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かくれんぼ

 放課後の校内探索が俺の日課――と言う事にしてからもう随分経つ。
 もっとも探索とは名ばかりで、単に放課後になると校内を徘徊し、適当な場所を見つけてはぼんやりと過ごす。ただそれだけ。
 最初は本当に探索のつもりだったが、それも狭い校内での事。いい加減ネタも尽きてきて、ある程度決まった場所を日毎に選ぶだけになりつつある。
「みぃつけた!」
 明るい声とともに俺の目の前に現れたのは、笑う幼馴染の顔だった。ガキの頃からの腐れ縁で、十年以上ほぼ毎日見続けている顔だ。
 俺が校内探索を始めた日から、放課後になると俺を探すのがこいつの日課になっている。
「まーたこんな所に隠れちゃって」
「別に隠れてないし」
「用がないなら帰ろうぜー。しっかしお前も毎日よく飽きないよな。もう行ってない場所なんかないんじゃね?」
「そっちこそ。毎日毎日……」
 わざわざ探しに来なくたって一人で帰ればいいのに――と、出掛かった悪態を吐かずに呑み込んだ。
 本当にそうなってしまったら、物足りない日々を送る羽目になるのはきっと俺の方だ。
「そう、毎日毎日放課後はお前とのかくれんぼ。しかもいっつも俺が鬼」
 俺の心情を知ってか知らずか、目の前の男は笑い飛ばした。
「だから別に隠れてないっつーの」
「隠れてんのと変わんねーよ。同じ場所に二日続けて居たためしねーじゃん」
「そうだっけ?」
 我ながらちょっと白々しいな。
 探してくれる事、見つけてくれる事が嬉しくて、毎日居場所を変えている事もそろそろバレてるんじゃないかとは思うけど。
「自覚ナシかよ? ま、どこに居たって意地でも見つけるからいいけどな」
 不敵な笑みを浮かべた幼馴染殿の心意気に報いる為にも、明日はもっと見つかりにくい場所を選ぼう。

 俺を見つけた瞬間の、お前の顔が好きなんだ。