オカマ受け

「な?一度だけだから。本当にこれっきりって約束するから」

懇願するヤツの右手にあるゴムが、生々しいほどのリアルを見せている。
スカートの裾を押し上げようとするヤツの左手から、どうにか逃げられないだろうか。

「止めてください!ココはそういう店じゃないんですよっ!」

小さく叫んでもヤツの手は止まらない。
片手で押さえているが、体格の違いは力の違いを見せ付ける。

「イイじゃん。どうせ誰かにヤられちゃうんでしょ?ヤられたいんでしょ?」

口調はふざけているように聞こえるのに、ヤツの目は笑っていない。
手に入った力が強くて、すごく怒っているのだとわかる。

好きでこんなカッコしたり、店に出たりしているわけじゃない。
何の資格も持っていないオレにとっては、コレが一番金になっただけだ。
おまえと離れたくないから、どうしても金が欲しかっただけだ。
それなのに、何でこんなコトになったんだろう。
友情よりも気持ちが熱い。オレも、おまえも。
カッコだけのバイトじゃなくて本物になっちゃったってコトだろうか。
自惚れだと笑われるかもしれないけれど、頭を過ぎったセリフにすごく喜んでしまう。


『おまえ、オレが好きなの?』

言ってしまおうか?


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最終更新:2013年08月08日 05:39