並んで歩く

浮ついて惚れっぽいお前がまたフラれたと、ヤケ酒に付き合わされるのは何度目どころかもう何年越しの事だろうか。
「今度は絶対うまくいくと思ったのによー」
「そうだな」
「この俺のどこが悪いってーんだ」
「さあな」
 したたかに酔って千鳥足で家路につく間も延々と愚痴をこぼすお前に、オレは短く相槌を打ち並んで歩く。
 肩を貸すでも支えるでもなく、オレはただ肩を並べて歩くだけだ。
『お前を一番よく知っていて、お前に付き合えるのはオレだけだ』、と言えない臆病なオレはただ隣に並んで歩くだけしかできない。
 きっとこの先も、お前に触れる事はないだろう。


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最終更新:2013年08月08日 23:00