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犬好き×猫好き

「ワン」
読書に没頭していたら、ケンジがそういった。
「にゃにゃ?」
何事かと思ったら、
「君の犬になってもいいな、ふとそう思ってさ。鳴いてみた。」
僕はますます訳が分からなくなって、頭を掻いた。
「もっと束縛していいってこと?」
寂しがりやの恋人の突然の要求に、僕は戸惑った。
困ったな。そういうのが一番苦手なんだ。
「そう。」
ケンジが嬉しそうに、尻尾を振るように答えた。
「だから、「ワン」。」
「困ったにゃー。僕には寂しさを人で埋めようという発想がないよ。」
おどけつつ、素直にそう答えた。
「じゃぁ何で俺と付き合ってるんだよ。」
怒っているのか、憮然とした表情を浮かべる。
「好きだから。」
やっぱり、僕は正直に答える他なかった。
「どっか危なっかしいんだよなぁ、だから守ってやりたくなるんだよ。」
ため息まじりに、ケンジが呟いた。
「にゃあ・・・」
僕は途方にくれてしまった。さっきまで読書をしながら、
「ケンジの飼い猫だったらいいのにな」
と思っていたのだ。
だけど、これだけは素直に口にすることは出来なかった。
「小さいころ犬飼ってたでしょ。」
「そういうお前は猫飼ってただろ。」
哀しい予感を感じながら、僕たちは温くて狭い部屋の中にいた。