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擦り合い

僕たちは、罪を擦り付け合っていた。

「……はぁ」
「どーすんだよ、これ」
二人して呆然と、半裸のままで呟く。梅雨時の湿った空気が
僕たちのした行為を生ぬるく肯定するように、肌にまとわりついていた。
「でも、気持ちよかったね!」
明るく言い切る彼の汗ばんだ顔を、信じられないというように横目で見る。
「なに言ってんのお前」
「いーじゃん、気持ちよかったし。……少なくとも俺は」
そこで急に照れたような顔をしてうつむくから、こっちまでなんだか居心地悪い気分になる。
まあ、もともとこの上ないほど居心地が悪いんだけど。
「……俺、も」
床に向かって呟いた瞬間、最高に嬉しそうな笑顔で振り向かれたのが見ないでも分かった。
「だいたい、お前が悪いんだからな」
少しむかついたので、無理やり顔を上げて目を合わせて言った。
「なんで?」
そんな天真爛漫な目で見つめられても困る。というか、体じゅうべたべたしたままで床に寝て、
服を半分剥ぎ取られているような格好で、ついでにパンツもちゃんと上げないままのくせに
よくそんな純真そうな顔ができるな。妖怪か、お前は。
「お前が、変なことしてきたんだろ!」
「だってお前がいきなりキスしてきたんだも……」
思わず遮って叫ぶ。
「キスはしたよ!でも舌入れていいなんて言ってねーだろ!」
「入れるじゃん、普通」
「入れねーよ」
「俺だって触っていいなんて言ってないし!」
「腰擦り付けてきたくせに」
相手がかっと赤くなったのを見て、少しだけ満足する。
「先におった…」
「それ以上言ったらシャワー貸さない」
最後の手段を出して黙らせた。危ない危ない。

「だってお前が可愛かったんだもん」

……負けた。今自分の顔は絶対真っ赤だ、と思ってうつむいていると、いつの間にか
そばに来ていたやつが髪を引っ張った。
「キスしていい?」
「今更聞くなよ」
俺たちは口の中で溶けていく罪を、二人して飲み込んだ。