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首席×教師

連戦連勝、常に成績トップの俺は、当然教授たちの覚えもいい。
しかしあのぼんやり教師には関係ないようで、顔を覚えてもらうだけで随分とかかった。
自分でも何をそんなに頑張ってるんだかよく分からなかったが、
何事にも手抜きを許せない性分の所為なんだろうと思った。その頃は。

「ああ、君か。よく来たね。」
お世辞にも片付いているとは言い難い研究室を訪ねると、
そこらじゅうをもそもそとひっかき回して道具を揃え、不慣れな手つきでお茶を淹れてくれた。
深緑の、あり得ない濃度のお茶を二人で啜りながら、論文のテーマについて話しはじめる。
(近いなぁ…。)
向かいの椅子から身を乗り出すように喋っている(彼の癖なのだ)ので、距離がとても近い。
おかげで、話の内容がものの見事に脳の表面を上滑りしていった。
視線が無意識にくちびるの輪郭をたどる。十数畳の研究室が耐え難いほど狭く感じる。
「どした?ボーっとして。」
あんたに言われたかないよ、と思ったが胸の内に仕舞っておくことにして、話題を変える。
「そういえば先生、新しいマシンの使い方分からないんですか?」
「分からなくはない。けど詳しくない。こないだ届いたばかりなんだ。」
「今度教えてあげますって。俺、先生よりずっと教え方上手いと思いますよ?」
「ん、考えておく。」
失礼といえばあまりに失礼な発言に気分を害した様子もなく、彼はのんびりとそう答えた。

これをきっかけに彼の研究室に入り浸るようになった俺は、
相変わらずの鈍感さと機械音痴に頭を痛めつつも、結構楽しくやっている。