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末っ子の先輩×長男の後輩

「昭島!見つけたぞ!」

部室である地学講義室の戸を開けるなり、何かを振り回して突入してきた先輩。
また何か変なものでも持ってきたのかと密かにため息を吐く。

「今度はなんすか。グレープフルーツ味のヨーグルトシェイクは微妙でしたよ」
「アホか。そんなくだらないジュースのためにこんなに走ってくると思うか?」

でも前回、大発見だ!!とか言って、地学部員全員分買い占めてましたよね。
不味くて処分に苦労しました。

「これ!イチ兄ぃが持ってきた」

―ああ、ブラコンで有名な先輩のお兄さんその1か。

先輩のお兄さんは三人。皆さん弟が可愛くて仕方がないらしく、甘やかしまくって育てたらしい。
その結果がこれだけど。
先輩を見ているとまるで自分の弟、妹といるような気分になる。
大きな声で騒がれても、イタズラされても、止めましょーね、と言って流してしまう。完全に弟たちと同じ扱いだ。
そんな先輩の手元にあるのは

「あれ、これって雑誌に載ってた……」

以前、俺が欲しいと思って眺めていたシルバーリング。数量限定で東京だけでの販売と知って、田舎住まいの高校生は早々に諦めた。
けれどもそれが今目の前にある。


「昭島が欲しがってたから何が何でも買ってきて、って兄貴たちに頼んだら、イチ兄ぃが見つけてきた。
やるよ」

サラッと我侭っ子ぶりを発揮して、サラッと手放すんですか、アンタは。これ、ヤフオクで定価の三倍の値付いてるのに。
いくら弟が可愛いからって、そこまで甘やかさないぞ、俺は。

「先輩、これは先輩のお兄さんが先輩のために買ってきてくれたものでしょ?
そんなものを簡単に人にあげたら駄目ですよ。大切にしてください」
「俺に説教する気か。昭島のクセに生意気だ」
「生意気でも良いです。人に貰ったものは大切にしましょうって習ったでしょ」

なんで先輩相手に説教なんかしてんだろ、俺。しかもこの内容、この前妹に話したのとまるっきり同じだぞ。
けど先輩は俺の話なんぞ聞いてるわけもなく、

「大切なものを大切な人に渡すのって、大切にしてるのと同じだろ?」

またもやサラッと変な言葉とリングを俺に寄越した。

「それ、絶対に左手の薬指にしろよ」

先輩のお兄さんたちへ。
弟のしつけの仕方、教えます。今すぐマイペースな性格を矯正してください。

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