ゆとり教育

TVから聞こえて来たキャスターの声に、俺は大きく頷いた。
そうだ、そうした方がいい。 学のない俺でもわかる。
ゆとり教育、ありャあ恐ろしいモンだ。マジで。 可及的速やかに見直すべきだ。

亡きオヤジから『くれぐれも宜しく頼む』と託され、
畏れ多くも弟のようにお育てした大事な大事な若様が
あの様になってしまわれたのも全てゆとり教育の弊害だ。
『堅気で立派にやっていける人間に』とのオヤジの望みを叶えるべく、
どうにか県下一の進学校に捩じ込んだというのに…。
それなのにあの方ときたら小学校すらまともに出てねェ俺でもわかるような
ごく当たり前のことすら理解しておられねェ御様子なのだ…!

円周率がどうとかそんな生易しい問題じゃねェ。
この間など、360度どこから見てもヤクザにしか見えず
実際にヤクザである俺を捕まえて、こともあろうに「可愛い」と宣われた。
日本すら危ういらしい。御労しい。
またその前などは「お前を嫁にする」ともおっしゃっていたな。
最近の学校では婚姻制度もまともに教えないらしい。嘆かわしい。

学校を過信して任せきっていた俺にも責任の一端はある。が。
いくらなんでもこの有様は酷い。まったく酷い。

「ゆとり世代が日本を担う時代になったら
この国はどうなっちまうんでしょうねェ…。」
そう洩らした俺に若はケラケラと笑ってこう言った
「日本の将来の前にテメェのケツの心配でもしてろ」

…嗚呼、本当に。
すべてはゆとり教育のせいだ。多分。おそらく。いいや絶対。
可愛かった若をこんな風にしちまったゆとり教育を、俺は怨まざるを得ない。


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最終更新:2013年08月15日 01:13