受けよりよがる攻め

無神経な奴だ、勝手な奴だ、ほんと下らない、どうしようもない男だ。
入れるのが駄目だったら、せめて素股でときたもんだ。
せめてって何だ。最初は手淫だけって言ってたじゃないか。
「あ、はあ、ああっ」耳障りな音が絶えず降り注ぐ。
シーツを噛み締め、内股を擦りあげられる、なんとも言い難い感覚に耐える俺とは対象的に、
奴は盛大に声をあげて、やりたい放題だ。
俺の眼球は渇き、唾液はシーツに奪われて、からからだというのに。

奴がはああと息を吐いて腰を引くので、あ、終わり?と思えば、
体を仰向けに返された。
「おい……」
だが文句をつけようとした俺の喉は詰まる。
視覚は暴力だ。
目を濡らし、頬ばかりか全身を赤く染めて、腿を震わせる男の姿に、思わず言葉を呑み込んでしまった。
ひどく甘ったるい調子で名を呼ばれる。
お前は何で、俺の脚でそこまで気持ちよくなれるというんだ。
俺はなんだか目やら鼻やらから変な汁が出そうになった。

おい、やめろ!お前のその情けない声が、姿が、俺にまで伝染ったらどうしてくれるんだ?
お前のやっていることは、あくまで俺の体を使った自慰であって、決してそれ以上ではないというのに!
だからお前は俺に何も聞かせるべきではないし、何も見せべきではないのだ。
だって、万一俺がほだされたとしたら、
そんな顔で求められることに喜びを覚えてしまったとしたら、
一体どうしてくれるっていうんだよ!


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最終更新:2013年08月08日 03:45