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シャチ×シロナガスクジラ

「きみはほんとうにすごいね」
そう言うと、彼はぎらぎら光る眼で僕を睨みつけた。
「てめえが弱っちいだけだろ、でけえナリして」
今際の際ですらいつもと変わりはしない口調。
「俺らはなんでも食うし、なんでも殺す。知ってただろ、てめえだって」
そうだね、と口に出そうとして掠れた息だけが漏れた。
血という、僕にはあまりなじみのない赤色がそのあたりに広がっている。
この色が赤だということは、彼が教えてくれた。
深い青の中で、僕はぬぼーっとその無駄に大きな体を漂わせつづけ、彼はいつでも悠然とそして俊敏にその黒い姿態を動かしていた。
その姿はまさしく僕の理想で、僕の欲しいもので、暗い世界で唯一の光だ。
いつまでも。
敵だと知っていても、その光に触れていたかった。
「お前の敵は、いつでも俺だけだ」
「うん」
「お前が死ぬのは、お前が弱くて、俺が強いからだ」
「うん」
「だから、いいじゃねえか」

「――――いいだろう、これで」


君には赤が似合うと思うんだ。
だからこの広く深い青の中で僕からの赤を受け取って欲しい。