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攻→明るく陽気で優しい、音楽好きな王
受→笛の名手、しかし極度のあがり症な使用人

「天が立ち止まった」
 柔らかい金髪に彩られた笑顔で、主君は弾んだ声を発した。
 手首を捕らわれ、私は呆然とかぶりをふる。
「お……畏れ多いことです、私、私なぞの、その」
 泣きたい気分だった。握る横笛が震え、咄嗟に跪いた膝が覚束なく揺れる。
 王の音楽狂いを知らぬ者はいない。だが、よもや使用人宿舎の片隅に、「笛に惹かれて」現れるなぞと誰が思おうか。
 目眩を起こしそうな私を、しかしこの高貴なる闖入者は、今にも踊りだしそうな所作で引き立たせた。
 思わず踏んだたたらに、楽しげに足取りを合わせステップまで踏む。
「へ、へへへ陛下……!」
「それ巧いぞ、ほらターン!」
「う、あ、ちょ……っ」
 強く引かれ、取り落としかけた笛を咄嗟に抱え込む。と、主君は不意と私を引き寄せた。
 芳香と衣服の滑らかさが、意外な程優しい腕から、私の身を包み込む。
 発汗と発熱と涙と鼻水と、訳の分からなさに半泣きで目を白黒させる私を──腕の中の横笛をみつめて、王は太陽の笑みを浮かべた。
「天が立ち止まったんだ。お前の音に。私は女神に導かれた!」

 後に、王が寵する音楽神の化身の噂が立ったが、その者の正体はようとして知れなかった。
 彼が人前には現れず、王にのみ笛を捧げているらしき理由について、人々はあれこれと推測を重ねた。
「あいつは、あがり症だからね」
 王が嬉しげに口に出した言葉が真実か否か、知るのは一人、王付きとなったある使用人のみだったという。