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深爪

「…あっ!痛っ」
またやってしまった。
「気をつけろって言ってるだろ。ばか」
「ごめんごめん」
離れてしまった細くて長い指に再び触れる。
「今度は丁寧にするから」
もう一度ごめんと呟いて傷つけた指を口に含むと、君は真っ赤になった。
君は爪の手入れすら面倒臭がるからせっかくの綺麗な手が台無しだ。
清潔にしておくために短くしろよ、と言ったのが始まりで爪切りは僕の仕事になった。
いつも切りすぎて怒られる。

君は知らないだろう?伸びた爪が僕の背中に傷跡を残していると。
君は知らないだろう。爪痕を見るたび僕の心が痛むことを。

今日も僕は君の爪を切る。もう君が僕の背中に過去を刻まぬように。
むしろ僕が君に跡を残せるように。
「何笑ってんだよ。気持ち悪いな。早く切るなら切れよ…痛い!」
「ごめんってば」
「わざとかよ」
うん。わざと。