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黄金時代

部屋の掃除をしていたら、高校時代のアルバムが出てきた。
それは禁断の書のように、本棚の奥に眠っていた。
俺はそっとアルバムを開いた。湧き上がる懐かしさには勝てなかった。
写真は見事に俺とあいつばかりだった。しまった、と一瞬後悔した

女子の数が足りなくて、あいつと踊るはめになったフォークダンス。
二年の林間学習の時、こっそり撮ったあいつの寝顔。
一杯のコーラにストローを二本差して、一緒に飲んでいる俺とあいつ。

一緒にコーラを飲んでるのは、確か三年の修学旅行だっけ。
行き先は遊園地でやけにはしゃいでいた気がする。
この写真は確か、変なノリだった俺たちを他の友達が撮ったやつだ。
お前ら何やってんだよ、って馬鹿にしていた笑顔で。
あの時は恋人っぽく振舞っても茶番劇で済まされていたから楽だった。
あいつと俺は卒業後、別々の道をたどった。
俺は地方の会社に就職。あいつは遠方の大学に行った。
最初はこまめに連絡を取っていたが、月日が経つにつれ疎遠になっていった。
仕事の忙しさも相まって、俺はだんだんあいつのことを気にかけなくなった。
あいつも俺のことなんかすっかり忘れて、他の奴らと遊び呆けてるんだろう。

俺は昔と今のギャップに耐えられなくなって、アルバムを閉じた。
だけど、昔の思い出はいまだに頭を駆け巡っていた。
王様ゲームで命じられて、あいつと冗談で交わしたキス。
こっそり借りたAVを見ていたら、あいつも俺もおかしな気分になって
そのまま共に過ごした夜。

ふと、全身が熱くなっているのを感じた。
俺はいても立ってもいられなくなって、携帯電話を手に取った。
電話番号が変わってないことを必死に祈りながら、震える手でボタンを押す。
何度も間違っていないか確認してから、発信ボタンに指を乗せた。
一回目のコール。出ない。
二回目のコール。出ない。
三回目のコール。出ない。
四回目のコール――
『もしもし』
出た!
だけど久々に聞いたあいつの声はひどく冷たかった。
それでも何とか凍りついた口を動かす。
「あ……俺だよ、俺。……ちげぇよ、オレオレ詐欺じゃなくて」
あいつはもう俺のことが好きじゃないのかもしれない。
だけど、俺は今でもあいつのことが好きなんだ。
あの時のように気兼ねなく過ごせないかもしれないけど
せめて、一緒にいられるだけでいいんだ。