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主従関係

 非常に優秀で、数多くのエリートを輩出させた名門家出身だが、その性格ゆえ王に嫌われる文官。
 彼が各部署をたらい回しにされ、たどりついた場所は第一王子の教育係。
 王子は正妻から生まれた王太子の有力候補であったが、
 側室を愛し、側室との子である第二王子を設けた王にとっては邪魔な存在だった。

 彼らはお互いがよく似通っていた。
 特に「嫡男である」ことを理由に、父に折檻に近い教育を受け、
 一度として父に抱きしめられ愛されなかったという点を知り、
 彼らはお互いに惹かれあい、心の闇を共有しあうようになった。
 「王に嫌われた者同士」お似合いだとの嘲笑を周囲から受けながら、二人は暗躍する。
 外には、王子の軍師として参戦した文官とともに、数々の戦場で戦功を挙げていく。
 内には、王子が父に任された国務をこなし、文官も疲れを厭わずそれを援けた。

 やがて国内の圧倒的支持により、第一王子は王太子となる。
 それが二人にとって、自分たちをとりまく世界への復讐であった。

 第一王子の性格が急変したのは、王の死後すぐ、彼がこの国の王となった時であった。
 もと政敵であった第二王子を地方へと更迭する。
 正妻が他の男と口を聞いただけで、罪人として断罪する。

 それでも文官は主君への忠誠を曇らせなかった。
 彼の生涯を覆う暗闇に燦然と輝く光は、主君以外にありえない。

 やがて王は自らの嫡男に殺される。それは母の命を奪った男への復讐であった。
 文官は主君の命を奪った、主君の息子に忠誠を近い、信頼を得て、
 大将軍の位をもつ指揮官として戦線に出、外敵を屠っていく。
 大陸の国々を自国にひれ伏させ、統一帝国と作り上げた彼は国内の軍事を掌握し、
 皇帝となり玉座に踏ん反り返る主君の仇を誅殺した。

「これで、あなた以外を主君と呼ばすにいる事ができる…」
 瞳を閉じ、彼は唯一の主君を思い、天上の彼に向かって何度も礼拝した。

 後の世に彼がこの帝国の皇帝として行った善政の数々が、
 かつて皇帝となった主君の為、構想したものであった事を知る者はいない。