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下着の上から

──あと7ヶ月もある。本当にうんざりだ。

「木島は夏は嫌いかー」
相変わらずのほほんとした口調で先生が話しかけてくる。
放課後の教室はそれなりに暑い。
先生がおごったって言うのは内緒にしとけよ、と言って先生は
俺の額に冷たい缶ジュースを押し付けてきた。
自分でも缶のお茶を飲みながら、先生は俺の机に腰を下ろす。

礼を言って缶を受け取り、一気に飲み干した。
「夏は別に嫌いじゃないんですけど。早く時間たたないかなーって思って」
「早く時間がたったらやばいんじゃないのかー?お前今年受験生だろう」
「受験とかどうでもいい。早く卒業したい」
俺がそう言うと、先生は飲んでいたお茶から口を離して少し笑った。
俺の好きな笑い方。我慢が出来なくなって、先生の隣に座る。
「せんせー…」
「何ー?」
先生は俺の方を見ずに、窓の方を見てる。
「こっち見てくれない?」
「やだ。ほだされるもん」
「いいじゃん。ほだされればいいじゃん」
「…卒業までは、って決めただろー」
お前、自分じゃ知らないかもしれないけど、凄く必死で可愛い顔してるんだよ。
俺から目をそらしたままで先生が言う。
「思わずぐらつきそうになるので、今はお前の顔を見ません」
「じゃあ顔は隠す」
俺は先生の首筋に顔をうずめた。少しだけ汗の匂いがする。
「木島」
「心配しなくても卒業まで何にもしないよ」
「今何かしてると思うけど」
先生の笑う気配がする。俺も少し笑う。
「あーあー、ちくしょう。先生に触りたいなあ」
「今触ってるじゃんか」
「そういう意味じゃない」
「どういう意味だよ」
「…下着の上からでもいい」
「変態」
先生はそう言って軽く俺を突き飛ばした。やっぱりちょっと笑っている。
俺もまた少し笑う。
「お前らほんとやりたい盛りだからなあ」
そう言いながら先生はお茶を飲み干すと立ち上がった。
もう帰るぞ、と言う合図なのだろう。
俺も自分の鞄を手に立ち上がる。

やりたい盛りなのを否定はしないよ、先生。
「だけど俺が触りたいと思うのは先生だけだよ」

先生の体中、触りたい。先生の全部が欲しいんだよ、先生だけしか要らない。

教室を出ようとしていた先生が、俺の方を振り向いた。
え?と聞き返してくる。聞こえなかったのか。結構恥ずかしい事言ったんだけど。
「もういいよ」
先生の横をすり抜けて教室を出ようとする時、先生に腕をつかまれた。
そしてそのまま少しだけ引き寄せられる。

「…知ってるし、俺もだよ」
耳元から全身へ熱が伝わっていく。それなのに首の後ろはぞくぞくした。
そんな俺を置いて、先生はさっさと廊下を歩いていく。
──我慢しろと言う癖に、協力する気は全くないよな…。

この状態で7ヵ月は、あまりにも長すぎると思った。