ずっと敵同士だったのに、急に仲良くしなければならなくなりました。
「いいかテメー。仲良くしてやってもいいが、この線からこっちに入ってくるんじゃねェぞ」
「うえうせぇ。テメェのクセェケツ、こっちに向けんじゃねぇぞ」
「…テメー、このやろう、上等じゃねェか」
「ア?その線からこっちに入ってくんじゃねェっての、テメェこそ」
「…いいか、坊主。ここでは俺が先輩だろうが」
「俺は坊主なんて名前じゃねェな。まァ、俺のテツという名前を呼ぶのは愛しい貴之だけでいいが」
「ふざっけんじゃねェよ!貴之が愛してんのはこのジョン様だけだ!」
「ハ、ジョンってツラかよテメェ。純日本産じゃねェか」
「うるせぇえ!表に出ろ!!」
「おとなりのみっちゃんがひっこす先では犬がかえないので、シベリアンハスキーのテツは、ぼくの家族の一員になりました。
でも、うちにずっといるしば犬のジョンは、なかよくするつもりはないみたいです」
貴之は書き上げた日記を読み返して、はぁーっとためいきを吐きながらランドセルに日記帳をしまった。
今日も、窓の外では二匹の犬が吠え合っている。
最終更新:2013年08月15日 01:08