スリーセブンorラッキーセブン

のどかな朝のにおい、俗に言う閑静な住宅街沿いの道を、三人の少年が歩いている。
と、そこに新たな少年が一人加わって、三人に挨拶をした。
「あ、スリーセブンだ。おはよう」
「それは俺たちのことか」
「当たり前だろ、本城兄弟」
本城兄弟―通称スリーセブン。長男七海、次男七生、三男七斗。
―両親はゲンかつぎと博打が大好きな根無し草で、今は三人で暮らしている。
「心外だな。俺たちはそのあだ名を許したわけじゃない」
そう言うのは、長男の七海。
「そうそうっ、スッゲーダセーもん、スリーセブンなんて」
唇を尖らせながら、末っ子の七斗が言う。
次男七生は顎に手を当てて黙っていたかと思うと、長男の頭をがし、と掴んで撫で回した。
「確かにスリーセブン、ってのはちょっとおかしいなー。最初のセブンが
こんなに小っちゃかったら、バランスが悪いだろ」
にやにや笑いながら七海の頭をわしゃわしゃと撫でる七生の手つきは、まるで兄のようだ。
「あっ言えてる!さすがにいちゃん、今日も朝から冴えてる!」
「だろ?」
この三兄弟、神様のいたずらかはたまた栄養バランスの問題か、長男だけ身長が低いのだ。
低いと言ってもそれほどでもないのだが、いかんせん次男と三男が高すぎる。
「くそ、手をどけろ七生。鬱陶しい」
そう言って鬱陶しそうに七生の手を掴めば、七生は楽しそうにへいへい、と言った。
七海は不満そうにフチ無し眼鏡(セールで2000円、乱視用だ)をクイッと上げ、言い放つ。
「人間は23まで背が伸びるという話を知らんのか、愚弟どもめ」
弟二人と少年一人がぽかんとしている間に、最初のセブンはスタスタと歩いて行ってしまった。
その後、三人が教室にたどり着くまで笑い通しだったのは言うまでもない。
スリーセブン―朝一番にその兄弟に会うと、その日一日は幸せになれるという都市伝説がある。
…七海のおかげで、信憑性は上がるばかりだ。


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最終更新:2013年08月09日 02:55