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受けよりよがる攻め

明らかに僕に気があるそぶりを見せるから、ちょっとからかってやるくらいの
つもりだったんだ、最初は。
その日、バイト帰りに家来る?って誘ってみたら、万歳しださんばかりに
喜んだヤツは、幻のしっぽ(もちろんぶんぶん振られてる)が見えるほどに
食いついてきた。わかりやすすぎる。面白くて仕方ないから、しこたま
買い込んできた酒の勢いってことで、ちょっと股間に手をやってみた。
ほんとに、言葉通りの「ちょっと」だ。もちろん服の上からだし。
狼狽えるかな、止めてくださいよ先輩とか言うかな。引かれても別に構わない。
その時点で僕は、こいつに対してからかいくらいの感慨しか抱いてなかったのだ。
だけど、乗ってきたらおいしいかな。見た目は割と好みだし。そんな程度で。

あっ、と、切羽詰まった声が聞こえたのを、最初は聞き間違いか幻聴だと
思った。だってそんな。ほんとに、ちょっと、しかさわってないのに。
服の上から、手を滑らせてみると、「はっ……先輩、」と、さっきよりさらに
切羽詰まった声が聞こえた。聞き間違いでも、幻聴でもないとわかって、
僕は若干いぶかしむような気持ちで、ヤツの顔を見た。
なんていうか……ものすごい、耐えてる顔をしている。
唇噛みしめてるし、眉根は寄ってるし、真っ赤だし。
そんな顔させるようなことを行ってないんだけど、まだ僕は。

なんかこいつ、面白い。童貞?このルックスでこの歳で、そりゃないだろう
とは思うけど、そうだったらそれはそれで、大変おいしい。
いやがってないのは態度からして丸わかりなので、調子づいた僕はヤツのベルトを
かちゃかちゃと外して、もちろんデニムのボタンも次々に外した。
こういう行為が久々だったのもあって、結構僕は、盛り上がってたと思う。
相手の興奮も手伝って、もう舐めてしまおう、という考えに至るのは早かった。
すでに半勃ちのヤツの性器を、下着の中から引きずり出す。

「あ、ダメです先輩、あぁ…」
吐き出すように言う、ヤツの語調は全然「ダメです」って感じじゃない。なので
意に介すことなく、ヤツの股に頭を突っ込むと、すぐに僕の頭をヤツの手のひらが
包んできた。これはもう、明らかな是の意だ。遠慮なく性器を口に含む。
その瞬間からが、驚愕の始まりだった。ヤツはとにかく、よがるのだ。
よがる、よがる、よがる。AV女優の熱演もかくやという有様だ。
男でも女でもここまで声を出すヤツは、お目にかかったことがない。
心の中でうわあ…と一瞬どん引きしてしまったけど、ヤツは散々あえぎながらも、
早く入れさせてくださいと、もの凄いことをさらっと言ってよこした。
あーこいつタチなんだ、と思ったけど、先輩…はやく…あっ…、とか言いつつ
息も絶え絶えに悶える様を見てると、どうも違和感がぬぐえない、ような。
とりあえず口に含んでいた性器を抜き出すと、「は…っう、うぅ、」
感極まったように、ヤツはまたあえいだ。

「挿れるのはいいけど、ちょっと…その声どうにかなんないの?
隣がもうそろそろ帰ってくる時間なんだよ」
口でやるかわりに、軽くしごきながらそうたずねる。
事実、もうすぐ、アパートの階段を上ってくる隣人の足音がきこえてくる
時刻だった。日曜以外は、毎日そうなのだ。
「どっ…にもならない…っ、なりません、だって気持ちいいんだもん!」
そう言われると、なんていうか、こちらとしても何も言えなくなってしまう。
気持ちよくない、下手だって言われるよりは気分いいし。実際そんなこと
言われたら、おそらく相手を蹴りあげてしまうだろう。
だけどこのままつづければ、明日から隣人と顔を合わせることは出来ない。

「……わかった。お前、ちょっと待ってろ」
そう言って僕は立ち上がり、台所へ向かう。戻ってくる僕を、きょとんと
した顔で、ヤツが見つめている。そりゃそうだろう、だって今まで
性行為にいそしんでいた僕が、いきなり手ぬぐい持って目の前に現れれば。
だけどもう、もう、これしかないのだ。

「これ、普段手拭くのに使ってるヤツだけど、洗濯したばっかだから安心して」
気休めにも慰めにもならないことを言って、俺はねじった手ぬぐい(祖母の浅草
土産だ)を、ヤツの口にあてがった。
「う……う」 
恨みがましい視線と、うめき声が、痛い。まあ確かにドMでもなきゃ
この仕打ちは屈辱には違いないだろう。ヤツが挿れたいんだとは言え、
僕もやる気満々で、むしろ最初にあおったのは僕なんだから、相撲の四十八手が
染め抜いてある手ぬぐいで口をふさぐのは気の毒すぎる気もする。
一度そう思ってしまうと、もうだめだ。つい、
「次はホテルにでも連れってってやる。そしたら思う存分声出していいから。」
なだめるようにそんな風に、言ってしまった。……とたんに、僕の手によって
バッチリ猿ぐつわを装着完了したヤツの目に、涙が浮かんだ。

その後は、ほんとにどうにかなりそうな程突きまくられた。
しだいに快感にかすんでいく思考と、96人の相撲取りに口をふさがれた
ヤツのくぐもったうめき声という混沌の中で、今僕は、自ら次に会う約束
……こいつとの関係の継続を約束してしまったんだと考えた。
ああ、面倒なことになってしまった。
憂鬱なような、楽しみなような。