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しまらない告白

噛んだ
盛大に噛んだ
どうしてこうなの俺!馬鹿なのアホなの死ぬの!?
ここはだなぁ、ビシッとかっこよく決めて「キャー英明くんカッコイイー」ってなる場面でしょ!?
さんっざんイメトレして気合入れて、死ぬ気での告白で噛むとか…
しかも我に返ってとっさに取った行動が逃走って…いかんだめだ俺の精神は痛恨の一撃を喰らってる
ダメージ与えた馬鹿も俺なんだけどね!
あー…もうどーしよー…
これから俺が取る行動は…

①かっこよく再登場して素敵に華麗に告白する
②何事もなかったかの様に振舞い友情のまま現状維持
③ゴッメーン☆さっきのは罰ゲームだったんだテヘペロ とお茶目に振舞いカワイ子ぶる

…………どれも無理無理無理無理無理ぃぃぃぃぃ!!!!!!!
まず①! 素敵に華麗にってどうやって!? んなもんできたらはなからやってるっつーの!
で、②! 俺の心臓ガラスハートだよ! ここまでの失態を「無かったこと」になんてできるようなタフさもって無いよ!
③も論外だ論外! 罰ゲームでテヘペロとか俺がやってもキモイだけだ、むしろこっちが罰ゲームじゃねーか!
全部無理だよこの案! 考えたの俺だけどさ!

ああああああ俺はこれからどうしたらどうしたらどうしt
「英明くん」
!!!!
え、ちょっとなに俺心臓止まりそうなんですけどちょっと
「英明くん、いるんでしょう?」
コツコツ、と凭れたドアを小突く音が背中に響く
え、え、俺どうしようどうすれば!? 返事しなきゃいけないよな? え、でもなんて返事すればいいのこの場合!
テンパって固まってたら、ドア越しにフッと吐息の音が聞こえた
忍び笑い? ため息? 嘲笑? 失笑? どれだ???
「ねぇ、英明くん。…さっきの『チュキダ』ってどういう意味なのかな」
あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!! おもっきし聞き返されたああああああ!! なにこの拷問! 俺のライフはとっくにゼロよ!?
ガンゴンと俺の頭がドアに打ち付けられる。もう恥ずかしくて穴掘って埋まりたい。地面系のポケモンになりたい。
「だ、大丈夫? 落ち着いて英明くん」
うううあんたってやっぱり優しいよな…いつも俺のフォローしてくれてさ…そこに惚れたんだよな…
「あのね、英明くん…笑わないで聞いてくれるかな」

さっきまで上のほうから聞こえていた声が、今は随分下から聞こえた
もしかしなくてもしゃがみこんだのかな
「さっきの『チュキダ』なんだけど…ああ英明くん落ち着いてドアからゴンゴンって音が! …で、でね、僕、思ったんだけど」
コン、と軽く響く音。あいつもドアに凭れかかったんだろう
「あれさ、『好きだ』って言ってくれた…? って大丈夫だから英明くん! 奇声上げながらドアに頭突きするのやめて!?」
うぅ…バレテル…バレテタ…アタマイタイ
「その、さ。変なこと今から僕、聞くんだけど…『好き』ってさ、どういう意味で?」
…え?
「友人として? 先輩後輩として? 兄弟みたいな感覚で?」
…違う。いや、そういうような意味でも勿論好きだけど! でも俺の『好き』ってのは…!
「…それとも、恋愛としての『好き』?」
………そうだよ
ずっと、もうずっと何年もあんたが好きで好きで堪らなかった
高校も大学も、信じらんないくらい勉強して着いていった
あんたにとっては沢山いる後輩の1人でも、俺にとってはあんたはずっと唯1人の想い人だったんだよ
それで思い詰めてイザ告白しようとしてこのザマなんだけどな
「僕はね、英明くん」
フゥッと聞こえた吐息の音に続いて、いくばくか固くなった声音が聞こえてきた

「僕は…僕はね。…もうずっと君のことが、そういう意味で『好き』だったよ」
え?
「高校も大学も、2年になったときに君を発見できて嬉しかった」
…………え
「もしも君の言ってくれた『好き』が、そういう意味じゃなかったら…キモイよね、僕のこんな告白。ごめんね?」
なんで
なんであんたが謝るんだよ
噛んだのも逃げたのも、ダンマリ決め込んでるのも俺なのに
…なんで!
「英明くんが僕になにか伝えようとしてくれたから、僕からも伝えてみた…って、うわぁ!?」
俺は静かに立ち上がると、一気にドアを引きあけた
やっぱり座ってドアに凭れていたからか、こっちにころんと転がってきた
きょとんとした目でこっち見上げんなよ可愛過ぎるんだよ

「…俺も! ずっとあんたがチュキだったよ!!!」


最後の最後まで噛んじまった告白は、何十年もからかわれることになりました