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春なのに、お別れですか?


学校を出れば、そう思っていた。
あの日不意に掴んでくれた手と、焦ったような表情と、熱すぎる指先がきっとまた僕を呼んでくれるのだと。
そう信じていた、自惚れていた。

『卒業おめでとう、元気でな』
別れの言葉はあまりにも短く無機質で、音も無かった。
白い画面に浮かぶその文字を見つめては、卒業さえしなければと思い続けた。
それだけが繋がりだなんて、知らなかったから。
卒業したら、そう思っていた。
耳にする懐メロに、僕はそんなことにはならないと強がりながら迎えた春は、寂しくて寒くて、空が青かった。
「…さよなら、先生」
一人、部屋で呟いた声に涙が落ちる。目の前があっという間に滲んでいく。

叫ぶような僕の息に、鳥の声がなにか、応えた気がした。