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女好きのノーマルが男にハマる瞬間

女の子はかわいい。
ふわふわしてて、まるくって柔らかくて、なのに細くて
ぎゅってしたら壊れそうで、それなのに芯は強い。
理想の女の子ならたくさんいる。
茶髪のくるくるパーマの子も好きだし、黒髪ストレートの子も好きだ。
一重の切れ長な目も、二重のくりっとした目も好きだ。
キツイ性格の子も、甘えんぼの子も好きだ。
どの子にも共通して抱く感情は、「守ってあげたい」。
それに尽きる。

「それってなんか、不純だよな」
そう言って日本酒を一気に呷る、嫌味なほどにオトコマエな、俺の幼馴染。
こいつの家には大量の酒と大量の本しかない。
この安アパートの狭い一室が図書館になる日も遠くないんじゃないだろうか。
「どこが」
「女の子を守ってあげたい、ってエゴじゃん」
「悪いか?」
ぐっと俺が飲み干すのは、アルコール度数の低い缶チューハイだ。
顔もアルコール耐性も俺はこいつに敵わない。
「大体、何から守るんだ。こんな平和な世の中で」
「暴漢とか……まぁ、そういう悪い男から」
「その子を襲いたいのはお前なんじゃないのか?」
「うっ……」
「悪い男は、おまえだよ」

口先でも敵わない、と酔いが回り始めた頭で考えた。
「そりゃあ、そうかもしんないけどさ……」
背後の本棚に寄り掛かる。古びた畳はささくれている。
「おい、危ないぞ。その本棚、あんまり安定してないんだから」
「だいじょーぶだって……っうわ、わ!」
ごすん、と背骨がうっかり本棚に当たった。瞬間、本が落ちてくる。
思わず目を瞑った。相当の衝撃を予想したのに、痛みはほとんどなかった。
恐る恐る目蓋を持ち上げると、目の前には眉間に皺を寄せたオトコマエがいた。
「だから言っただろうが、莫迦」
「……ご、ごめん」
のそのそと本棚とこいつの腕の間から抜け出す。
俺が守られる側になってどうするんだ、ちくしょう。
いや、こいつは女の子ではないけれど。なんつーか、うん。
悔しいのは、不覚にもドキドキしてしまったことだ。
やっぱりこいつはカッコイイんだろう。
「本、片付けるから。ちょっとどいてろ」
「え、あ、おう。にしても、また本増えてね?」
「あぁ。どれかには、答えが書いてあるかと思ってな」
「何の?」
「どうしておまえをこんなに好きなのかとか、守ってあげたいとか思う、その理由」
「は」
不可解。その三文字がふさわしかった。
何を言われたんだ、俺は、今、目の前の、こいつに、一体、何を。
「ば、莫迦じゃないのか! 冗談よせ、帰る!」
「待てよ」
立ち上がりかけた腕を掴まれ、強い力で引かれた。
強引に抱き締められ、耳元でささやかれる。
「ずっと、おまえが好きだった」
アルコールに支配された脳に、低く甘やかな声が浸透していく。
本当に悪い男は俺なんかじゃなくて、こいつの方に違いない。