な犯罪だし、何よりタダで触られるってのが気に食わない。
…慰謝料目当てで犯人をでっちあげる女性も居るという。
男を触るのなんてよっぽど飢えた痴女だろうし、ここらで男の威厳を見せつけても…。

そこまで考えが及んだ時だった。
ケツの上の方を撫でていた手が足の合間へと下がっていく。
こ、こいつどこまで触る気だ!?
背中にぴったりと寄り添い、股をくぐらせた指先はこそこそと股間をくすぐる。
…さ、流石にこんなことされると黙っていられない。
何より下車するときに勃起なんてしてたらこっちが痴漢扱いされる。
慌てふためいても痴漢の手はとどまる所を知らなかった。
ぐい、と押し上げたり、股をなでさすったり、ケツの割れ目をたどったり…。
こいつは変態だろうか。
考えなくても分かることを考えてしまうくらい俺はパニックに陥る。
それでも羽でなぶられるような指先は優しく、
頭の奥が不可解な感覚に満たされることは止める事ができない。
甘い声が漏れそうになり、手で口を押さえた時だった。
「感じた?」

耳元でささやかれ、慌てて振り向く。
「おっ…お、おま…!」
楽しそうに笑う犯人は会社の同僚でもある悪友だった。
「いや、からかうつもりだったんだけどいちいち反応が面白くってさ。
 おもしれーの。耳まで真っ赤になっちゃってるよ」
けらけら笑う同僚。
こ、こいつ……!
怒りと恥ずかしさで身を震わせながら口をぱくぱくさせていると、同僚がにっこり笑った。
「また明日もやろうか。俺いろいろ テ ク しこんでくるよ。痴漢の」

「うるせえこの犯罪者が! 世の女性のヒールに踏まれて死ね!」
満員電車の中に怒号と華麗なアッパー音が聞こえたのはいうまでもなかった。

※痴漢は社会的信用をなくしかねない劣悪な犯罪です。
  好きな人に気にかけてほしいなら別の方法をとりましょう。