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受けより背が低いことを気にする攻め

校舎の陰の芝生でぼけーっとしてたら、渡り廊下の方から
女の子たちのおしゃべりが聞こえてきた。
――山野井君て背が高くてカッコイイよね。
うんうん、山野井は確かにカッコイイぞ。なんてったって俺の自慢の恋人だし。
思わずにやにやしながら一人で頷いていると、今度は俺の名前が聞こえてきた。
――あたしは新堂君の方がいいな。
――うん、新堂君も可愛くていいよね。
ちょっと待て、可愛いってなんだよ。
ほめてくれてるんだろうけど全然嬉しくねーよ。
遠ざかっていく女の子たちの声を聞きながら、俺はがっくりと肩を落とした。

そんなことがあったものだから、帰り道、隣を歩く山野井につい
絡んでしまった。

「山野井、お前、今何センチあるの?また伸びたんじゃない?」
「ん?ああ、この前測ったら179cmだったな」
「なんでお前ばっかりそんなに伸びるんだよ!?」
「新堂だってそこそこ伸びてんじゃん。今、172くらいあるんだろ?」
「171.8。お前より7㎝以上も低い」
悔しげに呟く俺の顔を、山野井は覗き込む。
「どうした?今日何かあったのか?」
「ん、実はさ…」
ぼそぼそと先ほどのことを告げると、山野井の奴、肩を揺らして
笑い出しやがった。
むっとして睨みつけるように見上げると、
「実際、新堂は可愛いじゃん」
「……」
恋人に可愛いといわれるのは、正直嬉しくないこともない。
でも、俺は、可愛いってよりはカッコイイって思われたい。
胸の中でぼやいていたら、まるでそれが聞こえたかのように。
「それに、カッコイイ」
「え!?」
「新堂のことは前から可愛い子だなって思ってたんだ。
ただ、普通に同性の友達としか見てなかったから、
告白してくれたときは正直驚いたけど、新堂さ、すごく一生懸命に
自分の気持ちを伝えてくれただろ?あのとき俺、あ、こいつ
カッコイイなって思ったんだよな。で、気がついたらOKしてた」
山野井は少し照れ臭そうな笑みで俺を見つめ、それから身を屈めて
「…だからね、俺の恋人は可愛くてしかもカッコイイんだ」
俺の耳にそう囁いた。
俺の気を晴らすためもあるだろう。
でも、それだけじゃなくて本当にそう思ってるとその表情が告げていたから、
カッコよさではまだまだ負けてるなと思いながらも、俺の気持ちは
ぐんぐんと急上昇していった。
身を屈めたままの山野井の首の後ろに手を回すと、上向けた唇に
柔らかなキスが落とされた。