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魔法をかける

俺が奴に魔法をかけられたのは、7年前の冬の事だ。

俺は絶対に叶わぬ恋をしていた。何とか悟られないよう、注意を払いながら過ごし、同じ大学に入った。
俺を1番の親友として思ってくれていて、俺の事を何よりも案じてくれていただけに、好きだとは言えなかった。

ある日堪えきれなくなった俺は、奴に相談した。『報われない恋をしている、辛い』と。
奴は冬の公園の冷たいフェンスにもたれながら20歳になってすぐに吸いはじめたタバコを咥えて、俺の話を聴いていた。
そして、そんなお前にオレが魔法をかけてやろう、と言った。

奴が俺の顔にタバコの煙を吹きかけ、

「こいつが運命の女の子と結ばれますように」

そう唱えた。

俺の目には涙が滲んだ。親友思いの奴の篤き友情に感動したからではなく、煙が目に染みたからでもなかった。俺は就職先を遠くに決めた。

今も奴の魔法は効いてもいないが、解けてもいない。俺はずっと1人のままだ。やつの魔法は少しずつ、俺を蝕むだけだ。

なあ、魔法使いよ。俺はお前と結ばれたかった。